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【コンフィデンスマンJP】これは業界暴露なのか?自虐ネタ満載だけど、ブラック企業を笑いに変えるのは難しいかも

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今回のコンフィデンスマン、ちょいと微妙な回でした。相変わらずの自虐ネタは満載なんだけど、業界ネタが "映画" という、なんでしょう、ドラマ制作陣たちに近いということもあってなんでしょうか、今までの3回と違ってどうも切れ味が悪かったように思えました。

いつもはボクちゃんが釣ってくるオサカナを、今回はダー子が道端で拾ってきたというのも、母性本能でもくすぐられたのでしょうか?それとも下手な正義感に目覚めたのでしょうか?はたまた新手のハニートラップなのでしょうか?いつもと違ってダー子主導で物語が進んでいくのです。この辺りでどうも違和感を覚えてしまい、オープニングからイマイチ乗れなかったのです。

佐野史郎さんが演じるブラック企業の社長「俵屋」から3億円を毟り取るのが今回のミッションでしたが、その動機となる食品偽造もイマイチでした。ていうか、確信犯なのかもしれませんが「国産」と「国内産」ってえらい意味が違うらしいのです。

 国産・・・輸入された食品を国内で加工したもの

 国内産・・・国内で育てた食品を加工したもの

かなり端折った説明ですが、要は「国産」と謳っているものはほとんどが輸入品だということになります。ここに疑問を抱き、僕たちは消費者に嘘をついているんじゃないかとアイデンティティ・クライシスに陥るのが、ダー子が拾ってきた俵屋工場の工場長さんです。ですが、俵屋のダンボールに表記されていたのは「国産」、うなぎは輸入されたものであったとしても、カレー味に加工しているのは俵屋の工場内なので、法的には食品表記に偽りはないのです。

ここで視聴者は既に騙されているのか、それともただのリサーチ不足なのかはわかりません。ただ、僕みたいなパンピーがひょいとググればすぐにわかるようなことを、ドラマ制作の方達が怠るなんてことはしないのではないかと思うのです。そう考えると、今回は、そもそもの食品偽造からして騙しになり、ワンマンで映画オタクな俵屋社長のブラックぶりを説明するための、いわばミスリードということになりそうです。ていうか、近藤公園さんが演じていた工場長の宮下さんが一番の詐欺師ではないかと思えてくるのです。だって「アンナチュラル」の連続殺人犯ですよ。俵屋社長を失脚させて、自分が社長にのし上がるために、なんの問題もない「国産」表記をあえて偽装だと騒ぎ立てたのではないかと勘繰ってしまうのです。

こう書いてわかるように、今回はダー子がいつも以上に俵屋に執着する意味がわからなければ、お決まりと思っていたボクちゃんの一般論も登場しない、リチャードに至ってはいったい誰をモデルに演じているんだ!と小日向さんを問い詰めたい感じでもあります(笑)。そうなんです、ダー子たちが完全に蚊帳の外なんです。

ただ、リチャードのセリフがイチイチ面白い!「山田、長谷川、中井ちゃんは決まりだね」っていうのは、山田孝之さん、長谷川博己さん、中井貴一さんを指しているのは一目瞭然。「長澤をどうするか」というのもダー子演じる長澤まさみさんのこと。本人役で出演の伊吹五郎さんに「ゴルフのやりすぎじゃないのぉ~」とお腹をポンポンとたたく姿は、パチンコや麻雀やゴルフを一切やらないという伊吹さんへのパロディ。その姿を見て疑問に思わない俵屋社長の浅はかなオタクぶりを露呈させています。「リーガル・ハイ」に出演していた助さんこと里見浩太朗さんへのオマージュでもあります。

なかなか3億の出資に食いつかない俵屋を落とすためにダー子が演じた中国の国民的女優マギー・リンは、「ポリス・ストーリー」でおなじみのブリジット・リンとマギー・チャンの掛け合わせ。特に国宝級の美女と謳われていたブリジット・リンへのオマージュが半端ない上に「こんなオーラを出せる女優は私しかいない」と言い切ったダー子に拍手喝采です(笑)

一晩で脚本の直しをしなければならなくなったボクちゃんが、栄養ドリンクやら生卵やらをガブ飲みするシーンは、まんまリアル脚本家の叫びのような気もします。ホテルに缶詰めにされて脚本を書き上げるなんて、今時の原作ありきの脚本家さんたちにあるのかなぁ?なんて勘繰ってしまいますが、逆を言うと、徹夜だろうがなんだろうが、逆さにしてでも絞り出して作品を書くほどの根性ある脚本家がいなくなったからこそ、原作ありきのドラマや映画ばかりになってしまったのかもしれません。

クライマックスの300人による合戦シーンは、劇中で「このシーンだけ撮るのに3000万もかかる...」と嘆いていたように、これは業界暴露の話なのか?と。ピロービジネスも然り、出資を決めた途端に豹変する "冬彦さん" 然り、主演女優を差し置いて男色に走るのも然り、どこからどこまでがホントなのかわからないぐらいオチャらけています。さらに五十嵐!完全に4人目としてチームに同化しています。

いずれにしても、最終的にいつもの通りな展開になっていくのですが、やはり工場長の宮下さんの陰謀論が強く、今回はどうもスッキリしませんでした。次回は病院モノ。今回のブラック企業も、僕も含めてブラックな環境で働いている人にはあまり受け入れにくいかもしれませんし、病院だと病や院内の問題など笑って済ますには重たすぎる問題かもしれません。それをどのように料理するのか?次回も楽しみです。