that passion once again

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永井真理子 M's LOVE SONG LIVE @ Shinjuku Nine Spices

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THERE IS ALWAYS LIGHT BEHIND THE CLOWDS

この名言は『若草物語』の作者として知られるルイーザ・メイ・オルコットによるもの。訳すと "雲の向こうは、いつも青空"。ライブ会場で限定販売されたナガマリ・オレンジパーカーの背中にドーン!と刻印されている言葉です。

幸せと希望と笑顔(になるはず)の2021年、初っ端のライブは新宿ナインスパイスでのバレンタイン・ライブ。首都圏の緊急事態宣言がなかなか解除されない中、東京のど真ん中での有観客ライブともなれば、人数制限も時間制限もその他諸々の手続きもかなり厳しい条件を課せられるわけで、だからこそ、今できる精いっぱいのことをみんなでワチャワチャと楽しんでいこう!としているのが我らが真理子さんであります。

まあ、変な話ですけど、これが例えばどこかのレコード会社であったり、そこらの芸能事務所だったりに、もしも姐さんが所属していたりするとしたなら、まず間違いなくこんな幸せな時間を過ごすことは絶対にできなかったはずです。「バレンタインだからラブソングのライブやるよー!」「好きな色のパーカー教えてー!色ありすぎだし、サイズありすぎだから、ねえねえ、受注生産にしてみたよー!」「タンバリンリレー、はっじめるよー!」まあ、姐さんの思いつきでいろんな楽しみが途切れないこと途切れないこと!

まさに "雲の向こうは、いつも青空"。南北戦争の厳しく貧しい時代を優しく・たくましく・愛にあふれて生きた四姉妹の姿のようでもあります。

 

で、肝心のライブもM's 四姉妹がまたまたやってくれました。

去年の888ライブからのこのスーパー・ナチュラル・レンジャー部隊も、回を重ねるごとにその連携プレーに磨きがかかり、もうベテラン・バンドの風格さえ漂わさせています。

第一部の "KISS ME" のイントロからしてラブリーブリブリな世界観、瞬く間にオーディエンスをハートフルなナガマリ・ワールドに誘います。ミチさんの鍵盤が心地よい "夏のはじまり" 、続けざまになだれ込んでいく "EVERYTHING" では、もうマルセさんの旋律が完全に姐さんとデュエットしまくっています。

中盤は "きれいになろう" "ZUTTO" "夕闇にまぎれて" と、しっとりソングが続きますが、特に "夕闇にまぎれて" は、1991年に富士急コニファーフォレストで開催された『WASH! WASH! WASH!』の、あの夕暮れ時のステージとオーバーラップしたTeam Mの方々も多かったのではないでしょうか。

アキさん挑戦のカホンで披露されたのは "天国の島"。南国ムード満点の中にほんのりとメランコリックな影が佇み、聞くものすべての明日を楽にさせていきます。ミチさん挑戦のアコーディオンが純朴な望郷を思い起こさせる "卒業してもサヨナラしても遠くでも"。アオハル時代の甘酸っぱい恋模様をふと思い出し、ちょっぴりキュンする人も多かったのかもしれません。いずれにしても、今まで慣れ親しんできたフォーキーな肌触りが、女子バンド特有のジャジーでクラシカルなアレンジへと見事に生まれ変わっていました。

恒例の姐さんによる女子メンバーいじりタイムはバレンタインの思い出。チエさんのその人は誰ぇ~?シリーズは小さな帽子を被せさせられたカミサゴくん。場が温まったところで4つ打ちが小気味よい "市場へ行こう"、グルーヴィーな "愛こそみんなの仕事" と続き、焦燥感に煽られているような、つんのめり気味なリズムで登場したのは "飛べない空"!「ライブでは初めて歌ったかも」と真理子さんもお話しされていましたが、去年の "未来" といい、今回の "飛べない空" といい、12枚目のオリジナル・アルバム『そんな場所へ』からのセレクトは、どこか新曲を聴くような新鮮さがあります。

ここから、さらにステージはヒートアップしていきます。ミチさんがベースに挑戦した "Chu-Chu"。これ、なんかスゴイです。なにがスゴイって、今までアニキのギターに骨の髄まで慣れ親しんできたわけじゃないですか、かれこれ30年近くも。そんなギターリフをチエさんがつま弾くというのがね、もうぅぅぅぅぅ、"飛べない空" 以上に新鮮だったんですよ。同じリフでも、チエさんが弾くとしなやかと言いますか、軽やかと言いますか、やっぱギターリストによって違うんですよね。なにこれ、女子バンドじゃん、みたいな。いやいや、ずっと女子バンドじゃーと言われそうですが、これこそが正真正銘じゃないんかいっ!と思ったわけでして。

さらにマルセさんが今度はベースを担当!いやいや、似合いすぎる!かっこよすぎる!そこで演奏されるのは "DUNK! DUNK!"。うぉぉぉぉぉ、アキさんがツェッペリンのボンゾに見えてきましたよー!LOVE SONG LIVEというからには、しっとり系の落ち着いた曲目ばかりになるかと思っていたのですが、やっぱ姐さん、エネルギーが有り余っているようです。騒げー!歌えー!楽しめー!これがナガマリです。

第一部の締めはM'sパーカーのお披露目会からの "ORANGE"。サイリウムが定番になってきました。

 

緊急事態宣言のあおりを受け、みなさま20:00までには家に帰りましょうねーといった感じで17:00からスタートした第二部。シンセサイザーが懐かしのあのイントロを奏でます。そうです、懐かしすぎる "心が風邪をひいた" からスタート。続いて、これまたイントロだけで涙がチョチョ切れそうになる "いつもセレナーデ" へとなだれ込んでいきます。いやいや、ホント、姐さんは人の期待をいつも斜め上から超えてきてくれます。「"瞳・元気" を歌うと思ったでしょ?残念、そのカップリングだよー、わっしょーい!」みたいな小悪魔的な心の声が聞こえてきそうでした。この御方、Mといいながら、たまにSになるんですよね。

"愛こそみんなの仕事" と冒頭の3曲は続き、しっとりタイムは "暖かい雪" "やさしくなりたい" "南へ" "泣きたい日もある" と怒涛のミディアム&バラード攻め。さらに "さよならの翼" と続くのですが、ここでさらっとチエさんがベースを弾いていたんですよ。ミチさんやマルセさんがベースを弾いた!とフューチャーされてはいましたが、チエさんもさらっと弾いてるところ、なんだかベース祭りになっていて、ベース好きからするとなんだかいろいろと楽しいライブでした。配信でも音がしっかり聞き取れていたし、やっぱり、これがあるとないとでは安定感が全然違うんですよね。

第二部のトークのコーナーは初恋がテーマ。チエさんのその人は誰ぇ~?シリーズはワタナベヒロアキくん。両想いだったんやって、ヒューヒューだぞ w

後半は、"KISS ME" でチャチャチャをして、"飛べない空" の切羽詰まったリズムに感動し、"ORANGE" のサイリウムでTeam Mの一体感に酔いしれると、"Chu-Chu" "DUNK! DUNK!" のゼップ女子バンドでぶちあがり。ジョンジー&ボンゾは最高です。

今回からスタートしたタンバリン・リレー。1994年のLove Eaterツアーの、あのWe are OK!なピースフルが再び始まりました。去年の無観客ライブの配信からハイブリッド・ライブと続き、さらに "つながり" を街から街へと渡し続けていく、見えない壁を乗り越えていく旅が始まったのです。

"タンバリンをたたこう" は、ここに生まれてきたこと、ここで出会えたこと、ここで一緒に音を奏でられるということ、そんな人と人との "つながり" を讃えた歌。もちろんライブ会場に足を運べれば言うことなしでしょうけど、なかなか、おいそれとそれが許されない時代でもあります。会場に行きたい、真理子さんに会いたい、その想いはTeam Mの方々でしたら、全員が全員そう思っているはずです。それでも入場制限でチケットが確保できなかった人、そもそも他県への移動を自粛している人、もしくは社会的に自粛せざるをえない人、距離的になかなか会場まで足を運ぶのが難しい人、Team Mのみなさまの境遇は、それこそ千差万別だとも思います。どれが正解でどれが間違いとか、そういうものは何一つなくて、一人一人の選択が全て正解だと思うのです。

だから、真理子さんはタンバリンを持って、あちこちに行くよーと宣言してくれました。みんなでおそろだよーと受注生産のパーカーまで用意してくれました。会場組も配信組も、みんなみんな "つながって" います。

笑顔になろう、幸せになろう、そんな希望を胸に2021年、タンバリンが日本全国を渡り歩いていくはずです。そして、この希望が大きな大きな虹を見つける羅針盤にきっとなるはずなのです。

 

ちなみに今回の『M's LOVE SONG LIVE』のセットリストには『TOBIKKIRI』『Catch Ball』からの楽曲は1曲も選ばれていません。1曲もです。サモール京都は別として、次回の『スペシャルライブ in 仙台』のセットリストは、なんとなくですけど、相当アツいものになりそうな予感がします。それも東京・大阪以外で初めてのハイブリッド・ライブになるということ、その地が東北であるということが大きく関わっているような気がするのです。

姐さんのおっきなおっきなLOVEが2月27日にまたまた弾けるかもしれません。

下記リンクはネット配信のチケット購入先になります。

ちなみにアーカイブ視聴は3月2日(火)まで可能となっています。

まだまだ、みんなで盛り上がりましょー!

 

M's LOVE SONG LIVE 1st

1.KISS ME

2.夏のはじまり

3.EVERYTHING

4.きれいになろう

5.ZUTTO

6.夕闇にまぎれて

7.天国の島

8.卒業してもサヨナラしても遠くでも

9.市場へ行こう

10.愛こそみんなの仕事

11.飛べない空

12.Chu-Chu♥

13.DUNK! DUNK!

14.ORANGE

 

M's LOVE SONG LIVE 2nd

1.心が風邪をひいた

2.いつもセレナーデ

3.愛こそみんなの仕事

4.暖かい雪

5.やさしくなりたい

6.南へ

7.泣きたい日もある

8.さよならの翼

9.KISS ME

10.飛べない空

11.ORANGE

12.Chu-Chu♥

13.DUNK! DUNK!

14.タンバリンをたたこう