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トンデモ設定だからなんだ、メーターを振り切った面白さ!「コンフィデンスマンJP」を絶対支持!

ツイン・ピークス The Return」と同じように、世の中がついてきてない日本のテレビドラマがあります。それが今期フジテレビで絶賛放映中の「コンフィデンスマンJP」。長澤まさみさん主演、古沢良太さん脚本。月9でコメディという異色の作品として注目を集めていましたが、視聴率が9%と芳しくなく、フジは完全に終わったと既に騒がれています。

ところがどっこいですよ。もともと「リーガル・ハイ」が好きで、そこから古沢ファンになったのですが、そんな古沢ワールド全開なのがこの「コンフィデンスマンJP」なのです。とんでもない作品が世の中に登場しました。

リーガル・ハイ」でも現実の事件をベースにしたり、往年のテレビドラマをとことんパロったりとやりたい放題でしたが、それに輪をかけるように「コンフィデンスマンJP」でもパロディ満載、世の中の "悪人" とされる方々を、これでもかと、とことんおちょくっています。それが見ていてめちゃくちゃ楽しいのです。

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基本は、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の3人が、各回(各界とも言える)ゲスト人(業界トップ)たちと対決していくストーリー。そこに映画やドラマや時事問題やらの小ネタを満載にして制作されています。

第1話「ゴッドファーザー編」では江口洋介さんがゲスト。日本のドン・コルレオーネとして君臨する赤星栄介をギャフンと言わせるため、騙しの騙し合いが繰り広げられるわけですが、初見では何が何だかわかんない内に始まるこのドラマ。普通の感覚で見始めると、どうして詐欺師になったのか?なんでこの3人は集まったのか?ドラマの主旨はどこにあるのか?など、いろいろと物語のベースというかバックボーンを探してしまいがちなのですが、そんなものは無意味だということが始まって15分でわかります。このドラマに今までのような生真面目さは必要ないのです。

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例えば、ドラマのベースとなっている「ルパン三世」で考えてみると、ルパン、次元、五右衛門の3人がなんで集まったのか?なんてあまり気にしません。彼らのビギニングを掘り下げていくのも面白いかもしれませんが、普通、そこに疑問は抱かないのです。それと同じようにダー子、ボクちゃん、リチャードがどうして集まったのかを探るのも無意味なんです(今後、描かれるかもしれませんが、そんな生真面目な説明は却って作品をシリアスで無意味なものにしてしまうと思います)。

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オープニングのカジノからして映画「オーシャンズ11」へのオマージュ、というか完全なネタバレを起こしているのですが、それを皮きりに映画やドラマパロディがちょいちょい挟み込まれます。副題の「ゴッドファーザー」を始め、「マルサの女」「スチュワーデス物語」「ブラックレイン」。見る人が見れば、まだまだ出てくるのかもしれません。主演の長澤まさみさんに至っては、巨乳や色気を自虐し、七変化どころではないコスプレのオンパレード、完全にふり幅を振り切った女優魂爆裂な姿を披露しています。江口洋介さん演じる赤星栄介も、アンディー・ガルシアを通り越して完全に貴乃花親方になっております。この辺も、僕のツボにドンピシャでハマりまして、ここまで物怖じせずに作品を作っている姿勢に敬意すら感じます。

第1話のラストでは、とんでもないドンデン返しが用意されているのですが、それがドラマファンたちの間で「これがありならなんでもありじゃねぇか!」と大炎上。いきなりのマイナス・スタートとなったわけですが、いやいやいや、そんなん言ったら、マンガなんてこんなことのオンパレードじゃないですか。昨今、マンガ原作のドラマばかりで辟易していたので、逆にオリジナル作品がマンガ界にさえ宣戦布告しているようで、やれやれ!もっとやれ!っと逆に応援したくなるのです。

そもそもこのドラマは完全に視聴者を騙すことに徹しています。視聴者に媚びを売ることもしません。これって面白いだろ?こんなヤツ許せないよな?みんなでやっつけちゃおうぜ!そんな学生サークルみたいなノリで物語は進んでいきます。しかし、水戸黄門半沢直樹みたいに勧善懲悪で終わるわけではありません。物語が終わる頃には、この人もこの人なりに一生懸命だったんだよ、と優しくほんのりと包んでくれるのです。

第2話では吉瀬美智子さん演じるリゾート会社社長桜田しず子がターゲットに。この第2話で「コンフィデンスマンJP」がどういった物語構成になっているのかが明らかになります。

 ①ボクちゃんがオサカナを釣ってくる

 ②ダー子が猛勉強する

 ③ターゲットに詐欺を謀る

この流れが1話完結で毎回毎回繰り広げられます。まるでルパンが物語冒頭にターゲットを定め、危機的状況が訪れ、最終的にはターゲットをゲットし、銭形警部に追いかけられながら物語が終わる流れとまったく一緒です。もう、安心して見ていられるのです。1週間、モヤモヤすることもなく、ブルーマンデーの憂鬱をスキッとして、火曜日からの活力までもらえるのです。

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第2話でも野心まみれの桜田リゾート社長を軸に、リゾート業界の暗部、政界との癒着、セクハラなど、まさに今ドンピシャな時事問題がごっそり詰め込まれています。長澤まさみさんの入浴シーンや、純情女将の湯上りなど鼻血ブーなエロネタもしっかり搭載。オープニングの寿司屋ネタは、まるでコントみたいな仕上がりですが、それも確信犯。あえてコントみたいに作ることで、コンフィデンスマンの世界に視聴者を誘っているのです。

今週放送された第3話では石黒賢さんが演じる美術評論家である城ヶ崎善三が登場。これもまた根っからのエロ親父で金の亡者なわけで、ダー子たちにやいのやいのやられていくわけですが、ここで語られている芸術論はある意味一つの真理ではなかろうかと思うほどです。古沢脚本サイコー!と喝采を上げた場面であります。また、既に話題になっていますが、3.5億円からのダー子の肩の動きからのCMが始まってブルゾン登場はもう神がかり的です。ヤバすぎます。

こんな感じで、1回見ただけではまるで物足りない、2回3回見直してもいろいろ発見がある連続ドラマ「コンフィデンスマンJP」!見逃し厳禁ですよ、姐さん!