【コンフィデンスマンJP】弁天水が全てを解き明かす!ドラマ世界の時間軸を勝手に妄想してみた!
さて初のオケラだった今回のコンフィデンスマン。物語としては美濃部ミカや大沼秀子の、一本筋の通ったアスリート並みの目標意識を貫く姿勢、もしくは人生に対して全身全霊で何かを成し遂げようとする想いに、普段から長いものに巻かれまくってる僕は身につまされる思いだったのですが...。
「美のカリスマ編」ということで、どこか『プラダを着た悪魔』を彷彿させるようなパロディを挟み込みながら(美濃部ミカの出社シーンやダー子が化粧で別人かと思えるほどに変身したりなど)、美の本質は化粧ではなく本来持っている素材そのものなのだという逆説を訴えたり(ぽってり下っ腹のほのかちゃんが容姿同様、思考回路までぽってりちゃんだったことなど)、今回もさりげなく高レベルで楽しませてもらったのですが、それよりも何よりも、この第8話になってやっとこのコンフィデンスマンという世界のパラレル感というか、時間軸がわかり始めたことです。
前々からダー子のフェルメールであったり "ウナギのカレー煮" であったりと、作品内で小道具があちこちで顔を出していたのですが、今回の "弁天水" によってそれらが実はあちこちに散らばった伏線である可能性が見えてきました。脚本の古沢さんは「現場での遊び心」と言っていましたが、実はそれだけではないような気もするのです。なので、まずは第1話からズラーッとその小道具関連を洗い出してみることにしましょう。
【第1話】
◆いわき空港にMIKAブランドのポスターが貼ってある
【第2話】
◆民宿「八五郎の宿」の本棚に『幻を求めて』
◆桜田リゾート「鈴の音」にMINOBEの化粧品 "弁天水"
【第3話】
◆伴ちゃんが "うなぎのカレー煮" を食べている
【第4話】
◆ダー子の部屋のテレビに『ドクター・デンジャラス』
【第5話】
◆野々宮ナンシーが猫ノ目八郎の『ヤバイ!』を読んでいる
◆ダー子のフェルメールが野々宮総合病院に飾られている
【第6話】
なし
【第7話】
◆夜桜の麗が経営していた裏カジノの日本刀(柄が色違い)
◆夜桜の麗が経営していた裏カジノの金庫(飾りが多い)
◆銀座カフェバー「スワンソン」のボンボン時計(メーカーが一緒)
◆第70回鎌倉市民花火大会の協賛に「公益財団あかぼし/桜田リゾート/斑井コンサルティング」が名を連ねている
【第8話】
◆MIKAブランドの受付にダー子が作った土偶となんちゃってオジサンの埴輪
いかがでしょう。細かく探すとまだ出てくるのかもしれませんが、とりあえずこんな感じで縦横無尽に小道具が行き交っています。その中で着目したいのが第6話、ウッチャンが登場した『古代遺跡編』だけが、どこともリンクしていないのです。ここをゼロ起点として物語を紐解いていくとコンフィデンスマンの時系列が垣間見えてくるような気がするのです。
もともと、このコンフィデンスマンは先に撮影を全て撮り終えており、放映順序も撮影順序も第1話から順繰りに撮り始めたわけではないことが副音声などで既に明かされています。古沢さんも長いストーリーをブツ切りにしたわけではなく、単純に一話完結でそれぞれ脚本を書き始めたと語っていました。来週の第9話、そして最終話で、ここで紐解いたことがひっくり返される可能性は充分にありますが、まずは現段階でわかることを時系列に沿って整理していこうかと思います。
①花火大会に協賛の名を連ねていることから時系列として一番古いのが与論要蔵の物語であると仮定します。与論要蔵が毎年楽しみにしていた花火大会に協賛していることから推測するに赤星栄介・桜田しず子・斑井満の3名は与論要蔵と顔見知りの可能性が高い(もう一つ協賛に名を連ねている "モスモス" は詳細不明)。さらにはダー子の子猫ちゃんたちも含めて巣鴨のキンタ・ギンコとの出会いはその後の計画性に何かしらの暗躍を及ぼしているかもしれない。与論宅で食べた卵かけご飯が素晴らしく美味しかったため、山本巌の "天賜卵" を取り寄せるきっかけにもなったのかもしれない。
②MIKAブランドの受付に土偶があることから、ダー子たちは与論要蔵の次に斑井満に照準を合わせたと考えられる。そこで大量の縄文土器を捏造し、五十嵐のネット拡散で集まった在野の中にいた誰かがMIKAブランドに就職した、もしくはもともと在職していた可能性が高い。ダー子はなんの変哲もない山を買い取り、それを斑井に譲渡しているが、ここから時が経ち、数年後には映画『立ち上がれ つわものどもよ』の撮影で再度訪れている。
③伴ちゃんが "うなぎのカレー煮" を食べていることから、斑井満の次に照準を合わせたのは古美術商である城ヶ崎善三になる。ここでダー子はフェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」を模した「パール、あるいは、少女」を創作する。この絵はネットオークションで高額取引され、競り落としたのは野々宮総合病院の理事長である野々宮ナンシーだった。
④いわき空港にMIKAブランドのポスターが貼られていたことから、城ヶ崎善三の次は赤星栄介がターゲットにされている。ダー子たちは、既に会社を手放し、山で遺跡発掘に勤しむ斑井満に、いわき空港捏造の場所を密かに教わっていた可能性がある。桜田リゾート運営の「鈴の音」にあるMINOBE化粧品 "弁天水" のラベルには日本地図が描かれ、そこに東京・山形・鳥取辺りに意味深な印がついていた。鳥取砂丘に降り立った赤星栄介はそこで何かを発見し、美濃部ミカと何かしらのコラボレーションをしているのかもしれない。
⑤先の "弁天水" のブランド名がMIKAからMINOBEに変わっていることから、赤星栄介の次は美濃部ミカがダー子たちと対決していると読み取れる。既に斑井満と懇意になっているダー子たちは山形の人知れない山村を美人村に作り上げる。しかし、美濃部ミカは手強く、さらにはその思想にあろうことか共感までしてしまったダー子たち。だが、ぽってりエスティシャンほのかちゃんのリークで美濃部ミカは社長の座を退くことになる。その後、見事に返り咲いた美濃部ミカはブランド名をMINOBEに変更した。
⑥民宿「八五郎の宿」に "うなぎのカレー煮" のダンボールがあることから、美濃部ミカの次のターゲットは桜田しず子。ここでも斑井満の力が働き、もともと斑井万吉のファンであった八五郎さんを利用しながらダー子たちは桜田しず子を貶めていく。経営者が交代しても破竹の勢いが止まらない桜田リゾート。そのリゾートホテルに泊まりに来たダー子たちは "弁天水" を見つけ、遠まわしに美濃部ミカを超一流と褒め称えている。
しかし、懸念すべき点が一つだけある。この時点でボクちゃんはまだ五十嵐を知らないでいる。ダー子の影の存在として暗躍する五十嵐は、桜田しず子編以降、第四の存在としてボクちゃんとも顔見知りになっている。この点をボクちゃんが五十嵐を完全に知らなかったと定義するなら⑥は①よりも前のことということになり、ここまでの理論はご破算になり、数々の小道具の存在ももう一度並べ直す必要がある。
もしくは五十嵐を知ってはいたが、八五郎の島では本気で殺されるかもしれないと思い込み、その後の「お前は誰なんだ!」につながるとしたら、それはそれで首の皮一枚でつながるのかもしれない。
⑦ボクちゃんと五十嵐の関係性が継続できるものとして整理していくと、ダー子の部屋のテレビで劇中劇『ドクター・デンジャラス』が放送されていたことから、桜田しず子の次は俵屋勤がターゲットになっていると推測できる。奇しくも美濃部ミカとの出会いで美や色気に興味を示し始めたダー子が、場末の映画館でマリリン・モンローの研究をしていた帰り道に俵屋フーズの工場長である宮下さんと出会っている。ただし、この⑦と⑥は逆の可能性もある。マギー・リンが美濃部ミカの影響により産まれたキャラクターであると定義するなら、桜田しず子は俵屋勤よりも後の事と考慮せざるを得なくなる。そうするとボクちゃんと五十嵐の関係性がより重要視されてくる。
⑧現段階で時系列順に見ると野々宮総合病院の野々宮ナンシーが一番新しいことになる。猫ノ目八郎が書いたトンデモ本『ヤバイ!』を熱心に読み耽っていたが、どうやらナンシーはダー子たちがネットに出した紛い物たちに、あろうことかことごとく引っかかっているようである。もしくは密かにユーチューバーを目指していた新琉がネットサーフィンで網にひっかかっていた可能性もある。さらには野々宮ナンシーと美濃部ミカが知り合いであると考えることも充分できる。
こんな感じで一つ一つの物語を俯瞰して、コンフィデンスマンという世界の時間軸を大きく捉えることが可能ではないかと。さらには各話での時間経過も簡単に1年後とか数か月後とか出てくるので、いろんなエピソードが同時進行で運んでいる可能性も充分にあります。
こうして見てみると経済ヤクザだった与論要蔵と日本のゴッドファーザーと呼ばれた赤星栄介の二人には何かしらの関係性があるのではないかと憶測できますし、あちこちの土地を転売していた斑井満と日本中にシェアを構える桜田しず子も顔見知りだった可能性があります。今回初めてオケラだった美濃部ミカは他のターゲットに比べて明らかにダー子たちにとって特別な存在であると言い切ることができます。異色なのは城ヶ崎善三と俵屋勤の二人。彼らはダー子たちにとって、ほんの息抜き程度の遊び相手でしかなかったと。そうするとダー子たちのラスボスは巷で噂になっている赤星栄介の再登場、もしくは彼らさえも裏で動かしていた大きな存在であると考察することも可能ではないかと。
まあ、そうは言っても、これらは僕の完全な妄想なので、来週あっさり覆されるかもしれません。そうなったらそうなったで、また別の妄想を広げてみます。