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【連続テレビ小説「なつぞら」】第2週 事情なんか くそ食らえだ!

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今週も大いに泣かされました。

そして、チビなっちゃん編も今週で終わりのようです。

ええええええええ!!!!!

もう一週ぐらいやろうよぉ~。

あの健気さが一日の活力になってたのに...。

 

今週のテーマは「怒り」です。

というよりも、朝ドラ一週間では物足りなくて、

今週は土曜日の連続再放送を観ました。

全部で一時間半です。

90分、CMなしです。

ぶっ続けで観ちゃいました。

へへっ。

 

父親を奪った「戦争」

兄弟を散り散りにした「浮浪児狩り」

そして、それを引き起こした「時代」

そんな居たたまれない境遇に対して、

チビなっちゃんの怒りが爆発したのが神回の "9話"。

日本中が涙しました。

 

涙しながら、僕は思いました。

果たして、僕はここまで本気で怒ったことがあるだろうか。

 

イラつくことは毎日腐るほどあります。

レジで先客がもたもたとサイフから小銭を出していると、

なぜ、前もって準備をしていないのかとイライラする。

駅の改札口、ひっかかる人間がいると舌打ちをしてしまう。

その挙句に目の前で電車のドアが閉まった日には、

さっきの改札口でひっかかった人間をひっ捕まえて、

構内中を引きずり回したくもなります。

でも、それは「怒り」ではない。

単に自己中な思い込みにしか過ぎません。

自分自身に余裕がないため、他人にあてこすりしているだけ。

頭ではわかってますが、その場ではついカッ!となってしまう。

ちっちぇなぁ...。

でも、少しは後ろの人に気を遣うのも必要ではないかとも思う。

 

ボロ家住まいの天陽くん。

郵便屋さんのお父さんは、それを恥じています。

そして、もともとは東京に居たというプライドもある。

でも、子供にはそんなこと関係ありません。

チビなっちゃんから見ると、

お父さんもお母さんもいて、お兄ちゃんもいる天陽くんは、

そりゃあ、羨ましくてしょうがない。

幸せなんだろうなぁと思う。

でも、天陽くんは叫びます。

「ちきしょう!バカ野郎!」

 

なっちゃんのお父さんがウッチャンだったことも判明した今週。

あの馴れ馴れしいナレーションの意味も、これで解決ですが、

そのウッチャンお父さんも手紙で叫んでいました。

「ちきしょう!バカ野郎!」

 

本気の「怒り」には、本気の「悔しさ」が必要なんです。

ありますか?

心の底から「悔しい」と思ったこと。

歯ぎしりするほど「悔しい」と思ったこと。

身を焦がすほどに「悔しい」と思ったこと。

 

僕にはありません。

完全に温室で育ってます。

湯温40度のぬるま湯でふやけまくってます。

そうなんです、僕は夕見子ちゃんと一緒なんです。

 

牛乳は嫌いだから飲まない。

私のものは私のもの。

苦労したり痛いことしたりするのは男の子の役目。

映画を見てるとお便所に行きたくなる。

私は我慢できるけど、なっちゃんは漏らしたに違いない。

おいしいものは好き。

見た目が大事。

ああ、貧乏臭いのはヤダヤダ。

ああ、田舎臭いのはヤダヤダ。

そうして、昭和は平成になり、令和になろうとしています。

 

チビなっちゃんを観て泣いている自分は、

たぶん、夕見子ちゃんと同じで、

物の高みから可哀いそぶってるだけなのかもしれません。

そういう一面は確実にあると思うのです。

 

しかし、その裏側では、

本気で悔しがって、本気で怒って、本気で笑っている、

そんななっちゃんが羨ましくもあるのです。

かつては何かに本気で取り組んでいたあの日の自分、

それを失ってしまったことへの涙なのかもしれないのです。

 

柴田のおんじは富山出身でした。

身一つで北海道にやってきましたが、

なかなか簡単に人生は進んでいきません。

そこで教えを請うたのが「晩成社」という開拓団。

彼らから牛飼いの道を進められ今に至ったようです。

 

柴田のおんじのその懐の深さと気骨さは、

ドラマのスタート時から絶賛されていましたが、

そのバックボーンには、

今に至るまでの並々ならぬ苦労があってこそだと、

だからこそ、チビなっちゃんも心を開いたのだと、

そんなことも描かれていた一週間でした。

 

何か新しいことを「開拓」しようとした時、

そこにはとてつもない大きな壁がそびえています。

若い頃は、そんな大きな壁を壁とも思わず、

ぶち当たって、転がり落ちて、それでも立ち上がって、

これぐらい、なんぼのもんじゃい!と笑っていました。

それが楽しかったのです。

 

それが今ではどうでしょう...。

天陽くんのお父さんと同じで、

無理して過酷な状況で生きていく必要はない。

大人の事情ってものがあるんじゃい。

改札口はスマートに通り過ぎろ。

レジでもスマートにキャッシュレスでいけ。

スマート、スマート。

なにごともスマート。

大人だろ。

ガタガタ騒ぐな。

長いものに巻かれろ。

忖度しろ。

 

「くそ食らえだ!」

 

柴田のおんじの一喝に目を覚まされました。

そうなんです。

目の前で真剣にもがいている人間がいる。

お前はそれを

ただふざけて溺れているふりでもしていると、

そうな風にあざ笑うのか?

目ん玉はどこについてる?

前を見るためについてるんじゃないのか?

目をそらすなら、

そもそも見えるところにいるんじゃない!

目の前のことに目をそらすな。

今を真剣に見つめろ!

覚悟を決めたら、最後までやり通せ。

その昔、僕を育ててくれた先輩たちの声が響きました。

忘れていました。

僕たちはただ生きてるんじゃない。

生かされているんだということに。

先人たちの功績の上に僕たちの今があるということに。

 

もう、いろいろと考えさせられた90分でした。

泣いて、笑って、思い知らされて。

ああ、いいドラマだなぁ。

まだ2週目だけど...。

来週からはすずちゃんかぁ...。

またチビなっちゃんの出番が来ないかなぁ。