永井真理子デビュー33周年記念ライブ ~I'm happy to meet you~
永井真理子、デビュー33周年記念ライブ。人それぞれ、さまざまな想いを抱えながら、このライブを迎えられた方が多かったのではないでしょうか。北は北海道、南は九州(沖縄の方もいらっしゃったのかな)日本全国のチームMが、7月10日の20:00にテレビやパソコンやタブレット・スマホの前に陣取り、今か今かと姐さんの登場を待ちわびていました。
アフターコロナ、活発な梅雨前線による豪雨被害、さらに地震と、自然に翻弄される日々が続く中での無観客配信ライブ。エッセンシャルワーカーの方たちは、宣言が解除されようがお構いなし、相変わらず仕事に追われる毎日でしょうし、逆に久々の仕事再開にナマった身体やタルんだ気持ちを奮い立たせるのに精いっぱいになっている方もいたでしょう。もちろんさまざまな事情でリアルタイムでライブに参加できなかったナガマリ・ファンの方も大勢いらっしゃったと思います。
でも、どんな境遇にいたとしても、このライブに参加された方々の感想はたった一つしかありませんよね。
ナガマリは最高だぁぁぁぁぁ!
思い返してみると、予定されていたライブスケジュールが次々と延期されていく中で、もう待ってらんないよっ!アタシはやるよっ!と、突如「おうちでライブ3」で発表されたこの配信ライブ。本来であれば、この日の夜にウォォォ!となるところが、梅酒はウメぇ~事件が勃発、ピンクウエポンに撃沈され、まさかのオレンジのリベンジ翌日配信へとなだれ込んでいきました。
その数日後、配信ライブの詳細が発表されるわけなのですが、そこでちょっと気になるところがありました。それはバンドメンバーにベースがいない!これはいったいどういうことだ?と思ったわけなんです。
でも、なんとなく想像はつきました。配信ライブとなるとその視聴環境はさまざまです。ホームシアターばりのステレオ環境でライブを鑑賞する方もいれば、通常のテレビ、もしくはパソコンなど、あまり音響環境がよくない状態で鑑賞される方も当然のようにいます。というか、ほとんどの方が後者ではないかと思うのです。そういう環境ではなかなか低音を表現することは難しい。そこを配慮してのバンド編成ではなかろうかと。
そうすると、ちょっとスカスカなギターがギャンギャン鳴り響く高音多めの演奏になっちまうのかなぁと。そんな風にも思っていたんです。まあ、しょうがないよねと。ライブ会場さながらの音響なんて、よっぽどの音響マニアな人じゃないと作れないよねと。
で。
で!ですよ。
結果的には、それが大正解なライブでした!
アニキのマニピュレーターと、チエさんアキさんのリズム隊が、まあ、ここまでグルーヴを作り出すかっ!というくらいに気持ちのいいライブでした。
セットリストも、そんなステレオ環境を配慮しての特別選曲になっていて、ナガマリ33年の歴史を振り返るというよりは、かつて永井真理子が好きだった人、もしくは最近になって、おっ、永井真理子って活動してるんや、へぇ~、と思っている方。もちろん毎日おやすみツイートにリプしているチームMのみなさん、リプはしなくてもいいねを押しまくっている方々、そんな全方向のナガマリファンに向けたセットリストになっていました。
てなわけで、にわかファンのわたくしめが、記憶が古びないうちにチョイとここで各曲のライブレポなんてものを語ってみようかなと思います(語りたがり屋ですいません)。
ライブ配信見てないよぉ~。参加してないよぉ~。羨ましくなるだけだからネタバレはヤダよぉ~という方は、ここから下はスルーしてください。
オープニング
20:15のスタートから7分ほど遅れての配信ライブ開幕。アーカイブで初参戦した方は、なかなかライブハウス "ナインスパイス" のロゴが消えないなぁ...、ていうか、ちゃんと配信ライブ見れてるのかなぁ?と不安になって、でも、ランタイムを見てみるとちゃんと動いてる、まだかな?まだかな?とじれったい思いをしたかもしれません。はい、わたくし、じれったすぎてアーカイブではすっ飛ばしました。0:22くらいに合わせると始まるんですけど、ああっ、いきすぎた!ああっ、戻りすぎた!と、何度、ライブハウスのロゴとドロ仕合を繰り返したことでしょう。
まあ、そんなことはどうでもいいとして、そうこうしているうちにライブがスタート。荘厳なシンフォニックとキュイーンキュイーンと高揚していくエレキギターに否が応でも気分は高まり、アキさん登場、チエさん登場、アニキ登場。さあ、スタンバイOKです。
1.White Communication ~新しい絆~
さて1曲目は何だろう?と期待されていた方も多かったと思います。どんなイントロが流れてくるんだろ?とワクワクしていた方も多かったと思います。33年を振り返るんでしょ?ナガマリ・ヒストリーの幕開けでしょ?だとしたら、あの曲のイントロ、この曲のイントロ、やっぱ1stアルバムからじゃない?いやいや、ここはブレイクのきっかけになったあの曲じゃない。そもそもナガマリのブレイクって、どこをスタート地点にするのさっ。ああ、なんでもいいや。とりあえず、あれ歌ってぇぇぇっ!と思っていたところに。
「ホワ~~イ、コミュニケっショ~~ン」
ベシャリか~~~い!!!!!
そんなツッコミをかき消すように高らかにあのファンファーレが鳴り響き、姐さん登場です!
いやいやいや、順当に考えたらそうだよね。
消去法でいってもそうだよね。
「きみに会いたい」ですよ。
その想いが全てですよ。
どれだけのライブが延期になっているんですか。
全部ですよ、全部。
て、考えたら、これしかないですよね。
冒頭でベースがいない!と書きましたが、マニピュレーターでその辺りは調整されながらも、感激したのはチエさんとアニキのストロークやカッティングです!そうか、ベースさんがいなくても、ツインギターでここまで音が作り出せるのねっ!しかも、シンプルなスリーピースだからこそ、いつもよりギターの音がはっきりと聴こえます。なんか、スゲーっ!さすがアニキっ!
ていうか、なんだろ、この画面の向こうからビシビシ伝わってくる姐さんのオーラは。おうちシリーズのナチュラルさとはまったく別の、アーティスト永井真理子、ミュージシャン永井真理子、ロックシンガー永井真理子、そんなパワーがドヒュンドヒュン飛ばされてきます。ザ・貫禄!
2.自分についた嘘
続いて、披露されたのは「自分についた嘘」!復活後の姐さんは、本当に封印されていた扉をどんどん解放してきます。往年のナガマリ・ファンなら、あの『miracle girl tour '89』のライブビデオを否が応でも思い出してしまいますよね。若かったなぁ...。いや、今でも若いさっ!コアなチームMのおじさんたちは男祭りで大賑わいでしたよね。
それよりもちょいちょい気になってくるのがトゥルットゥ・アップリケ。カメラがアニキを映すたびにトゥルットゥ♩トゥルットゥ♩と聴こえてしまいますっ!
3.LOVE MEAL
「ようこそぉ~!」というちょっとしたMCを挟み、唸るグルーヴでスタートしたのが「LOVE MEAL」!男祭りでも披露されたこのアレンジは最高にロックンロールです。BPMも原曲よりちょい早で、とにかくアニキとチエさんがブイブイ言わせてます。アキさんも激しめ♬めちゃめちゃカッチョいい~。なんなんだ、このバンドはっっっ!
姐さんのボーカルも緊張がほぐれてきたのか、とにかく伸びるっ!
ホーンセクション部隊はいなくても「レッツ、サックス!」なのもいいですわぁ。なにかの拍子で間奏のソロがオカリナとかウクレレになっても、ここは「レッツ、サックス!」なのでしょうね。さあ、行けっ!さあ、来いっ!そんな掛け声です。
4.One Step Closer
手作り衣装でやってまいりましたぁ~!のMCから、大切な大切な一曲のお話。デビュー前、アマチュアバンド時代からの曲ということで披露されたのが「One Step Closer」。
デビュー20周年の時に発売されたオールタイムベストアルバム『my foot steps -20th anniversary memorial collection-』の1曲目がこの曲だったのも、やはりナガマリの足跡を辿る大事なスタートになる1曲だったからなのだと改めて実感。
このエバーグリーンなJ-POPの名曲も、アメリカンロック的なダイナミズムに溢れたパワーバラードなアレンジになっていて、特に後半のたたみかけてくるグルーヴに胸が震えました。一歩ずつでも近づいていくんだ!そんな願いに溢れた演奏がたまらない。
5.好奇心
続いて、5thアルバム『Catch Ball』から陣内大蔵さんの楽曲「好奇心」。今からちょうど30年前のアルバムになりますが、ビックリしたのは当時のCDのまんまなボーカルだったということ。30年前ですよっ!ホゲ~~...っとなってしまいます。
アレンジも、なんか埃っぽい感じのいい塩梅なミディアム調になっていて、R.E.M.とかパール・ジャムとかソニック・ユースとか、頭脳警察とかシナロケとか少年ナイフとか。なんかそんな系譜の人たちが思い浮かんでくるような、パンクでグランジでオルタナティブなんだけど、ポップでもあるというこのバランス感覚が素晴らしいなと思いました。ハイスタとか10-FEETとか聴いている三つ四つ下の世代の子たちにも、ぜんぜん通用するんじゃないかなぁ。
6.HYSTERIC GLAMOUR
ガレージだなぁ~の余韻に浸っていたら、今度はグラムロックですよ!T-Rexですか、デヴィッド・ボウイですかっていうくらいにアニキのリフがカッコよすぎる!
姐さんもノリノリで、グルーヴに身をゆだねています。
否が応でも『OPEN ZOO』から『Love Eater』の季節を思い出す楽曲ですよね。これでもかっ!というくらいにサイケデリックに染まっていたのも、なんか懐かしいです。ある意味、この季節を象徴する一曲。
7.ロンリイザウルス
ここからしっとり系タイムに突入です。たぶん、次回について何かしらの発表があるのかな?と少し期待してはいたのですが、さらっとここで8月8日(土)にアコースティック配信ライブを開催することが告げられました。今から楽しみですねぇ。
そこから紡ぎだされたのは「ロンリイザウルス」。ニッポン全国の往年のナガマリ・ファンがあっちこっちで歓喜の涙を流しているのが目に浮かぶようなセットリスト。こうして披露されるなんて、いったい何十年ぶりなんでしょう?夜のヒットスタジオで歌ったのが夢のようだったんだから、ライブで聴けるなんて夢を通り越して無我の境地までいっちまうんでしょうか。
チエさんのアコギがまたいい感じで、姐さんのボーカルも伸びやかで艶があり、まあ、聞き入ってしまいます。最後のプン♫と弦をはじく終わり方がよすぎです。
8.ZUTTO
永井真理子といえば「ZUTTO」になると思うのですが、正直に言うと、わたしは他のファンの方と比べると、そこまでこの曲にリスペクトはしていないんですね。
バラードだったら他にもくさるほどいっぱい名曲があるし、変な話ですけど、この曲に背中を押されたとか、勇気づけられたとか、そういう経験がなくはないけど、他の曲に比べると極端に少ないんです。
どちらかというと、ナガマリファンって話をすると「ZUTTO」やろ?って言われるのがイヤだったというか。それだけじゃないわい!「マイ・チャンピオン」を知らんのか、ワレはっ!って感じだったんです。
それがですよ。
初めてです。
初めて「ZUTTO」で泣きました。
こんなに心に響いてきた「ZUTTO」は今までありませんでした。
なんだろ。チエさんのアコギもいいんですけど、やっぱり姐さんのボーカルかなぁ。染みたわぁ...。ホント、染みたわぁ...。
9.20時の流星群
その流れからの「20時の流星群」は反則です。やっちゃいけません。もう、あふれ出てきて止まらないですよ、願いが。
コロナ禍という未曽有の事態に誰もが途方に暮れて、不安と恐ろしさに身をすくませているところに自然の猛威がさらに追い打ちをかけています。令和だ、オリンピックだと騒いでいたのが遠い昔に感じるほど、世界は一変してしまった。
それでもチームMの皆さんをはじめ、みんな、なんとか今を生きようとがんばっています。希望を見出そうとして、いろんな人たちが光あふれる未来に向かって手を伸ばしています。そう、この広い空はどこまでも続いているんです。誰もひとりじゃない。
この空の下で、みんなで笑えるようになろう。
こうして今、配信ライブでみんなが繋がっているように、これからもお互いに勇気づけていこう。
そんな願いにあふれたライブパフォーマンスのように感じました。
10.ミラクル・ガール
さて、ここからは後半戦。
「ZUTTO」と同じように姐さんの代表曲である「ミラクル・ガール」ですが、このライブ・アレンジも、ずいぶんと瑞々しいキラキラ・ナンバーに生まれ変わっていました。とくにイエイ・イエイ・イエイ・イエー♬のコーラスが、どこのガールズ・バンド?っていうくらいにキュンキュンな感じ。SCANDALとかSILENT SIRENにも引けを取らないキュートさですよ。
9月にリリース予定のセルフカバーアルバム「Brand-New Door」に収録されるヴァージョンがこんな感じだとすると、俄然、ワクワクが止まらない感じです!
11.僕らのBig Power
続いて、柔道つながりで「僕らのBig Power」が登場。オリジナルでは壮大なシンフォニックでアスリート魂に火をつけていましたが、今回のバンド編成では、アニキ、今度はエッジですかっ!というくらいU2ばりのスタジアムロックが炸裂。
キーボードやピアノ、ホーンセクションなど大所帯のバンド編成も豪華で楽しいんですけど、こういうシンプルなロックバンド編成の方が、偉そうなことを言ってしまいますが、アーティストの本質が剥き出しになるのでボクは大好きです。そして、その本質を10年ものブランクがあったアーティストがヒョイと軽々とこなしてしまうところが(実際は大変なご苦労があるかと思いますが...、こちらからはそう見えます)、なんて言うんでしょう、やっぱりプロフェッショナルだなぁと感動してしまいます。
12.23才
さてさて、アクセルはさらに踏み込まれていきます。お次は「23才」。なんだか『Catch Ball』率が高いような気もしますが、いいじゃないですかっ!
ここらあたりからアニキがサイドギターの役割を担い、チエさんが前に出てきます。キュインキュインとソロを弾きまくり!
それにしても4人が4人とも実に楽しそうに演奏しています。
こうしてエイトビートのシンプルなロックナンバーを聞いていると、本当にあの頃にタイムスリップしたような気持ちになります。10才の頃、17才の頃、23才の頃。それから10年。さらに10年。あんなことも、こんなこともありましたが、それがあっての今。でもでも、これもどこかへ向かう途中なんですよね。だからこそ、喜びをわかちあい、大声で笑いあっていきましょう。
13.大きなキリンになって
さらにヒートアップしていきます。記念すべきセルフプロデュースシングル「大きなキリンになって」の登場です!アキさんのハイハットがアバンギャルドでありながら、パンキッシュでもあり、気分がどんどん高揚していきます!ギターロックの神髄を見ているような気分。
ピンチに強いボクらは今こそ大きなキリンになり、大きなマツゲをあおいで世界中の空気を戻す時ですっ!コロナ、吹き飛べぇぇぇ!
14.ハートをWASH!
人それぞれライブのハイライトは違うと思いますけど、ボクにとってのハイライトは、このハイパー「ハートをWASH!」でした!最速のBPMにカッティングギター、めちゃめちゃ最高なパンクロックです!
ていうか「ハートをWASH!」って、普通にJ-POPですよねぇ。しかも、姐さんディスコグラフィーの中では、比較的アイドル的歌謡曲な側面も併せ持っているナンバー。それがこんなにカッチョよくなるものですか?探偵はネコにだってなれちゃうんですよ?
躍動感にあふれるステージングと演奏!アングルによってはスリーピースのガールズバンドにも見えてしまいます!いやいやいや、やっぱりナガマリは最高だぁぁぁ!
15.ORANGE
ラストは「ORANGE」。ここまで来ると姐さんのボーカルも天井知らずになってきます。なんか普通にスゴイよねぇ。33周年ですよ。10年ブランクですよ。
さらに思うのは、こうして最新のアルバムから3曲もセットリストに加わっているのに、過去のヒット曲となんの違和感もなく、ほぼ同等のレベルで聞けること。ファンにも普通に受け入れられているということ。
活動が長くなれば長くなるほど、どうしても懐メロチックな後ろ向きなアーティストが増えていく中で、我らの永井真理子は常に現在進行形で前しか見てないというこの奇跡(ミラクル)。この「ORANGE」だって、今やチームMのテーマ曲となる存在じゃないですか。なかなか、こんな幸福なことってないですよね。
エンディング
本編終了後は「La-La-La」で締めです。
いやぁ、めちゃめちゃ最高なライブでした。
ライブが終わってホッとしたのかおちゃらけるチエさんに、さりげなくマイクスタンドを避けてあげるアニキのやさしさっ!
「ORANGE」のリピートに合わせてディスコグラフィーを振り返り、
【出逢ってくれてありがとう。これからもよろしくね。】
というメッセージがラストに表示されました。
てなわけで、永井真理子33周年記念ライブ ~I'm happy to meet you~のライブレポになります。次は8月8日(土)のアコースティック配信ライブ、そして、9月19日(土)の渋谷O-Eastは是が非でもライブ会場で大騒ぎをしたいっ!そのためには一日でも早く、先の見えないアフターコロナを撃破せねば!
日本全国でつながれる配信ライブは、これはこれでありだとは思います。でも、やっぱりライブは会場で味わいたいとも思ってしまいました。
これから先、新しい暮らし方というものの中で、生ライブと配信ライブのハイブリット公演というものが実現されていくのかもしれません。それはそれでありだとも思いますが、やっぱりライブは特別なもの。その辺の価値観も、これから考えていかなければいけないのかもしれませんね。