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ツイン・ピークス The Return 考察 第7章 PART.1 失われたローラ・パーマーの日記を徹底解読!次元のゆがみがハンパないっ!

往年のファンなら失禁間違いなし、

テンション上がりまくりだった第7章!

ローラ・パーマー事件が劇中で語られ、

25年前のロッジ脱出後のクーパーが語られ、

ベンジャミン・ホーンはやっぱりスケベだった!

誰もが待ちわびたツイン・ピークスのその後。

語りたいことがいっぱいありまっセ、姐さん。

ありすぎて前半と後半で語りつくしまっセ!

 

◆森の中

 車を盗まれた!と騒ぐジェリー・ホーン。

 見る限り、車なんてとても入ってこれなさそうな森の奥。

 どうやら昨夜、ジャコビーのネット放送を見ながら、

 "AK47" を吸いすぎてしまったようです。

 

ツイン・ピークス保安官事務所

 ホーク副所長がトイレのドアから見つけたのは、

 破かれたローラ・パーマーの日記だった。

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  〇見つかった日記は3ページ

  〇1枚にはアニーからのクーパーについての伝言

  〇もう1枚にはボブの正体に気づいたことが書かれている

  〇日記は4枚なくなっていた

  〇あと1枚はまだ見つかっていない

 フランクは事件について記憶を思い起こす。

 クーパーは、ローラ事件の捜査のために来たのだから、

 殺されたローラがクーパーを知るわけがないのではないか。

 ホークは言う。「"夢で見た" と書いてある」

  〇25年前、ロッジから脱出したクーパーとアニー

  〇ハリーとヘイワード先生がグレートノーザンホテルに運んだ

  〇その後すぐクーパーは町を出てしまった

  〇その日クーパーを見たのはハリーとヘイワード先生だけ

 ロッジから出てきたクーパーは善い奴じゃない、とホーク。

 25年前に突然 姿を消したクーパーに不信を感じるフランク。

 当時のクーパーの足跡を追いかけ始めます。

 

さてさて、

のっけからローラ・パーマーの日記です!

ヤバイ、ローラの日記が出てくるとテンション上がるじゃん!

というわけで、

ここで徹底的にローラの日記の解読に挑戦したいと思います。

 

往年のピーカーにはまったくもって説明不要だと思いますが、

ローラ・パーマーの日記は2種類あります。

 A.事件後、ローラの部屋から見つかった日記

 B.ハロルド・スミスがローラから預かった日記

Aの日記には「貸金庫の鍵」「コカイン」「Jの頭文字」が。

Bには「ボブ」についての記載が多い。

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これは懐かしのAの日記。全てはこの序章から始まった。

ページを見ても、今回発見されたページとは罫線が違う。

 

今回、ホークが見つけた日記の断片はBの方。

実際にBの日記そのものを見つけたのもホークだった。

その時はハロルド・スミスが日記をビリビリに破き、

4ページどころか、

ハロルドの部屋中がローラの日記の破片だらけだった。

ツイン・ピークス 第14章

 

さらに4ページなくなったうちの3ページが見つかり、

残りの1ページは、まだ見つかっていないと言うが、

既に25年前にその1ページは見つかっている。

 

25年前、ローラの親友ドナ・ヘイワードが、

クーパーにトレモンド婦人を紹介しようとした時だった。

宅配サービスで度々訪れていた婦人宅を共に訪れると、

まったく別人のおばちゃんが出てくる。

これがまた"婦人"とは程遠い、

大阪のおばちゃんみたいだから、おったまげてしまう。

相手がドナだと知ると、大阪のおばちゃん、

ハロルドが自殺した日、

ドナ宛ての手紙がポストに入っていたことを教えてくれます。

受け取ったその手紙に入っていたのがローラの日記だった。

 

2月22日

ゆうべ、奇妙な夢を見た。

私は小さな男と老人とともに赤い部屋にいる。

私はボブの正体を老人に告げようとする。

でも声が変でうまく話せない。

私は老人に近づいて彼に秘密を打ち明けた。

ボブを止めないと。

ボブが恐れるのはただ一人の男。

彼の名はマイク。

あの老人がそうなのか?

夢の男の人は聞こえたかしら。

彼なら信じてくれる。

 

2月23日

今夜、私は死ぬ。

そうすればボブから逃れられる。

あいつを引き離せる。

ボブは私を欲しがってる。

死が私の逃げ道。

ツイン・ピークス 第16章

 

そして、実際に2月23日にローラは殺害され、

翌2月24日の午前11時30分に、

クーパーがツイン・ピークスに到着するのだった。

 

今回、発見された日記には下記の記載があった。

 

【A】

昨日の夜 見た夢に、それは出てきた。

私の名前はアニー、

デイルとローラ(私???!!!)と一緒にいるの。

善いデイルはロッジにいて、

そこから出られない。

あなたの日記にそう書いておいて。

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【B】

午前1時30分

私は今まともに息ができないくらい泣いている

あれはボブじゃないってことがはっきりと分かったから

 

両方とも映画「FIRE WALK WITH ME」で描かれたシーンだ。

 

【A】については、

トレモンド婦人からもらった扉の絵の世界に迷い込み、

ローラのドッペルゲンガーが生まれ、

「緑の指輪」がローラに引き渡されるシークエンスのこと。

ベッドにアニーが現れ日記と同じセリフをつぶやく。

 

【B】のボブが父リーランドだと分かったのは、

ローラが殺害される前日の夜のこと。

窓から忍び込んできたボブの正体に迫るローラは、

ボブが父親だったことを目の当たりにする。

このシーンは、ローラを徹底的に打ちのめし、

正体がバレたリーランドはローラ殺害に及んでしまう。

 

このように、

日記の内容が何を伝えようとしているのかはわかる。

だが、ローラがハロルド・スミスに日記を預けたタイミングは、

驚くことに、上の事柄が起きる前の段階なのだ。

 

ローラがハロルドに日記を預けたきっかけは、

ある日、日記が破られていたことに気づいたからだった。

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ボブが破いたと悟ったローラは、

日記を書くことを勧めたハロルドに、その日記を預けることにする。

あなたが書けと言ったから、こんなことになってしまったんだと言わんばかりに。

そして「もうここに来ることはない」と言い残し、ハロルドのもとを去った。

ローラを呼び止めようと玄関ドアまで追いかけるハロルドの手には、

しっかりと「ローラの日記」が握りしめられていた。

 

仮にそのあと、実はちょいちょいハロルドのもとに通い、

ローラが日記をつけ続けていたとしても、

殺害された2月23日のローラは精神状態が非常に不安定で、

とても、あんなポエティックな日記を書ける状態ではなかった。

 

では、なぜ日記が存在するのだろうか。

身も蓋もないことを言えば、脚本の段階で時系列を誤った。

今みたいに事細かに設定を考えない時代で、

気まぐれなリンチ教授のことでもある。

瞑想で思いついたことに、そんな細かい事をグタグタ言うな!と

ゴードンのようにこっぴどく怒鳴られそうですが、

しかし、ここまでズレていると、

設定ミスと言うよりは、たぶん確信犯である。

 

映画「FIRE WALK WITH ME」で、

ハロルドに日記を渡すタイミングが、

23日の夜、ボビーやジェイムスに会う前なら充分に整合性は取れる。

こんなことは、アッパラパーな僕でさえ気がつくんだから、

リンチ教授が気がつかないわけがない。

ということは、こんな可能性があるのではないだろうか。

「ローラの日記自体が既に次元を超越している」

まるでニューヨークのガラスの箱のように、

わたし達が生きている3次元とは別の次元とつながっているのだと。

 

そうだとすれば、

トイレのドアの隙間にも紛れ込むことができるし、

トレモンド婦人のポストに届けることもできる。

 

破かれた日記の内容は2つに分けることができる。

 1.ローラが見た夢の話

 2.ボブについて

 

2のボブについては、

ローラがいかにボブに虐げられ、

そして逃れようとしているかの苦悩が書き記されている。

 

問題は1の方である。

1について書かれていることは、夢の中と言えども、

現実に出合ったことがない人達とのやりとりだ。

しかも、時間の観念がてんでバラバラで、

タイムスリップしているというよりも、

時間の階層が幾重にも折り重なっている印象を受ける。

まるで「インランド・エンパイア」のように。

 

それはThe Returnの第2章で片腕の男マイクが、

テレビシリーズの最終回では小人が言っていた、

「これは未来か。それとも過去か」というセリフとリンクする。

ユング的に言うなら「集合的無意識」と呼ばれる領域、

人間の意識のとても深い階層でクーパーとローラは出会い、

このようなやり取りをしているように見えるのだ。

それを「あちらの世界」と呼んでいいのか、

はたまた「人間の無意識の観念」と呼んでいいのかはわからない。

いずれにしても時間を超越した場所で二人は出合っている。

映画「君の名は」みたいに。

 

もう、これは本当に個人的な仮説で、

かなりの妄想なのですが、

あえて結論を出すとするなら、

「ローラは自らの観念を日記に記すことができた」

そんな風に定義できるのではないかと思うのです。

そうするとパズルのピースが上手く嵌め込めるのです。

 

はい、

十分、わかっております。

こんなことを言い始めたら、いくらでも日記が造り出せますよね。

はい。

たぶん、造り出されてるんです、ローラの日記は。

ですが、観念を日記に記すためには、

ローラは「集合的無意識」にまで降りていかなければならない。

その引鉄がコカインであり "恐怖" であり "夢" であった。

 

そして、ローラの日記は、いつでも物語の起爆剤になっている。

ローラの日記がボブの存在をあぶり出し、

事件解決の目印になっている。

それはローラの観念がツイン・ピークスのターニング・ポイントであり、

人間の普遍的かつ先天的な、心的エネルギーの根源になっているから。

ヤバイ。

自分でもなにを書いているのかわからなくなってきた。

 

いずれにしても第1章で丸太おばさんから投げかけられた謎は、

ローラの日記の発見で、無事、回収されたことになりそう。

それによってフランクとホークは、

今のところThe Returnの登場人物たちの中では、

いち早く悪クーパーの存在に気づいた。

彼が今どこで何をしているかなんて、

フランクとホークには知る由もないんだけれど、

物語は大きなポイントを迎えたのです。

 

ではでは、ここから再び第7章の続きです。

 

ツイン・ピークス保安官事務所

 ハリーに電話をするフランク。

 どうやらハリーの容態はあまり芳しくないようです。

 

◆どこかの小屋のような家

 リチャードが乗っていたピックアップトラックが庭にある。

 事故を知り、アンディーが職務質問にやってきた。

 持ち主の男は何かに怯えているようで、

 ここでは話せない、あとにしてくれ、とアンディーに懇願。

 優しいアンディーは、

 スパークウッドの先の林道で2時間後に落ち合うことにする。 

 

ツイン・ピークス保安官事務所

 ヘイワード先生に連絡を取るフランク。

   〇ヘイワード先生はスカイプが使える

   〇この前もミューラーさんの奥方の湿疹を診察した

   〇ハンドルネームは「ミドルベリードク」

   〇25年前のあの朝、クーパーの様子は奇妙だった

   〇クーパーを病院に連れて行った

   〇ヘイワード先生が回診をしている間に検査を受けさせた

   〇検査の1時間後、集中治療室からこっそりクーパーが出てきた

   〇パジャマだったクーパーは、その時服も着替えていた

   〇振り返った彼は、やはり奇妙な顔だった

   〇呼びかけても何も言わず立ち去って行った

   〇当時、その集中治療室にはオードリー・ホーンがいた

   〇銀行の爆破事件の後、オードリーは昏睡状態だった

 どうやら、オードリーは生きていたようです。

 

バックホーン警察

 国防総省のシンディ・ノックス大尉がやってくる。

 胴体だけの遺体を確認する。

   〇頭部がない状態

   〇遺体の年齢は40代後半

   〇死亡推定日時は5日から6日以内

   〇指紋は確かにこの遺体から採取した

 それを確認するとシンディはデイヴィス大佐に連絡を取る。

 25年の間に16回も指紋のヒットがあったが、

 いずれも手掛かりになるものはなかった。

 しかし、今回は遺体が出てきた。

 その報告を聞きデイヴィス大佐はFBIに連絡をしようとする。

 シンディは「頭部がない」「遺体は40代後半」であることを報告。

 ここ数日で死んでいるのなら、

 ブリッグス少佐は70代になっているという。

 その時、シンディの背後から全身真っ黒な男が歩いてくる。

 気配に気づくシンディだが、特に用はなさそう。

 真っ黒な男も、何事もなく通り過ぎていく。

 

 さて、また次元のゆがみです。

 前回、第6章でルース・ダヴェンポートと共に発見された、

 首のない死体の身元はブリッグス少佐だったことが判明。

 少佐の胃からは元ダギー・ジョーンズの結婚指輪が出てきました。

 そして、生きていれば少佐は70代らしいですが、

 目の前にある死体は40代後半。

 どうやら、25年前、基地の火事で死亡したままの状態らしい。

 しかし、遺体の死亡推定日時はこの一週間以内のことだという。

 

 ブリッグス少佐は、もともとアメリカ空軍の軍人であり、

 宇宙人やUFOを調査する「ブルーブック計画」にも参加していた。

 そして、彼は2日間も行方をくらまし、

 その間にホワイト・ロッジに行っていたという経緯もある。

 あと忘れてはならない。

 こう見えて、ボビーの父親である。

 そんな謎だらけのブリッグス少佐の遺体。

 もう次元の彼方で冷凍保存されていたとか、

 次元の狭間から運ばれてきたとか、

 ホワイトロッジに行くと年を取らないとか、

 妄想が膨らんで、どれが現実かわからなくなってきた!

 

そんなこんなで、かなりのボリュームになってしまったので、

第7章の後半はPART.2に続きます!