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【連続テレビ小説「なつぞら」】第4週 私は自分のためにやったの。自分のことだけに夢中だった。

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2019年4月22日の月曜日、朝8時8分。突如、日本中のお茶の間がひっくり返り、口にしていた昆布茶がブブッ!と吹き出し、春の陽気に包まれ縁側でまどろんでいた猫がンニャッ!と飛び起きました。そうです、番長の登場です。僕も毎朝欠かさず飲んでいた明治おいしい牛乳が思わずグフッと鼻から飛び出してしまいました。

なつぞら運命の第4週目は、このすっとこどっこい34才の角倉番長に全てをもっていかれました。これは卑怯です。おいしすぎます。あの "よっちゃん" まで影が薄くなってしまうんですから、牛扱いされている彼女に両手をついて土下座しなければいけません。

なっちゃんを裏山に呼び出し、FFJの歌を謳歌し、単細胞そのままに演劇部に入部。おとなしく小道具作りに没頭しているまではよかったのですが、徐々に舞台上で自分をさらけ出し始めたなっちゃんを目前にし居ても立ってもいられなくなると、村長(むらおさ)役のメガネくんを引きずりおろし、オレ様が貫録だわさっ!となっちゃんに猛アピール。もともと34才なんだから、貫録があって当たり前じゃない!という夕美子ちゃんばりのツッコミも物ともせず、いよいよ本番です。

お茶の間は、柴田のおんじはなっちゃんの晴れ舞台に間に合うの?とヒヤヒヤしていたのですが、それよりもこれよりもですよ。番長、舞台に上がったら頭が真っ白になりやがった!番長、目が完全にイッちまってる!なんなんだ、この愛すべきキャラは!しかも何をトチ狂ったかFFJの歌まで歌い始めた!しかもトレンド入りだよ!スゲェ。

いやぁ、愛すべきキャラが大渋滞している「なつぞら」。チビなっちゃんロスまでとっくの昔に消え去ってしまいました。

 

舞台の台本として登場した『白蛇伝説』。巷ではなっちゃんのモデルとして注目されている奥山玲子さんもスタッフとして参加した日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』の伏線ではないかと見られています。また、天陽くんのモデルである神田日勝氏が出演した鹿追駐屯地と十勝地区の酪農家たちの対立を描いた『山麓の人々』という舞台を下敷きにしているとも見られているようです。

いずれにしても、村という共同体よりも一個人の感情を優先してしまったがために、愛する者までも失ってしまうという救いのない物語に、柴田のおんじは "愚か者" の烙印を押されたと勘違いしてしまいました。同時に、天陽くん家の牛乳が決して脂肪率の低い不味いものではないのに、メーカー主導で1升につき6円も安いことに柴田のおんじはショックを受けていました。そこで出した決断が「農協に協力する。団結が必要だ」ということでした。

富山から一念勃起で十勝に赴き、開拓魂でゼロから酪農を始め、愛する妻が病気で倒れても助けてくれる者はなく、男手一つで娘を育て、やっと手にした地域一番の酪農家の地位が、今では卑怯者と後ろ指を指されている。そして、実の孫よりも可愛がってきたなっちゃんに "愚か者" 呼ばわりされた、その胸中を思うと居た堪れなくなります。

「このわしが、愚かだったか...」

いやいやいや、あなたは立派じゃないですか。いったい、何をおっしゃいますか。「じいちゃんは愚かじゃない!」と大粒の涙で否定するなっちゃんに思わず、ええいああ、君からもら~い泣~き、ですよ。やさしいのは誰です?

はい、今週も大いに笑って泣かされました。