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【連続テレビ小説「なつぞら」】第14週 人間は一人で生きようと思えば寂しいのは当たり前じゃ。

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気が付けば折り返し地点を迎えていた朝ドラ『なつぞら』。今週はとうとう千遥ちゃんが登場し、行方知れずだった家族の、その伏線回収の週でした。まずは、今までの千遥ちゃん関連の謎というかフリをおさらいしてみましょう。

 

①引き取られた親戚の川谷家

なっちゃんのお母さんの従姉妹である とし叔母ちゃん に引き取られた千遥ちゃん。浮浪児狩りで孤児院に入れられたなっちゃんや咲太郎と違い、心優しい とし叔母ちゃん のもとにいる千遥ちゃんは必ずや幸せに違いないと兄姉の二人は思い込んでいました。

 

②引っ越してしまった川谷家

幸せに違いないと思いながらも、兄姉と離れひとり親戚に預けられた千遥ちゃんの身を想い手紙を書き続けていた咲太郎のもとに「里心がつくといけないから、もう手紙は寄こさないように」という返事がきます。孤児院を出て千遥ちゃんに会いに行くも川谷家はもぬけの殻。行方知らずになってしまいました。

 

③放送記者・信さんの情報力

時は過ぎ、放送局に就職し記者となったなっちゃんの幼なじみ信さん。初仕事で制作したニュース『都会の迷子たち』は、どこか両親を亡くした戦争孤児たちを彷彿させる内容でした。それを見たなっちゃんは、千遥も私たちを探しているかもしれないと思い立ち、信さんに千遥ちゃん捜索を依頼します。そして、たどり着いたのが千葉のアパートでした。

 

④戦後の極貧

一目会いたいと千葉のアパートを訪れたなっちゃんと咲太郎。そこで明かされたのは、半身不随となって復員した川谷さんは仕事のできない身体になり、女手ひとりで家計を切り盛りし極貧生活で気持ちが荒み千遥ちゃんにだけ辛くあたっていた とし叔母ちゃん、そのいじめからわずか5歳で逃げ出した千遥ちゃんの現実でした。

 

NHKスペシャルで取り上げられた "戦争孤児" の特集を見ればわかるように、当時の状況はとてもひどいものだったようです。

そんな過酷な状況を生き抜いてきたのが咲太郎でありなっちゃんであり千遥ちゃんでした。しかし、なっちゃんには柴田のおんじと富士子さんが、咲太郎には亜矢美さんが、そして、今週明らかになったのは、千遥ちゃんにも置屋の女将、光山なほ子さんがいました。そのなほ子女将を演じる原日出子さんもかつての朝ドラヒロイン!とことんまで作りこまれているではありませんか。

 

川谷家を飛び出した千遥ちゃんは、線路伝いに歩いていけば東京に行けるとひたすら兄のもとへ向かい、そんな軌道を歩く5歳の女の子をどこかの復員兵が拾い上げたようです。しかし、世は自分が生き残るだけで精一杯の世界。どこかの復員兵は なほ子女将 に千遥ちゃんを身売りすると、さっさと何処へと消えてしまいました。(変な深読みをするなら、千遥ちゃんに結婚を申し出てきた家柄の良い誰かとは、もしかしたらこの復員兵かもしれません...。妄想ですけど...)

置屋に身売りされた千遥ちゃんは、そこで芸事を躾けられ、舞妓さんの見習い期間である "お酌" になります。そこで持ち上がったのが縁談話。ただ、その話を受け入れるということは、なっちゃんや咲太郎との永遠の別れを意味してしまいます。なので、千遥ちゃんは話がまとまる前に、自分の過去と対峙すべく、なっちゃんがいると知らされた北海道・柴田牧場へとやってきました。

そこでの柴田家とのふれあいは心底から感じる温かいものでした。千遥ちゃんの心は揺れ動きます。このまま、ここで感動の兄姉との再会を味わえたら、そんなに幸せなことはない。誰もがそう思いました。しかし、なっちゃんが育ての親である富士子さんを裏切れないように、咲太郎が亜矢美さんのために借金までしてムーラン・ルージュを復活させようとしていたように、千遥ちゃんもなほ子女将を悲しませることはできなかったのです。

この3兄妹の境遇はどれもシンクロしているように見えます。富士子さんが最初「わたしはあの子の母親になる自信がない!」と叫んでいたように、亜矢美さんにもなほ子女将にもそういった心情があったのではないかと推察できます。さらには、この3兄妹のひたむきさに心動かされ、我が子のように可愛がってしまうことも同様です。それは前述の "戦争孤児" の現実から見ると、これ以上ない奇跡の話なのです。あの悲劇な時代の中でも、こんな奇跡があってもいいよね、こんな心温まる家族がいてもいいよね、そんな製作者たちの想いがビシビシ伝わってくるのです。

その結末は "兄妹の縁を切る" というとても悲しいものでした。でも、その先のどこかで兄妹の再会が待っているのではないか。そんな淡い期待もあります。そして、おんじが語っていたように「人は離れていても支え合うことができる」はずです。生きていることがわかっただけでも、幸せであることがわかっただけでも、心の糧にすることができる。うう...、やっぱ、いいドラマだなぁ、姐さん。

 

ちなみにSNSでは天陽くんの結婚は許さない!と騒がれていましたが、僕はどちらかというとよっちゃんと番長が未だに青年団で演劇を続けていたことの方がビックリでした。それきっかけで天陽くんはやっちゃんと知り合ったとなると、ん?...、番長、またなにかしでかしたのか?と勘繰って仕方がありません。