that passion once again

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【dele #1】正義と欺瞞

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『dele (ディーリー)』

第1話「死後、不都合な記録を削除致します」

監督:常廣丈太

脚本:本多孝好

 

てなわけで、もともと本多孝好氏が大好きで、デビュー短編集『MISSING』から事あるごとに読み続けているのですが...。6年前の『ストレイヤーズ・クロニクル』のライトノベルチックな世界観についていけず、それからとんとご無沙汰をしておりました。

そんな本多氏の最新作がテレビドラマで映像化される。しかも出演者がまあ見事なくらいに豪華。そして、本多氏自らが脚本も手がけるとあっては観ないわけにはいきません。で、様子を観ながら4話目まで来たのですが、これは前期の『コンフィデンスマン』に続いて、毎週毎週楽しみにできる作品にまたまた出会えましたよ!と。

 

「あなたが死んでも、スマホ・PCは生きている...。不都合な記録、削除(=dele)いたします」

 

主人公は山田孝之さんが演じる坂上圭司ことケイ、その相棒に菅田将暉くんが演じる真柴祐太郎。ケイのお姉さんで弁護士の麻生久美子さんこと坂上舞さま。この3人を軸にデジタル遺品を巡って、依頼人の人となり、その人生と死を1話完結で描いています。

本多氏のデビュー作『眠りの海』から綿々とテーマにされている "死" というものを、相も変わらず優しい視点で描いていることにめちゃくちゃ好感がもてる作品で、ご都合主義とか王道過ぎるとか春樹チルドレンはこれだからダメだとか、そんな野次は無視して純粋に楽しめるエンターテイメントになっています。

 

注目の第1話の依頼人は三流の週刊誌記者。なんてことのないゴシップ狙いの記者が、実は警察絡みのとんでもない悪事の真相を追っていたという筋書きで、ハラハラドキドキの追跡劇が展開、ドラマの第1話らしい仕上がりになっています。

ゲストで登場する般若氏も、敬愛する長渕剛ばりの強面で好演。普通におっかないですわな、街で出くわしたら真っ先に視線そらすわな!

今や国民的な "みんなの末っ子" 菅田くんも、その襟足もうちょっと切った方がスッキリするんじゃない?なんて思いながら観ていましたが、なかなかにその愛嬌っぷりがこのドラマの軸になっていていい感じです。『銀魂』の小栗旬くんが、もともと "みんなの末っ子" だったように、菅田くんもそのうち「ま~きの!」なんて言いながら兄貴風を吹かすようになるのかと思うと楽しみです。

CMではおちゃらけ役が多いのに映画やドラマになると急に寡黙な好青年を演じだす山田先生、今作も多分にもれずブスッとしてなんの可愛げもありません。オレはできる男、オレはクールな男、オレは無表情で笑える男、そんな感じで口元はピクリとも上がりません。なぜ、車椅子に乗っているのか。なぜ、姉弟で同じビルの中で働いているのか。そもそも両親はどうしたのか。原作を読んでいないので、その辺の事情はこれからの楽しみになるのですが、そこは本多氏のことです。たぶん、それなりの理由があるはずだと安心しています。菅田くん演じる祐太郎の過去もなかなか波乱がありそうですが、まあ、他局で放送しているような児童虐待とか、そういう類の辛い話はあまり見たくないなぁ。ドラマを見ている間だけは、現実の悲しい出来事は忘れたい。それでも現実を見ろと言うならニュースを見ればいいわけで、ね、ドラマや映画では現実以外の楽しみを味わいたいじゃないですか。

そんな中での麻生久美子さまですよ。おキレイですね。目の保養ですわ。