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ガンズ・アンド・ローゼズを伝説と呼ぶな!怒涛のロック魂が炸裂した日本公演、ガンズは死んじゃいなかった!

ここ一週間、音楽ニュースを賑わしていたガンズの日本公演。

来日決定時は、行くつもりなどこれっぽっちもサラサラなくて、

(スラッシュとダフが戻ったって変わんねえだろと思ってた)

ベテランバンドが食いぶちつなぐためのドサ周りに、

1万円以上も出す意味ないだろ、ぐらいで構えておりました。

しかしですね、神戸と横浜の追加公演にベビメタの前座と聞いたら、

これは行かなきゃヤバすぎるだろと思い、ちゃっかり行きました、横浜公演。

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気持ち半分はベビメタだったんです。

だって、そうじゃない?

ブクブク太ったオッチャンなんかよりさ、

キャワいいJKと神バンドの方が見る価値あると思うじゃん、普通。

まわりの席を見てもガンズTシャツとベビメタTシャツが半々な感じだし、

ねぇ?

・・・・・・はい、それは完全に間違っておりました。

結論から言うと、ベビメタはガンズの足元にも及ばない、

今思うと、これは学園祭か?ぐらいのレベルでした。

音は大きかったけどね、なんかそれだけって感じ。

 

メイトたちの中には、オープニングアクト

これはガンズとベビメタの対バンだ!

なんて、ほざいてる輩がいましたが、

どのへたれ口がそんなバカげたことをイキってんだと。

でもね、正直言います、

僕もライブ3曲目の「Chinese Democracy」までは、

そんな気持ちでいたんです。

久々にライブに来たけど、結局、こんなもんか、と。

 

ニュースなどで時間通りにライブが始まることは知っていたし、

スラッシュもインタビューで「オレらもいい大人になったのさ」

なんて、らしからぬことを言ってた通りに、

30分強のベビメタ学園祭が終わり、

延々とディープパープルを聴きながら待つこと約30分、

19時40分頃からガンズのライブがスタート。

ここからして、昔のガンズ、というより昔のアクセルじゃないよね。

そもそも20時前にライブが始まるんだよ?

まあ、びっくりです。

その昔、2時間とか3時間とか、平気で待たされていたのに...

前座が終わって、トイレに行って、ビールとおつまみ買って、

席でディープパープル聴きながら、ちょうど飲み終わった頃にライブが始まる。

なんなん?このフィット感!これガンズのライブなん?みたいな。

 

事前のセットリストで「It's So Easy」から始まることも知っていたし、

続いて「Mr.Brownstone」に流れるのも知っていた。

舞台が暗転し、ルーニートゥーンのオープニングが高らかに鳴り響く。

そして、あのギターのイントロが鳴りだして、スラッシュ、ドーン!

次いでダフ、ドーン!

観客たち、ワーッ!!!と大賑わい。

そして、ステージに駆け出してくるアクセル!

なぜか、そこでクスクスと失笑の嵐。

まあね。

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しょうがないよ。

いつまでも20代や30代のルックスは保てないさ。

ベビメタの音がやけにデカすぎたせいで、ガンズの音が小さく聞こえる。

でも、これくらいの方が気持ちいいなぐらいの大きさ。

ドテッドテッと熊みたいにステージを走り回るアクセルより、

シュッとしてるダフの方が、なんかカッコいいなぁと遠巻きに見ていました。

 

定番の冒頭2曲は、あまりにも定番すぎて、

これが1993年の東京ドーム以来の、

24年ぶりのガンズの音だっていうことにぜんぜん気づかなかったのです。

 

衝撃は3曲目の「Chinese Democracy」のイントロでした。

ドゥドゥドゥドゥ・ドゥドゥドゥドゥというダフのベースに合わせて、

デーデン・デ・デ・デーデン!

ん?

デーデン・デ・デ・デーデン!

これは...

デーデン・デ・デ・デーデン!

デデデ・デーデン・デデデ・デーデン!アイドンリーマーター♪

紛れもない、これスラッシュのギターじゃん!

開眼!ってやつです。

ヤバい、スラッシュが帰ってきた!

これって、夢にまで見ていたガンズ新曲の本当の姿じゃないの!

もう、そこからは歓喜の嵐です。

 

なんでしょう、この24年間、ずっと待ち焦がれていたというか、

2001年のサマソニ以来、ずっと持ち続けていた煮え切らない何かが、

ここでいっぺんに吹き飛んで、

その芯から変わらない硬い憧れがおもむろに顔を上げた感じがして、

ギターのリフがかき鳴らされる度に涙ぐむ自分がいるのです。

「ありがとう。スラッシュ、帰ってきてくれて、ありがとう!」

なんか、よくわからん感謝の念が溢れてきます。

 

続く「Welcome to the Jungle」も、

「Double Talkin' Jive」も、ダフのベースのカッコよさも手伝って、

とにかく歓喜歓喜歓喜!音がカッコよすぎるのです。

「Better」も10年前の幕張で見た景色とはまったく違う、

これこそがガンズの新曲なんだと思えるステージで、

もう悪いけど「チャイニーズ・デモクラシー」全曲、

この面子で作りなおしてくれないかなぁ、と思うぐらい。

さらに「Estranged」「Live and Let Die」から

「Rocket Queen」で前半のピークを迎えます。

「You Could Be Mine」については、

これはマット・ソーラムありきの曲だったんだなぁという感じで、

フランク・フェラーの技巧的なドラムでは、

あのドライブ感が出てこなかったのが残念でした。

そして、これまた24年ぶりのダフの「Attitude」!

公演によっては「New Rose」との日替わり曲ですが、

どちらかと言ったら文句なしで「Attitude」でしょう。

ベースにプリンスのシンボルをプリントしていたのは、

やっぱりリスペクトって意味なのかなぁ、と。

そういう先人たちへの敬意をちゃんと現しているのも、

ガンズらしさの一つというか、もう何から何までなんだよな。

 

「This I Love」のディジー・リード。

今回、オリジナル・メンバー復活と騒がれて、

陰に隠れているディジーなんだけど、

僕個人はディジーって、

逃げ出したイジーよりずっとオリジナル・メンバーだと思うのよ。

'91年の「ユーズ・ユア・イリュージョン」から加入しているし、

それこそ「November Rain」や「Estranged」など、

ガンズの音楽性の幅を大きく広げた立役者だと僕はずっと思っている。

「チャイニーズ・デモクラシー」も、言うなれば、

アクセルとディジーによるピアノロックの集大成ではないかと。

だから、ディジーはもっと陽の目を見てもいいと思うんだけど、

なんかいつも後ろの方に隠れてコソコソしてるんだよね。

そういうキャラなのかもしれないけどさ。ディジー、たまには前に出てきなよ。

 

あ、ついでじゃないけど、アクセルのボーカル。

見た目にごまかされやすいけど、93年頃のイリュージョン・ツアーより、

今の方がずっと声が出ているのがスゴイ!

ディジーの演奏のみで歌っていると、さらに際立っていました。

 

「Civil War」のスラッシュのツインギター

「Coma」で見せたバンドのグルーヴ、

「Sweet Child O' Mine」のシンガロング、

日替わり曲コーナー、横浜は「Used to Love Her」に「My Michelle」

「November Rain」から「Knockin' on Heaven's Door」

そして、締めの「Nightrain」

 

ちょっと思ったのは、スラッシュ、

もうくわえタバコしながらギター弾くのはやめたのねって。

そんなん想いながら、アンコールはどれくらい待たされるのかなと、

トイレ行っても、まだ余るかなぁ、なんて思ってたら、

ものの5分くらいで、アンコールがスタート!

このストレスフリーって、いったいなんなんだろ?

「Sorry」「Patience」が心地よく進み、

もうずっとこのまま聴いてたい症候群に入ったところで、

「Paradise City」のクライマックス。

 

今から10年前、

チャイニーズ・デモクラシー・ツアーの幕張公演では、

あまりにもつまらなくて、最後部に寝っ転がり、

ガラケーでゲームしながらライブを見ていたけど、

もう、あの頃とは比べものにならないくらい、今のガンズはサイコーです。

それを物語っていたのは、スマホで撮影している人がほとんどいなかったこと。

DVD「アペタイト・フォー・デモクラシー」を見ると、

まあ、動物園のパンダでも見ているように、

誰も彼もがスマホをアクセルに向けて、演奏なんてどうでもよさそう。

それが今回は演奏に身を委ねることができたというか、

音の洪水の中で、これ以上ない幸福感を味わえたというか、

それがスラッシュとダフの奇跡の復活によるところが大きかった。

やはりスラッシュはスラッシュ、ダフはダフなんだと。

ツェッペリンでいうボンゾ、ローゼズでいうマニ、

ポールとジョンが揃わないとビートルズにならないのと同じような、

どれだけ演奏が上手くても、オリジナルには敵わない、

オリジナルのハートというか、心意気というか、魂というか、

そういうものは、やはりオリジナルにしか出せないんだと痛感しました。

ああ、次はいつだろ。

「The Seeker」とか新曲とか、ポッと配信で出たりとかしないかなぁ。

 

久々に熱い気持ちを取り戻すことができたガンズのライブ。

Thanx! Guns n Fackin' Roses!