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U2の13年ぶりの来日公演は「Songs of...」二部作の失敗を意味している気がしてならない

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先月、というか5月末日に突如として発表されたU2の来日報道。前回の "Vertigo Tour" から実に13年ぶりの来日、しかもプレミアム中のプレミアム・ツアーだった "The Joshua Tree Tour" を再開するとあって、国内に限らず、世界各国から観光がてらに日本やシンガポールやオーストラリアに足を延ばす熱狂的なU2ファンも多いのではないかと思います。"Experience+Innocence Tour" のフィナーレで「もうU2を40年もやってきたし、この最新ツアーも4年も続けた。これでやっと離れられるんだ...」とボノが意味深なことをステージで語ったものだから、この "The Joshua Tree Tour" の再開に狂喜乱舞して全公演制覇する強者も出てきそうな勢いです。

ニュージーランドからリスタートするこのツアーは、オーストラリアの主要5都市を練りまわった後、シンガポールを経由してここ日本に到着し、韓国の高尺スカイドームでフィナーレを迎えます。各ステージ5万人前後の収容数を誇る中で、さいたまスーパーアリーナが3万人強、韓国の高尺スカイドームも3万人弱と、最終的にステージセットを小ぶりにしていくスケジュールが組まれているようです。収容人数が少ない=チケットの熾烈な争奪戦が予想され、さらには超プレミアム・ツアーとなれば、寄付金集めのスペシャルシート6万円や自動REDグッズお買い上げシート4万円は別にして、16,000円から20,000円のチケット代は普通のような感じ。たぶん、秒でソールドアウトです。

しかし、この一連の動きを見ると、二部作として制作された「Songs of Innocence」と「Songs of Experience」が、バンド本人たちが豪語するほど世間には受け入れられなかったことの裏返しのような気がしてならないのです。

振り返ればデジタル世代のイコンとして登場した iPod のイメージキャラクターとして、appleとガッチリ手を組んだ「How to Dismantle an Atomic Bomb」と "Vertigo Tour" まではよかったのですが、"PopMart Tour" の悪夢再びになってしまった "U2 360° Tour" と「No Line on the Horizon」から、どうも雲行きが怪しいままになっています。そして、雲行きの怪しいツアーは北米とヨーロッパをまわっておしまいにしちゃう傾向が強い。となれば、ここで "The Joshua Tree Tour" を復活させたのは、もう鉄板だから間違いがないでしょうということではないかと。みんなぁ~、赤字決済するからバンバンお賽銭投げ込んでくらはいなぁ~!と。そんな風に自ら認めちゃってることにならないかい?と。

アルバム全曲をライブで曲順通りに演奏するというのも、僕の記憶の中ではsuede復活のスペシャル・ギグぐらいではないかと思います。1st「suede」2nd「dog man star」3rd「coming up」と各アルバムを一夜ずつアルバムの曲順通りに演奏し、どれも最高の夜だったそうですが、まあ、それをマネたのかヒントにしたのかパクッたのか、そもそもブレットのすることにボノが聞き耳を立てるようなこともしないと思うので、単純にカブったというのが真相かもしれません。マイラバも似たようなことをしていたけど、まあ...。

そんなわけで、13年ぶりのU2来日は、U2最新型ではなくU2の回顧展祭りになりそう。嬉しいやら寂しいやら、なんか複雑な気持ちです。