that passion once again

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【コンフィデンスマンJP】自分探しの果てにあるのは充実という名の幸せなのか?

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病院ものをブッ込んで2桁視聴率を目論んだ「コンフィデンスマン」ですが、結果0.1%のアップと、なかなか数字に結びつかないこのドラマ。既に全話分を撮影済のようなので、ちょうど折り返し地点を迎えたところで話題性をかっさらいたいところではあったようなのですが、どうやらハマる人だけがハマっているだけの状態のようです。まあ、しゃあないんやないかなぁ。逆にこれが18%だ23%だと言われた方が世の中おかしいような気もします。(ちなみに今回は8.2%。微妙だ...)

さて、ウッチャンがゲストの第6話は「古代遺跡編」。ターゲットになるのは過疎化する老人地域を巧みに買収する悪徳コンサルタント斑井満(まだらい・みつる)。コンサルで〇井と聞くと、かの〇井を彷彿させるのですが、その創業者〇井氏がオカルティストだったことから、今回の古代遺跡のトンデモ都市伝説に発展したのかと勘繰ってしまいます。しかし、結論から言うと、この斑井さん、そんなに悪人じゃないんですよね。表向きは村おこしの施設開発と謳って、みなさん大好きクリーンで地域貢献度の高いイメージを売りつけていますが(それこそ地域一番店みたいなね)、その裏ではさっさと産廃業者に土地を売り飛ばしてしまうと。要するに相続の関係から維持できない土地を適正価格で取得し、それをオリンピックなどの都市開発で重要となる産廃問題に利用しているだけなのです。至極、真っ当じゃないですか。考えても見てください。今から20年30年前のお台場だって、カラスちゃんたちの "夢の島" だったんです。

どちらかというとボクちゃんですよ。都市生活から離れた山間で、あまりにも普通すぎるラーメンに感動している時点で、既に "ボクちゃん" なんです。おかしいでしょ。超普通のラーメンなんだよ。"素朴" と言えば聞こえがいいかもしれないけど、"味気ない" "地味" って言ったら、ねえ?どうなのよ?ここで既に僕たちは騙されているのです、ボクちゃんに。一般論を疑うことから物語が始まっているのに、いつの間にかその一般論が正解だと思ってしまっている。自然を残すことは大切だ、地域に貢献することは大切だ、老舗の味を残すことは大切だ。果たして、斑井さんとボクちゃん、いったいどっちが悪徳コンサルタントなのかわからなくなる作りになっているのです。まるで第4話の宮下さん状態。あんた、被害者ぶってなんか企んでない?と思ってしまうのです。

いずれにしても今回、斑井さんが己のルーツに立ち返ることが物語の軸になっています。今いる自分は果たして目指していた夢見ていた本当の自分なのだろうか。そんな自問自答をコメディアンであるウッチャンが超大真面目に演じている。このドラマのテンションでウッチャン登場となったら、できればイッテQ並みにはっちゃけて欲しかった気もするのですが、完全にその裏をかいた作りになっているのです。その意図はわかるのですが、う~ん、どうなんだ。なんか妙にマジメで肩透かしを喰らった感じです。

それもたぶん演出の金井紘さんのカラーではないかと思います。第2話の桜田しず子然り、第4話の俵屋勤然り、今回の斑井満も、出てくるゲスト人みんな "本当はやりたくて仕方ない事" を押し殺して、富や地位・名声に走っているのです。それを先週の演出だった田中亮さんのように十歩も百歩も突き抜けたエンターテイメントに料理してもらえると楽しめるのですが、金井さんのようにどこかマジメに描かれてしまうと、妙にシラけてしまうというか、どこに "コンフィデンス(信頼)" を置いたらいいかわからなくなってしまうのです。 そうなると第4話の時に囁かれていた「なんか騙されている俵屋社長が可哀そう...」という善悪逆転の視点が生まれてしまう。

副音声では五十嵐とボクちゃんのコメンタリーが放送されていましたが、小さいネタでいくとレキシの歌とアフロだったり、十色村(じっしきむら)→といろむら→トロイなんていうアナグラムだったり、斑井パパが書いた『幻を求めて』全18巻が第2話の八五郎の宿の本棚に飾られているとか(こんなんわかるわけねぇ!)、最終回の10話では過去が語られるなんて意味深な伏線が張られていたりしましたが、そこで何度も五十嵐が言っていたのが「ウッチャン、ボケないねぇ」という誰もが思った心の声を連発していたこと。うん。五十嵐の言う通り、ボケたウッチャンが見たかったなぁ。

次回は竜雷太さん。「貴族探偵」よりも断然「SPEC」や「ケイゾク」のイメージが強いので、その辺り少しでも触れてもらえると面白いかもしれないけど、どうだろうな。柿の種持って「雅ちゃ~ん」と叫んだら、たぶん二度目の神回です。でも、実際は今週の延長線上でどことなく人間ドラマが描かれそうで、ちょいと不安...。