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【連続テレビ小説「なつぞら」】第9週 人目に触れない人たちの活躍で物事の大半は作られてるんだ。

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現在、『なつぞら』が舞台にしているのは昭和31年、1956年です。

ちょっと簡単な年表にしてみます。

 

1928年(昭和3年)6月4日、張作霖爆殺事件

1937年(昭和12年)奥原なつが東京に生まれる

1937年(昭和12年)7月7日、盧溝橋事件~日中戦争

1940年(昭和15年)11月、映画『ファンタジア』がアメリカで公開される

1941年(昭和16年)12月8日、英米に対して日本が宣戦布告、太平洋戦争開戦

1942年(昭和17年)4月18日、ドーリットル空襲

1942年(昭和17年)6月、ミッドウェー海戦

1945年(昭和20年)3月10日、東京大空襲

1945年(昭和20年)8月6日、広島に原子爆弾が投下される

1945年(昭和20年)8月9日、長崎に原子爆弾が投下される

1945年(昭和20年)8月15日、玉音放送

1946年(昭和21年)5月、奥原なつが北海道・十勝の柴田牧場に引き取られる

1949年(昭和24年)10月1日、中華人民共和国が建国される

1950年(昭和25年)6月25日、朝鮮戦争勃発、朝鮮特需

1951年(昭和26年)9月8日、サンフランシスコ和平条約が締結される

1954年(昭和29年)12月~、神武景気、高度経済成長の始まり

1956年(昭和31年)4月、奥原なつが上京する

 

こんな感じでフィクションとノンフィクションが織り交ざってはいますが、戦前に生まれ、先の大戦を経験し、戦後の好景気を迎える東京で、なっちゃんは社会人としての一歩を踏み出そうとしています。大きな括りで見ると軍人支配が大破し、混沌とした牧歌的な時代が終焉を迎え、いよいよ民主主義国家として日本が経済大国へ向かって動き出す。誰もが夢を見て、誰もが自由になろうとし、誰もが幸せをつかもうとしていた時代。その帝都のど真ん中で生きてきた咲太郎は「自分を生かす仕事を見つけた者は幸せだ」とドヤ顔で語っていました。

 

最近、ちょっと太平洋戦争絡みの本を読み漁っていたせいで、頭がそっちに行ってしまっているのですが、ドラマ『なつぞら』には "戦災孤児" という重要なテーマがあります。東洋動画(現:東映)という今でいう大企業の面接で "戦災孤児" や "プロレタリア演劇" "愚連隊" など左翼的な因子を忌み嫌う「アータ、アータ」言うてる大杉社長が描かれていましたが、こういう偏見は昭和中期も令和になった現代でも、あまり差はないような気がします。却って、現代の方が酷いのかもしれません。

ただ、咲太郎の部屋を見ると『椿姫』や『バーレスクショウ』のポスターが貼ってあったりするので、大杉社長が偏見を抱いても仕方がないところもあるかもしれません。いや、伸さんが言うように「そんなに深くは考えていない」みたいなので、もう単純にべっぴんさんが気に入ってポスターを貼っただけみたいな短絡的なところが真実のような気もします。それが誤解を生んでいる。そうなんです、今週(先週も)はそんな咲太郎の短絡的で身勝手な行動がいろんな誤解を生んでいて、朝から「咲太郎、てめぇこの野郎!」みたいな気分に陥りやすかったのです。まあ、無事に合格したので、終わり良ければ全て良しみたいなところはありますが...、おんじがそばに居たら天丼ごときではごまかされないぜよ、咲太郎。フーテンは寅さんだけで充分じゃわい。

なっちゃんが目指す未来には、戦災孤児で行き場のなかった自分を救い出してくれた柴田家のように、子供たちに夢や希望を与えるアニメーションを作るという "挑戦" が待っています。先の大戦で悲劇に見舞われた子供たちに限らず、世の中には声なき弱者が大勢います。そんな弱き人たちへの何かしらの力になれるよう、なっちゃんの修行がこれから始まります。がんばれ、なっちゃん。負けるな、なっちゃん