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ツイン・ピークス The Return 考察 第1章 すべてのピーカー達の想像を覆す展開に歓喜の叫び!

ついにWOWOWで始まった「ツイン・ピークス The Return」

伝説のテレビ・シリーズから25年ぶり!

デイヴィッド・リンチの映像作品としても、

前作「インランド・エンパイア」から10年ぶり!

にわかリンチ・ファンとして、

これほど嬉しい作品は他にありませんゼ、姐さん。

(にわかじゃないモノホンの人は喜びすぎて失禁が止まらないはず)

 

というわけで、にわかファンだからこそできる

この無謀な「考察論」というものを展開してみようかと思います。

SNSはやらないので、もしかしたら

巷ではああだこうだ意見交換がなされているかもしれませんが、

そんなものは知る由もありません。

好き放題、思うがままに、ただひたすらに書き連ねていきます。

まあ、こんなブログをどれだけの人が見るか知りませんが、

ネタバレが嫌な方は、どうぞ華麗にスルーでお願いいたします。

ガッツリなネタバレと、独りよがりな考察論、スタートです!

 

【あらすじ】

◆レッド・ルーム(赤い部屋)

  ローラ・パーマー「25年後に また お目にかかる」

◆ブラック・ロッジ?

  巨人?「蓄音機からの音、今それは我々の家に...」

  クーパー「そうだ」とそれを認める

  巨人?「忘れるな 430. リチャードとリンダ 2羽の鳥と1石」

  クーパーが消える

◆森の奥のログハウス

  ジャコビーのもとに大量のシャベルが配達される

◆ニューヨーク ガラス張りの箱がある倉庫

  サムにコーヒーを届けるトレイシー

 ◆グレート・ノーザン・ホテル

  ベンジャミン・ホーンとビバリー スカンクのクレーム処理

  「ハウスマンさんに2泊分の返金はするが1週間分は無理」

  「夫人とニューヨークからの友人にスパを堪能してもらう」

  ジェリーが登場

  アムステルダム水耕栽培した大麻AK47

ツイン・ピークス保安官事務所

  ルーシーがソリティアをやりながらペン立てにメモを貼っている

  保険外交員がトルーマン保安官を訪ねてくる

  「一人は病気で、もう一人は釣りに行っている」

◆森の奥の小屋

  ダギー・ジョーンズとオーティス

  部屋には車イスに乗った小人のような男

  そして、ソファに座って拳銃を構えている巨人のような男

  奥からビュエラが出てくる レイとダーリャを呼びに行く

  レイとダーリャ、出ていく時に車イスの男に紙切れを渡す

  オーティス「ミスターC、ミスターC」と連呼する

◆ニューヨーク ガラス張りの箱がある倉庫

  再びサムにコーヒーを届けるトレイシー

  警備員の姿がないので、トレイシーを中に招き入れる

  サムは学費のためにここでアルバイトをしている

  どこかの匿名の大富豪がここの持ち主

  サムの仕事はガラスの箱に何かが現れるのを待つこと

  サムの前任者は何かを見たらしい

  サムとトレイシー、コトを始める

  それに引寄せられるようにガラスの箱に何者かが現れる

  体格は小さく、頭部が奇形、小さな乳房が見える

  ガラスを突き破りサムとトレイシーを無残なまでに噛み殺す

サウスダコタ州 バックホー

◆アローヘッド通り1349番地にあるアパート 

  218号室に住むマージョリーと愛犬のアームストロング

  もう3日も留守にしている隣人のルース・ダヴェンポート

  ルースが住む216号室からひどい異臭

  119に連絡をするマージョリー、アパートの住所を忘れる

  警官二人が到着、216号室にはカギが掛かっている

  管理人のバーニーは留守

  バーニーの弟の居場所を聞くため、メンテナンス係のハンクのもとへ

  ハンクは警官たちをハーヴィーと勘違いする

  バーニーの弟チップのことを聞かれ動揺するハンク

  チップは電話を持っていない

  ルースの鉢植えの水やりを頼まれていたマージョリーがカギを差し出す

  警官二人、216号室の部屋の中へ

  ベッドに横たわる「左目がくり貫かれた死体」を発見する

  その頃、ハンクはハーヴィーにサツを寄こしたなと文句の電話

  ブツは全部ここにあるが自分とチップのものだと言い張るハンク

  ハーヴィーに電話を切られる

  鑑識が216号室に到着

  コンスタンスが現場を検証しているところにデイヴが到着する

  ベッドのシーツをめくると死体は頭部と胴体が別々になっていた

  胴体の全身に体毛があり、どうやら男性のようである

ツイン・ピークスの丸太小屋

  マーガレット(丸太おばさん)からホーク副所長に電話

  丸太からのメッセージ

  ・何かがなくなった

  ・それはクーパー捜査官に関したもの

  ・それを見つける上でホークの祖先(ルーツ)が関わってくる

バックホーン警察

  216号室で発見された死体の頭部はルース・ダヴェンポート

  胴体の身元は不明、指紋の照合結果も出なかった

  部屋に残っていた指紋を照合するとビル・ヘイスティングスのものだった

  ビルはコンスタンスの子供が通う学校の校長だった

◆ウィリアム・ヘイスティングスの家

  デイヴ・マックレイがビルを逮捕しに訪れる

  今夜はモーガン夫妻が食事に来る予定だった

  妻のフィリスに弁護士のジョージを呼ぶよう頼むビル

ツイン・ピークス保安官事務所

  奥から資料の箱を2つ抱えてくるホーク副所長

  ルーシーとアンディーを呼ぶ

  ホーク「クーパー捜査官に関したものが無くなった」

  ルーシー「いなくなったのはクーパー捜査官」

  ルーシー「ウォリーが生まれる前だし あの子は今 24歳よ」

  アンディー「誕生日はマーロン・ブランドと同じ」

バックホーン警察

  州警察のドン・ハリソンが到着する

  デイヴとビルは高校以来の友人で釣り仲間

  ビルの取り調べが始まる

  「ルース・ダヴェンポートは図書館の職員」

  「彼女に最後に会ったのは2ヶ月ほど前」

  「どこに住んでいるのか知らない」

  「平日の昼は学校にいた」

  「水曜は放課後に帰宅」

  「木曜は学校でミーティング」

  「金曜は妻と外食」

  「今日(土曜)はずっと家にいた」

  「木曜のミーティングは9時半頃まで、ピザを注文した」

  「木曜の夜は秘書のベティを家まで送った」

  留置所に入れられるビル

◆ウィリアム・ヘイスティングスの家

  ドン・ハリソンとデイヴが捜査に訪れる

  ビルの車(ボルボ)を調べる

  トランクを開けると、そこには釣り道具が

  道具箱を避けると、その下に肉片が落ちていた

◆ブラック・ロッジ?

  蓄音機からの音に耳を澄ましている巨人?

 

てなわけで、想像を絶する第一話はこんな感じ。

ツイン・ピークスの25年後を描くというニュースを最初見た時は、

喜びと同時に、大丈夫か?という不安が大きく、

結果、やらなきゃよかった的なことに成りかねないのではないかと

そんな風に思っていたのです。出演者みんな年を取っていることですし...

 

で、蓋を開けてみたら、やっぱりリンチだった!

オープニングのローラの25年のくだりから始まり、

クーパーと巨人?(巨人と断言できないのはエンドクレジットにGiantの表記がないから)

ジャコビー登場までは、ああ、紛れもなくツイン・ピークスの続編と思いましたが、

そこから、いきなりニューヨーク!

なにこれ?

ツイン・ピークスなのにニューヨーク?

完全に混乱したところに、ガラス張りの装置をただただ眺めているインテリジェント。

 ヤベェ、カッコよすぎる。

空間デザインも、家具の配置も、グランデサイズのコーヒーも、

意味不明なガラスの箱が、なによりも最新のリンチ・テイストに溢れている。

だけど、こんな都会的なフィルムをリンチ映画で観たことないんだけど。

スゲェと思いながら、リンチ映画という部分に違和感も感じる。

しかも、ツイン・ピークスだよ。

なに、結局、今時のドラマ路線で行くってことなの?

それって、ツイン・ピークスを語る意味があるの?

だったら、リンチじゃなくてもいいじゃん。

そんな思いに囚われていると、あのベンジャミン・ホーン登場。

ジェリーも相変わらずのぶっ飛び具合で、やっぱりツイン・ピークス

そして、我らがルーシーの登場!おばちゃん だぁ!

受付の後ろにある写真立てを見るとアンディーと子供の姿が。

保険外交員への対応も相変わらずです。そう、なにも変わってない。

いいじゃない、ツイン・ピークスが戻ってきたよ。

そう感慨に耽っていると、真っ暗な道をライトだけが照らし出す。

車から降りる見慣れぬ男。

なんの予備知識もなく観た人は、これってクーパーなん?と

ちょいプチパニックを起こすこと請け合いです。

しかも、めっちゃ強い。

きましたよ、この意味不明な感じ。

さらに再びのニューヨーク。

コーヒーを一口飲んだだけで、もうコトを始めてしまいます。

そして性欲に魅かれるようにガラスの箱に現れた "邪悪なもの"

この辺のエロスと暴力性もリンチ・テイストに溢れています。

 

ここでその "邪悪なもの" について考察。

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性欲に魅かれ、そして、残虐なまでにカップルを噛み殺す。

その行為は欲望のままに動くボブや

ガルモンボジーアを食らう小人のような印象も受けますが、

フクロウやクリーム・コーンのそれとは遥かに違う暴力性を孕んでいます。

暴力が直接的というか、もうメタファーもなにもあったもんじゃない、

贅肉をそぎ落とし、極限までシンプルにした姿が、邪悪なもの。

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魔人ブーの悪の部分だけを具現化したような、あの姿に近い。

第1章だけでは、まだまだ謎な存在ですが、

重要なファクターであることは間違いなさそうです。

 

場面はバックホーンに移り、新たな殺人事件が発生します。

アローヘッドのアパートでの、

マージョリーを中心とした警官とのとぼけたやり取りが、

リンチファンとして、たまらずニンマリするシーンでしょう。

カギ一本をめぐって、まあ、人物が出てくる出てくる。

この後、ストーリーに絡んでくるのか、

それとも、ただただ、このシーンを盛り上げるだけの人物なのか。

どっちでもいいですが、個人的にはチップ が気になる。

このご時世に電話を持たないって、どんな奴なんだろ?

 

そんなこんなですが、第1章の印象としては、

これってツイン・ピークスなの?っていうのが一番の印象。

クーパーも、ローラも最初に出てきただけだし、

ボブは?アニーは?そもそもクーパーのその後が全然わかんない。

しかも、映像のテイストが最新ドラマのようにクリアで鮮明。

今までのリンチ映像と思えるのが、

冒頭とラストのモノクロな蓄音機という。

どうも期待していた流れを完全に覆されたパターンになっています。

この裏切られ感、やっぱりリンチなのねって感じです。

それは混沌の第2章へと続きます!