that passion once again

日々の気づき。ディスク・レビューや映画・読書レビューなどなど。スローペースで更新。

勝手に永井真理子論2

最近、巷では"フェーズ"という言葉がよく使われていますが、それをナガマリに当てはめてみますと、第1フェーズが1987~1992、第2フェーズが1993~1995、第3フェーズが1998~2002、第4フェーズが2003~2007、そして、今が第5フェーズの2017~の現在進行形になるのではないかと。

アーティストと呼ばれる方達は、それこそ階段を上っていくように、各フェーズごとで音楽スタイルであったりアティチュードであったりを変化させていくもので、時代や文化など、その時その時の世間の空気みたいなものにヴィヴィッドに呼応していくものだと思います。

昭和から平成へと移り変わりはしたものの、作品は作家さんが作るものという概念が、まだまだ通念として存在していた第1フェーズは、亜伊林さんや前田先生など名だたる作家さんの手による名曲が数多く制作された時代。その概念が崩れ去り、デジタル化による録音技術の向上、Jリーグ開幕や阪神・淡路大震災など新時代突入を肌で感じていた第2フェーズは、自分らしさの表現をとことん追求した時代。インターネットの普及、グローバリゼーションの活性化など、世界規模でのイノベーションが巻き起こった第3フェーズに至ると、若年層への世代交代に伴う、百花繚乱の混沌としたジャンルレスへと突き進みます。京都議定書に代表されるエコロジー(環境問題)への意識の高まり、そして、コンプライアンスマニフェストなどTPO的な本音と建前が当たり前になってきた第4フェーズになると、その閉塞感から距離を置くように制作拠点を海外へと移してしまう。永井真理子というアーティストの20年間を手荒く総括すると、常々、時代にリンクしてはいながら、その翼は徐々にもがれていき、結果的に時代の荒波に飲み込まれ、深い海の底へと静かに沈んでいってしまったのです。

2011年3月11日 金曜日 14時46分。日本観測史上最大のマグニチュード9.0。未曽有の自然災害が東日本を襲い、多くの尊い命が奪われ、40万世帯以上の家(この数は山形県富山県の全土、もしくは世田谷区だけの全世帯数に匹敵する)が津波に奪われ、多くの故郷が失われてしまいました。その時、遠くオーストラリアの地から、少しでも何かできないかと、ブログのコメント欄を連絡伝達に使ってくださいと呼びかけをしたのが真理子さんでした。安否の確認が取れたというコメントもある中、多くのファンの方たちが求めていたのは「永井真理子の歌」。しかし、その願いが届くには、あまりにも海は深すぎていて、手を伸ばしても一向に光には届かなかったのです。

時は移り変わり、2022年8月7日 日曜日。KT Zepp Yokohamaにて、第1フェーズのピークであった『1992 Live in Yokohama Stadium』の再現ライブが開催されます。今までもデビュー月である7月や8月にはスペシャルライブが開催されていましたが、今年の「Re☆Birth of 1992」は単なるデビュー35周年記念以上の意味合いがあります。それはライブ・タイトルにもあるように "1992年を復活させる" ということ。なので、Team Mのハナクソみたいな自分がですね、第5フェーズにあたる、その開催までの軌跡とやらを、ここで1年ごとに振り返ってみましょうかと。そして、さらに続いていく第5フェーズを、よりたくさんの方と楽しんでいきましょうかと。では、姐さん、いってみましょうか。

1.2017年 ~Dawn for the New World of Mariko Nagai~

数年前に姐さんがオーストラリアから日本に帰ってきたという情報はあったのですが、その後、目立った活動もなく、ブログの更新頻度も寂しくなり...。そんなこんなで30周年を迎えようとしていた2017年の4月。こそっと姐さん、ツイッターとインスタをスタート。こそっと姐さん、ホームページをリニューアル工事。あの頃のナガマリ界隈では、なんだろう、姐さんが妙にゴソゴソし始めてる...ぐらいの感覚でした。

そして、迎えた6月24日。公式ホームページのリニューアルオープンと同時に発表されたのが、永井真理子の復活でした。20周年記念ベストアルバム『my foot steps -20th anniversary memorial collection-』から、実に10年ぶりの新曲が配信限定で発売されること、さらに10月にはアコースティックライブが開催されること、新たな旅立ちと共にシンボルマークを一新したことが高らかに告げられたのです。

<深い海の底に沈めてしまった歌声を自分へと戻す気持ちになれた>

その第一歩が5曲入りのミニアルバム『Life is beautiful』であり、「どんなに悲しい時も、どんなに苦しい時も、いつか自分の花を咲かせるために生きていくんだ。生まれてきたことに感謝しながら歩いていこう」そんな思いが、このタイトルに込められていました。

10月14日・15日に渋谷Last Waltzで開催された "Mariko Nagai 30th anniversary live" には、参加申し込みが殺到。急遽、11月26日に吉祥寺スターパインズカフェにて追加公演が組まれ、もともと配信のみの予定だった『Life is beautiful』も、新曲2曲+インスト3曲を追加した全10曲入りのCDアルバムとして会場販売。ライブもアコースティックライブと言いながら、COZZiさんを筆頭に、マッシー、チエさん、ジュンさん、トシミツさんに藤野くんと、なかなかにフルメンツなボリュームで、涙なしでは見られない感動的な再会を果たしたのでした。

2.2018年 ~Team Mのアンセム「ORANGE」が誕生~

仕事に家庭に人生に、みなさま、いろいろと日々を忙しくされている中で、姐さんの復活ライブに参加したくても、なかなかに難しいという方も多く、そんな声に少しでも応えようと日本津々浦々を巡り倒したのがナガマリ2018でした。

30th anniversary liveは名古屋~大阪~仙台へと追加公演が組まれ、「私が行きたい場所に旅行気分で行ってみよう!」と、ギターのチエさんと女子旅ミニライブ "30th Anniversary Live ~Small Circuit Tour~" が、石川~富山~岡山~尾道~博多へと続きました。この "Small Circuit Tour" が、後のナガマリ2大アンセムへの布石となるのですが、1つは姐さんがスモールをサモールと言い間違えたことから、ツアータイトルがサモール・ツアーになってしまったこと。やらかしでさえ楽しんでしまおうというスタンスは、ナガマリ第5フェーズの大きな特徴の一つと言えます。さらにツアー後半での尾道での経験が、Team Mのアンセム「ORANGE」へとつながったこと。そこで綴られているリリックには<水面から顔を出したときに 答えなんてどこにもない そう気付いた>とあり、復活ライブやSNSでのつながりが、深い海の底から真理子さんをわっしょ~~~い!と引き上げたことを如実に物語っていました。

その後も陣内大蔵さんのアニバーサリーライブ、やついフェスではBarbarsのミキちゃんとジョイント、ザ・ゴーグルズのトリビュートライブにも参加と、みんなが真理子さんの復活をお祝いするかのように次々とコラボレーションが実現。そうこうしているうちにフルバンドでのライブが7月20日に大阪BIGCAT、7月22日のデビュー記念日に渋谷WWWで開催。その模様はYouTubeにもアップされています。

9月にはぷちとまとさんの福祉イベントに参加、11月には宮城県石巻市にてチャリティライブを開催されます。3.11の時に求められていた「永井真理子の歌」が、7年半の時を経て、ついに被災地に届いた瞬間でした。震災被害の風化防止と復興へのモチベーション維持を目的に立ち上げた「東北ライブハウス大作戦」の一環として出演依頼があったそうですが、真理子さんサイドからチャリティにしましょうとの提案をされたらしく、多くのTeam Mの方たちもそれに賛同。これほどまでにアーティストとファンのつながりがあたたかいのも、真理子さんのお人柄によるところではないかと。

さらに、そんなアットホームさを決定づけたのが2018年12月に行われた2大イベントです。ひとつは12月1日に開催された「永井真理子 Birthday & ファン感謝祭 ~For Team MARIKO~」。ゲストに東京少年笹野みちるさんが参加、わちゃわちゃと垣根もなく楽しむライブは、その後の姐さんスタイルのスタンダードとなっていきます。さらに12月14日、この日、ふたご座流星群が極大を迎えるということで、20時にみんなで流れ星を見てみようと(実際は21時がピークだったのですが...、まあ、そこが姐さんです)Twitterで呼びかけたところ、日本全国のTeam Mが集結。曇ってます、雪です、星が見えました、やっぱり曇ってます、いろいろな夜空がそれぞれの頭上に広がっていましたが、その想いは、大きな大きな空に一つとなってつながっていたのです。そして、誰もがこう思ったはずです。

"あの永井真理子さんと同じ時間を今過ごしている"

それはライブ会場でも、ラジオ番組でも、テレビ放送でもなく、SNSという媒体独自の共有感でした。ひとりじゃない、みんながいる、みんながつながっている、分け隔てのない世界。そんな "つながり" が、後の名曲誕生と世界的パンデミックを乗り越える礎となったのです。

3.2019年 ~13年ぶりのフルアルバム『W』が完成~

初のファン感謝祭で募った膨大なリクエスト曲をまだまだやってしまおう!それを私の部屋に招待するような形でお届けしよう!そんな思いで怒涛の5日間公演「M's Room」でスタートしたナガマリ2019。そこで録音されたTeam Mのコーラスやハンドクラップが、13年ぶりのフルアルバム『W』のタイトルトラックで使用されています。これは、それこそ『1992 Live in Yokohama Stadium』の「La-La-La」に匹敵する楽曲で、後のシングル盤「Chu-Chu♥」のカプリングとして収録された「La-La-La」や、初のセルフプロデュースアルバム『OPEN ZOO』に収録されている「La-La-La」で、横浜スタジアムのシンガロングを楽曲に組み込もうと試みて断念したことへのリベンジでした。

Team Mとのつながりを楽曲に込めたトラックは、もう1曲「20時の流星群」として、この年に産声を上げます。この楽曲は先述の12月14日のふたご座流星群の経験を歌にしたもので、ナガマリ第5フェーズを代表する超名曲。その「20時の流星群」を含む全4曲入りのEPがフルアルバム発売に先駆けて『W』としてデジタル配信、iTunesの32位に初登場します。

4月には日比谷野音のフェス「NAONのYAON」に出演、5月には名古屋「栄ミナミ音楽祭」、6月には渋谷「YATSUI FESTIVAL!」に参加。そのままアルバム『W』をひっさげて、東名阪のクアトロ・ツアーを遂行。ラストは仙台にて「TBC夏まつり」に参加。

そんな熱い夏が冷めやらぬまま、Twitterでの話題がそのまま実現したのが9月の「女子会」と「男祭り」。「女子会」は女性のみ、「男祭り」は男性陣のみというライブ形式で開催され、その合間には岡山「赤米フェスタ」で相川七瀬さん・さだまさしさんと会場を盛り上げ、名古屋「GOJISAT. ROCK WAVE」では、錚々たるイカ天時代のアーティストたちとの祝宴を果たしました。その勢いのまま、今度は「M's Rock Tour」がスタート。横浜を皮切りに、甲府~神戸~広島~福岡、そして、2度目の石巻へと続き、さらに恒例と化してきた「ファン感謝祭」では、なんと前田克樹さんがゲスト出演。巡り巡っての原点回帰となる「Restart」が披露され、ここにきて完全に往年の永井真理子が大復活を告げようとしていました。しかし、その矢先、世界はとんでもない時代へと突入してしまったのです。

4.2020年 ~閉ざされた扉の向こう側へ~

2020年2月3日、横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号。船員1,068人、乗客2,645人、計3,713人が搭乗していた船内で検疫が実施され、その内の10人が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に羅漢、神奈川県内の医療機関へと搬送されました。その後も感染者の数は増えていき、2月20日、1例目にあたる患者の死亡が確認されると、感染は全国へと瞬く間に拡がり、1か月半後の4月7日、政府は第一回目の緊急事態宣言を発令。埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府兵庫県・福岡県の2府5県が対象区域でしたが、9日後の4月16日には全都道府県がその対象区域となり、世界は完全に閉ざされてしまいました。

もともとは3月14日の尾道を皮切りに福岡~京都~名古屋~東京~仙台~大阪と全国7か所を巡る「Cir-mall Tour 2020」が、その合間にはコラボ・アルバム『会えて よかった』のリリース記念ライブが4月11日・12日の2日間で予定されていましたが、全ての公演が延期となり、まったく先の見えない白紙状態となってしまいます。

そんな中で始まったのが "おうちシリーズ"。ステイホームを合言葉に、誰もが自宅にこもっていた頃、Twitterだけではなんだから、ちょいと生配信でもしてみましょうか?と、4月12日に「おうちでトーク」をYouTubeで生配信。そこから緊急事態宣言が解除される5月末まで、毎週日曜日に「おうちでトーク」「おうちでライブ」を交互に配信されました。特に「おうちでトーク」の最後は歌のセッションで締めくくられていましたが、チエさんとの「やさしくなりたい」、マッシーとの「同じ時代」、前田先生との「私の中の勇気」は、未知のウィルスに負けないための「永井真理子の歌」として、Team Mの心の拠り所となったのです。

6月7日の「おうちでライブ3」で無観客配信ライブを行うことが発表され、その1か月後、7月10日に「永井真理子 デビュー33周年記念ライブ ~I'm happy to meet you~」を配信。さらに8月8日には「アコースティックスペシャル M's History」を配信されます。そして、10月24日、大阪にて行われた「KNOCK THE NEXT DOOR」のライブは、有観客と配信を組み合わせたものとなり、昨年の「ファン感謝祭」以来、10カ月ぶりの再会を果たすこととなりました。この隔たりの期間が、逆に真理子さんとTeam Mの繋がりを深めることとなり、再会できる喜びを身に染みてわかる感動的なライブとなったのです。さらに、初のセルフカバーアルバム『Brand-New Door』も会場販売。11月20日には「OPEN THE NEXT DOOR」のライブが渋谷で行われ、この時、横浜スタジアムライブを彷彿させる巨大風船がお目見え。そのまま風向きは良い方向に進むかと思われましたが、12月22日「ファン感謝祭2020」が渋谷で行われる頃には、再び、感染者増加の影がさし始め、いつ果てるとも知れないコロナ禍の隔たりに翻弄されることとなります。

5.2021年 ~つながりの輪~

日頃の感染対策、新しい生活様式、まん延防止等重点措置から度重なる緊急事態宣言と、その都度、ライブ開催が危ぶまれる状況の中で、少しずつでも歩を進めていこうと、2月14日、バレンタインデーにちなんで「M's LOVE SONG LIVE」を開催。このライブから始まったのがタンバリン・リレー。これは、1994年に全国25か所で開催された「MARIKO NAGAI CONCERT TOUR 1994 “Love Eater”」で行われていたタンバリン交換を復活したものでした。

Team MからTeam Mへ、真理子さんを介してタンバリンがつながれていく旅は、延期になっていたサモールツアー2020の京都、仙台 LIVE HOUSE 88で開催されたスペシャルライブ、サモール福岡にサモール大阪、サモール東京の代替公演「ONNA Fes. 女祭り」へと渡っていきます。世界は隔たれたままでしたが、姐さんとTeam Mのつながりは、毎日のおやすみツイートに毎週月曜日のじゃんけん動画と止まることを知らず、まさに「タンバリンをたたこう」のリリック<We are Happy to be Hear with You>の想いをそのまま体現しているようでもあります。

10月1日には『Brand-New Door Vol.2』のリリース記念ライブが渋谷で行われ、そこからサモールツアー後半戦、名古屋~仙台~尾道へと続きました。延期に次ぐ延期が繰り返され、最終的にツアーのファイナルが尾道になったことは、時を巻き戻していくような、どこか運命的な巡り合わせのようでした。

完全に毎年恒例となった「ファン感謝祭」で、今年は重大発表をお伝えします!とのアナウンスがTwitterで流れると、あっちのTeam M、こっちのTeam Mが色めき立ち、その内容に注目が集まりました。12月5日、下北沢で高らかに発表されたのは『1992 Live in Yokohama Stadium』と同じセットリストを、当時のバンドメンバーHYSTERIC MAMAを再招集して、ドドン!と再現ライブを行うというものでした。

6.2022年 ~Re-Birth to the Future~

山形でのディナーショー、東名阪で開催されたネオアコースティックライブ「Big Sky」。新たな世界観を開拓しながら、それでいて懐かしさもあり、スタンダードでもあるというスタイル。これは2枚のセルフカバーアルバムもそうですが、3.11やステイホーム期間に求められた「永井真理子の歌」が、30年、35年経っても、未だに有効であることの証明であると言えそうです。

さらに、一度は閉ざされた扉が開け放たれ、それぞれの約束を果たしながら、共にコロナの季節を越え、この夏を境に、ナガマリはさらなる新機軸を見せようとしているところがあります。その一つが横浜スタジアムの再現ライブであり、もう一つは、長らく延期されているコラボ・ライブの開催となります。このどちらもが、第1フェーズの進化型というところが共通していて、かつ、一番重要なのは、もう一度、あの頃の情熱を取り戻すということです。

この動画を見て、懐かしいと思う方も当然いらっしゃると思います。いや、ほとんどの方が、若かりし頃のあの季節に遠い望郷の思いを馳せるのではないかと。それと同時に、この胸に湧き上がってくるワクワク感はいったいなんでしょう。この胸をときめかせるキラキラ感はなんでしょう。これを懐古趣味で片づけるには、あまりにもモダンで、あまりにも希望にあふれているような気がするのです。

ロックやポップスというのは、そんな明日への突破力を後押ししてくれる音楽だったはずです。デビューして35年、真理子さんは、今も尚そんな音楽を奏で続けています。そして、そんな音楽に身を任せながら、灰色だった昨日を、七色に輝く今日へと、みんなで変えていければと思うのです。その先には、きっと素敵な未来が広がっているはずなんです。

BIGでBLUEでNIGHTなSKYの先にはRE-BIRTHな世界が待ってるよーーー!

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さてさて、今月の24日の日曜日に名古屋からスタートする、久々の東名阪ツアー「Big Sky ~neo Acoustic Live~」!これが姐さん&アニキによる大人な弾き語りライブということなんですが、どうなんでしょ、どんなライブになるんでしょ、まったく見当がつきません。いや、アコースティックな大人なライブと聞けばですよ、例えばニルヴァーナやクラプトンなどの "MTV アンプラグド" シリーズみたいな、なんとなくゆったりめな感じの曲が多くなるのかなぁと思ったりもするのですが、でも、今までにないアレンジも施されているというお話もあるので、天才アニキのマニピュレーターぶりが異次元の世界に誘ってくれる可能性もあるわけでして。

というかですね、そもそもライブツアーのために、この2枚のキービジュアルまで作成してしまうところに、姐さんの並々ならぬ思い入れを感じてしまうのですが、みなさん、この2枚に込められた楽曲たちって、わかりました?

え?「夜空にのびをして」

ん?「Oh, ムーンライト」

ほいっ「春風の言葉」

はて?「海と貝殻」

ほなっ「ピンクの魚よ」

うほっ「Keep On "Keeping On"」

けへっ「20時の流星群」

おほっ「悲しまないで」

てへっ「秘密の宝物」

んん?「市場へ行こう」

というか「Bicycle Race」

あとは「ORANGE」

さらに「飛べないBig Bird」

からの「DON'T GIVE UP HEART」

で「White Communication-新しい絆-」

あらよっ「Say Hello」

わっせ!「life is beautiful

これも?「story」

たぶん「本気 その気 夢中」

とどめは「W」

あ...、もう20曲になっちまいました。とりあえず、思いつくものを片っぱしから挙げていけば、どれかしらは当たるだろうということで、さらに20曲いきますか!

えいやっ「ロンリイザ...」

やめときましょう。

当たるも八卦当たらぬも八卦ですが、それにしても、それにしてもね、なんでクジラなの~~~っ!とずっと思っておりまして。こればっかりは「Big Sky」がオープンしてからのお楽しみということだと思うのですが。先日の鶴岡ディナーショーでの加茂水族館、ツアーグッズのアクリルブロックを見ていると、これって、クジラが空を飛んでいるんじゃなくて、このキービジュアルの世界観が "大きな水槽" の中を表現しているんじゃないのかなと思い初めまして。

外はもっと怖い大きな水槽だと思っていたけれど、それでも飛び出してみたら、水槽の中であってもそこはエメラルド色の海で、その海底から見ていた青い空は広く輝き、夜光雲の向こうには白い大きな花(月)が咲いていた。

デビュー35周年を迎える今年、ディナーショー、Re-Birth of 1992、そして、ネオアコースティックなBig Skyと、初もの尽くしと言いながら、真理子さんはいろんな形で、Team Mのみなさんに今までの感謝を伝えるイベントを計画しているようにしか見えません。こんな素敵なアーティスト、います?

幸せがつられて寄ってきすぎて笑いが止まりませんよ、わっしょ~~~い!

てなわけで、

Bigなお土産付きのSS席は4月15日(金)12:00~4月24日(日)23:59まで抽選受付!ダメだったとしても2次販売が4月27日(水)18:00~再度開始!もう、行くしかないっしょ!みんなで姐さん&ハートくんタオルをぶん回すしかないでしょ!祭りじゃ、祭りじゃ!

ナガマリ・ソングに学ぶ ~新しい自分に出会う12の方法~

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20才でも80才でも、

学ぶことをやめた者は老人である。

学び続ける者はいつまでも若い。

人生で一番大切なことは、

若い精神を持ち続けることなんだ。

ヘンリー・フォード

少しだけ思い返してみると、中学校時代の3年間とここ直近の3年間を比べてみた時、その時間の流れの早さって、自転車とジェット機ぐらいの差があると思うんです。もちろん、"ジャネーの法則" が説明しているように、50才の人間の1年が50分の1に対して、5才の人間の1年は5分の1、だから、50才の10年間が5才の1年間に相当するという単純比例で表すこともできるかもしれません(実際、それぐらいの感覚があるにはあるんですよね)。でも、中学校時代の3年間、なにをしていたかと思い返してみれば、勉強をして、運動をして、恋をして、友達と遊んで、新しいことにいっぱい挑戦をしていて...。そりゃ、1日1日が濃密になるわけじゃないかと。

2022年、新しい1年が始まりましたが、今年はなんといっても "Re-Birth" です。トラのように猛々しく生まれ変わる1年であります(ガオー)。とは言え、いきなり生き方を180度変えるとか、そんなアクロバティックな変化をしようとしても長続きはしません。ちょっとずつ、少しずつ、昨日よりも今日の自分がほんの少しでも素敵になれれば、それでいいじゃないかと。で、そのヒントはナガマリ・ソングにいっぱい溢れていますよと。いろんなサイトやビジネス書などで紹介されていることではありますが、普段、日常に活用できそうな習慣を(これ、ほぼ自分のための備忘録として)紹介していきますね。

1.憧れの人のマネをしてみる

Go! Ready Go! Steady Go!

頭のすみで

シャッターを切る音が

ゆっくり弾ける

Ready Steady Go!

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モノの初めはやっぱりこれでしょう。若かりし頃、髪型であったり、選ぶファッションであったり、普段の言動であったり、そういうものって、憧れの誰かのマネから始まっていたような気がします。そして、その姿を鏡で見た時、今までとは違う自分にワクワクしていたと思うんです。それこそ、新しい自分に生まれ変わった気がしたものです。

年を重ねていくと、誰かに憧れるということも少なくなり、服選びも面倒くさくなっていつも同じ服を着たり、逆に変化がないことが安泰みたいな気にもなりがちです。

Twitterを見ていると、最近はマリラー人口も増えてきていて、これってスゴイ素敵なことだなって思うんです。かくいう私も地味にコジラーだったりして、たまにショッピングでそれっぽいロックな服を見つけると、やっぱり心が躍ります(値札を見て目ん玉が飛び出ることも多いですけど...)。毎日、こんなことをするのは大変ですけど、月イチくらい、街に出て、いつもと違う自分と向き合うのも、心の栄養だと思うんです。

2.行動してみる

探偵 ヒロイン 猫にだってなれる

おとぎ話だから

そういうときには きみは何してる?

放っておいちゃ ご用心

- ハートをWASH! -

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本を読んだり、ネットで調べたりすることって、スゴイ大事なことだと思うんですけど、結構、そこでわかったつもりになりがちなんですよね。スマホなんて、ホント、お手軽なんで、見てるだけでその気になっちゃったり...。

去年、時間があるからイラストレーターの勉強を始めるよ~!とか、断食してみたよ~!とか、思い立って髪を黒くしてみたよ~!とか、姐さんの行動力ってハンパないと思うんですね。

なので、わたしたちも何か行動してみましょう。結果の良し悪しではなく、やってみよう!という気持ちと、実際にそれをやってみることに意義がある。その一歩から新たな自分との出会いが生まれると思うんです。

3.大切な人に感謝してみる

して欲しいことを

してあげられるエナジー

それは風の中

君を待っているさ

ミラクル・ガール

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なんだか手前味噌な話ですが、うちの奥さんはホント、スゴイなぁと思います。なにがって、毎朝、洗濯物を干して、ゴミを出して、ご飯を作って、仕事に行く準備をして...。本当に申し訳ないですけど、わたくし、未だに洗濯機の使い方がよくわかりません...。子育て期間中なんて、子供の面倒まであるわけじゃないですか...。

そんな御方になにができるかって、とりあえず稼いでこいと。はい、わかりましたと。そんなこんなで毎日、お仕事をしておりますけれども、まあ、それが感謝になるかと言ったら、あったりまえすぎて、どうだい!なんて言ってみようものなら、逆に首根っこをこれでもかと絞めつけられてしまいます。

人それぞれ役割ってあると思うんですけど、その役割にちょっとだけ感謝したいなと思うんです。早く家に帰れたら洗濯物を取り込むとか、できなければお風呂の掃除をするとか、自分が晩御飯を作ってあげるとか、できることをして、負担を軽減させてあげたいなと。モノではなく、行動で感謝を現わせたらいいなと。その昔、両親にプレゼントした "肩たたき券" みたいな。

4.過去の経験を自信に変えてみる

それぞれが孤独のフェンスに

つまずいて苦しむけれど

傷跡や間違いの数を

いつか歴史にかえて

- 瞳・元気 -

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ふとした時にパッと過去のやらかし経験を思い出してしまい、うぁぁぁぁぁ~と頭から締め出したくなる時があります。わたくしの場合、地元に帰った時、ある神社の前を通るたびに、小学校時代、好きな子の前でカッコつけて石垣から飛び降りたら骨折したことを思い出し、うぁぁぁぁぁ~となります。

まあ、そんなガキんちょのやらかしは別として、仕事での失敗、人間関係での失敗というのは、なんでか、ちょいちょい同じようなシチュエーションで繰り返されるものではないかと。その度に、トラウマではないですけど、心がチクリと疼くことがあります。

姐さんがセルフカバーで過去の自分を抱きしめたように、そこから始まる新しいものってあると思うんですね。あの時はスキルが足りなくて仕事を失敗したけど、今回は難なくこなせそう!って、自分の良い面を肯定できたら、きっと自信につながると思うんです。

5.ひとりの時間を大切にしてみる

誰もいない海を そう一人

歩く影が青く ほら揺れて

何か探すように今空を

見上げたよね それは そう自分

- やさしくなりたい -

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普段から瞑想とかそういうのができたらいいなぁとは思うんですけど、なかなかそこまでの余裕というのは難しいですよね。というか、あえてそういう時間を作る必要もないのかなと。

例えば、通勤時とか、必然的にひとりになるじゃないですか。周りにはいっぱい人がいるかもしれないですけど。そういう時、窓を眺めながらとか、運転しながらとか、ふと自分と向き合っていたりすると思うんですね。そんな時の "心の声" みたいなものを、もう少し大事にできたらいいのかなと。

あと、あれです。お風呂タイムに自分と向き合うって、いいらしいですよ。子育て真っ最中で、ゆっくりお風呂に入れな~い!という方もいるかもしれませんが、週イチくらい、10分程度、ひとりで湯船に浸かって、オレンジの香りに包まれながら、自分と会話してみるのもいいかもしれないですよね。

6.今の自分を客観的に見つめてみる

ぼんやりして 過ごす午後は

時間もノイズも消えて

自分の年 思いながら

ほおずえをついた

大人になりたい 子供に帰りたい

いろんなわがままで 出来ているの私

- 泣きたい日もある -

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自分自身を客観視する方法っていくつかあると思うんです。それこそ、先述した瞑想などであったり、日記を書いてみたり、効果的なのは自分をビデオ撮影するのが結構いいらしいんですけど、これ、なかなか恥ずかしいというか、モロすぎて目を背けたくなるんですよね。

そういう意味では、毎週毎週、直接対決とかアップしてくれているところが、やっぱりスゴイなあと思います。インスタライブとか開いちゃうのもスゴイなあと思います。やっぱ、回数を重ねていくと磨かれていくんですよね。

で、書きながら思い出したんですけど、スポーツジムで鏡を見ながら運動をするというのもありかもしれないです。そういえば、昔やってましたよ。うん、ちょっとジム通いを復活させようかな。

7.自分を認めて褒めてみる

自分に今

嘘ついても

素敵になんかなれない

心のまま

動いてみて

そして何かを見つけて...

- 自分についた嘘 -

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自分を褒めるって、なんか苦手です。どちらかというと、こんなもんじゃないだろう!もっとできるだろう!と叱咤激励することが多いというか。で、できたらできたで、いやいや、できて当然!くらいの感覚でいるというか。だから、Team "M" なんですけどね。いや、自分自身に対しては Team "S" か...。

でも、冗談抜きで褒めた方がいいらしいですよ。しかも、声に出して言った方がいいみたいです。「自分、スゴイ!」とか、「よくやった、偉い!」とか、「オレ、最高!」とか、声に出すと、脳がそうなんだと思って、ますますそう思うらしいんです。

まあ、姐さんも歌ってますからね。<自信過剰その位でいい 夢をつかむ時のエナジー>って。思い返してみたら、若かりし頃って、なんの根拠もないまま、とりあえずやってみればうまくいくんじゃね、なんて、考えもなしにやってみて、ほら、やっぱりうまくいった!って。この直観力みたいなものも、自分を信じてこそなのかもしれません。

8.新しい場所に出かけてみる

いつまでも同じ場所を

うろついてばかりね

考えはアクションへと移すべき

Twenty hundred+1

生きてることはきっと

ひとつの魂の

素敵探すこと

- TIME -Song for GUNHED- -

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このコロナ禍の中で、どこかに出かけていくというのは、まだまだ抵抗があるかもしれません。まあ、遠くに行ければ、それに越したことはないのですけれど、近場でも新しい場所というのは、それなりにあるのではないかと。

いつもと同じルーティンをこなしていくのも大事なことだとは思いますが、たまには、今まで入ったことのないお店とか、前から行ってみたかった場所を訪れたりするのも、気分が変わって、なんか新しい発見がありそうじゃないですか。

できればね、姐さんと一緒にサモールツアーを制覇できれば、いろんな街を散策することができるし、いろんな地域のTeam Mの方たちと触れ合えるので、それが一番だと思うんですけど、とりあえず、今年は "横浜" で大いにリフレッシュしたいですね。

9.出し惜しみをしないようにする

Don't Stop! 熱い想い

追い風よりも早く

感じたい 信じたい この手でふれたい

Don't Stop! 続く限り

あきらめない心で

未来を今 つかむよ

- Brand-New Way -

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若い頃は全力で取り組んでいたことが、そこそこの年代になってくると、これが手抜きではないんですけど、そこそこチカラ加減を考えながらやってたりしません?それを "効率" と呼べば聞こえはいいですけど、なんか "淡泊" な感じもしてしまうんですよね。

とは言え、全身全霊でなにかに取り組みたいものはあるか?と自分に問うてみても、これがなかなか...。というか、そういうものって、こう、なんて言うんですか、自分から探し当てるものでもないのかなと。

これは、ある意味、どんな "決意" をするか。自分に対して、どんなことに "腹をくくる" かだと思うんです。そう考えていたら、思い出しましたよ。姐さんが復活した頃のインタビュー記事で、もう、まんまなことを語っているじゃないですか。

誰も明日どうなるかなんてわからない。そう考えたら、今をめいいっぱい楽しむ、めいいっぱいやりきる、めいいっぱい笑う!絶対、人生、その方が素敵じゃないですか。

10.区切りをつけてみる

風はいつでも とびっきり

君に吹いてる とびっきり

感じる胸に穴があいてちゃダメさ

空はいつでも とびっきり

君に広がる とびっきり

恋を忘れるために恋してごらん

- ロンリイザウルス -

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学生時代って、それこそ季節ごとに区切りがあって、わかりやすかったですよね。夏休みに冬休み、卒業式に入学式。気持ちの切り替えがしやすかったというか、そこには別れがあって、新しい出会いがあって。

社会人になると、それもなかなかしづらくなるというか、変化が乏しくなるというか。そんな中で区切りをつけるとしたら、年度の切り替わりとか、ちょうど今の時期のように新年を迎えた時とか、姐さんみたいに〇〇周年を迎えた時とか。

年数とか季節で区切るのもいいんですけど、なんか人生のステージが変わったなと思うことってありません?季節に関係なく、今までの自分よりレベルが上がったというか、なんだか環境が変わったというか。それもひとつの区切りだと思うんです。

11.「疲れた」と感じたら立ち止まってみる

時には野原で休んで

たまには川辺で遊んで

だれも追ってくるわけじゃないし

遠く遠くはるか彼方 まだ見ぬあの場所へ

きっときっとたどりついても 君といるよ

- YOU AND I -

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なんだかんだ言って、基本、人間さまというのは変化を好まない生き物らしいです。もう、どういうこっちゃねん!と思うんですけど、でも、そうですよね。おいそれと簡単に自分を変えたりできるものなら、誰も苦労はしないというか、そもそもこういう話題もしなくて済むわけで。

疲れたら、休みましょう。自分をいたわるというのも大事なことです。ああ、自分、こんなに疲れてたんだなぁ~と、それだけ戦ってきたんだなぁ~と、そう思えることも新しい自分へのきっかけですよ。

生きていれば、アホみたいに忙しい時もあります。そういう時、自分はよく筋トレに例えて生きています。筋肉って負荷をかけなければ成長しないんですって。それと一緒で、人生の負荷も自分の成長に必要なものではないかと。ただし、負荷をかけ続けてしまうと壊れてしまいます。負荷をかけて、休息をしている時が、一番、成長している時なんです。

12.自分自身をもっと好きになってみる

頑張れ 私の中の勇気

閉じた瞳を 責めないで

まぶたの裏の画面の中

熱い夢を 映しつづけたいよ

- 私の中の勇気 -

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新しい自分に生まれ変わる。進化する。それって、なんのためにするのかと言えば、自分自身のためにするわけで、決して誰かのためにすることではないですよね。

いつもと変わらない自分。いつもと変わらない日常。いつもと変わらない人生。そんな毎日に欠けているもの、それはワクワクであったり、ドキドキであったり、キラキラであったり。

幸せなことに、今、わたしたちはそれを享受できる環境に生きています。ここに挙げた12の楽曲以外にも、たくさんのナガマリ・ソングが、こんなに身近な存在として、わたしたちのそばに寄り添ってくれているんです。

<今の自分からはみ出したいんだ>と思う気持ちは、もっともっと自分を好きになりたいんだ!という気持ちとイコールではないかと。だから、大丈夫です。そう思えたところから、素敵が始まるんですよ、絶対に。

 

てなわけで、"Re-Birth" な一年を楽しんでいきましょう!

永井真理子 "Re-Birth" に込めた想いについて

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2022年は、ナガマリ・デビュー35周年ですね。

姐さん、おめでとうございます!(早いかっ)

で、"Re-Birth" ですよ。

リ・バース。

再生?

新生?

生まれ変わる?

蘇る?

まあ、そんなニュアンスを全部ひっくるめての "Re-Birth"。

それを象徴するように、2022年8月7日(日)には、かの伝説の地 "横浜" で、1992年に開催された「1992 Live in Yokohama Stadium」のセットリスト全19曲をそのまま、当時のバンドメンバー "HYSTERIC MAMA" を再び招集して、ドドーンとやっちまいますよ~!と既に告知されております。

もうね、ファン感謝祭'21の重大発表の時から、これはいったいどういうことなんだろう?と思ってたんですけど、まあ、楽しそうだから、それでいっかと。たぶん、姐さんのことだから、そんなに深い意味はないだろうと。なんてったってリ・バースだもん、そういうことでしょと、そう思ってたわけですよ、ね?

見ました?「サモール打ち上げ&M's忘年会」!

姐さん、スゴイことをさらっと言ってましたよ。

進化した自分を30年前の自分に伝えたいと思ってるんです

どうですか。

過去の自分に今の自分を伝えたいんですって。

もう、どれだけ、ホントにどれだけ、今が充実しているんですか!逆に今が充実していなければ、こんな言葉も出てこないはずでして。ある意味、これは30年前の自分への宣戦布告でしょうと。

わかりました。姐さん、わかりましたよ。

なんてったってリ・バースですもん、あっしらも30年前の自分に宣戦布告してやりましょう。やいやいやい!30年前の自分ちゃんよ!あんたが逆立ちしたって敵わないレベルに今の自分いますからね~、悔しかったら30年、あがいてもがいて笑い転げて、今の自分に辿りついて見せなさいっ!あんたが歩んできた道は決して平坦ではなかったけど、あんたが選んできた分かれ道は決して間違いでもなかったんだからね!

で、気づいたんです。

そっか、新しい扉の向こうに待っていたのは新しい自分なんだ...。世界が変わるわけじゃない、自分が変わっていくんだと。だから、"Re-Birth"。

...。

...。

...。

...。

...。

姐さん、深くないですか?

 

もうすぐ新年を迎えますね。

みなさま、今年1年、いろいろとありがとうございました。来年、GO!GO!でみんなで新たな自分に生まれ変わりましょう。ひとりでは難しくても、みんながいればきっと楽しいですよね!

永井真理子 ファン感謝祭2021 @ 下北沢シャングリア

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去年の、あのアクリル手形ファン感謝祭から、もう1年も経ってしまったのかと思うのですが...。あれから、ようやく、本当にようやく、会場で声を出せる日がやってきました。Youtubeの生配信から無観客の配信ライブ、有観客によるハイブリッドライブから、人数制限の解除まで。世界を隔てていた扉は確実に開き始めています。

去年に引き続き、1部と2部に分かれての公演。ちょいと残念だったのは、会場設備の関係で配信ができず、日本全国のTeam M 全員集合が叶わなかったこと。なので、参加できなかった方のために、ネタバレ上等でドドンといきます。と言っても、わたくし、2部にしか参加できていませんでして...、たぶん、セトリに関しては多少のね、多少の違いだけではなかろうかというところで。

てなわけで、会場は下北沢シャングリラ。下北沢駅から徒歩5分程度の駅近ライブハウスでございます。

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驚くべきことは、このライブハウス、去年のコロナ禍の中でオープンしているのです。しかも、キャパは下北沢の中で最大。昔からシモキタは演劇と音楽(あと古着)で知られている街ですが、このコロナ禍の未曽有の大打撃を生き延び、アグレッシブに未来へ展開していく姿には、本当に勇気づけられます。

第1部のプレゼントコーナーで、見事、女祭りの姐さん法被をゲットしたmasaさんをみんなで取り囲み、どうよどうよと変態なおっさんたちが匂いを嗅ぎまくった後、会場に足を運ぶと、地下へ降りていく階段にはオレンジパーカーの集団がズラリ。「充分な数のチケットを用意しています!」という真理子さんのアナウンス通り、コロナ禍では考えられなかった数のオーディエンスがフロアに集合していました。

開演10分前になると、あのイントロが流れ始め、ウルトラ満太郎さんからアナウンスが流れます。「声出して、いいよー。でも、周りの人たちのことは考えようねー。あと風邪ひかないでねー」声が出せる。声が出せる。声が出せる。もう、フロアのあちこちから、こうウズウズした、なんていうでしょ、休み時間3分前の早くグラウンドに飛び出てドッジボールの場所を確保しなきゃみたいな、そんなムラムラ...、いや違うな、そんなムズムズしたような、言いようのないソワソワ感があふれ出ていまして。

そうこうしているうちにコールドプレイの「Viva La Vida」が場内に響き渡り、ステージが暗転、さあ、ライブの開始です。

バンドメンバーは去年の『OPEN THE NEXT DOOR』と一緒で、オープニングSEも一緒。ていうか、やっぱ、この動画かっちょいいよなぁ。普通にアガります。からの「White Communication~新しい絆~」のアカペラが流れ始めると、もう会場のあちこちからどよめきが。そして、あの高らかなファンファーレが鳴り響くと一気にボルテージは最高潮、ずっと離れられなくなってしまいます。

続いて「大きなキリンになって」「Ready Steady Go!」と燃焼系ライブにふさわしいアッパー系が続けざまに並び、いきなり会場は沸点を迎えます。というか、ライブハウスの音響のおかげなのか、もしくは"そんなヒロシさん"のベースとアニキ&チエさんのなせる技なのか、とにかく音が硬いんですよ。これがとにかく気持ちいい!ニルヴァーナの『In Utero』みたいな、伝わるかなぁ、ガンズのマット・ソーラムみたいな、スティーブン・アドラーじゃないんですよ、マット・ソーラムなんです。

まあ、マットなのかソーラムなのかは置いといて、ここで「誕生日を迎えましたとさ」というMCを挟み、25才にしか見えなーいというところから、それにちなんだ「GO! GO!」へなだれ込み、「ルーシータクシー」「Chu-Chu」と燃焼系が続きます。ここまでくると体内にたまった乳酸も抜け出て、かなり身体があたたまった状態、もう永遠にモンキーダンスができるんじゃないかという、永遠に投げキッスを送りまくれるんじゃないかという。ていうか、遠めに見たからなのか、前髪パッツンの姐さんは若かったよ、ホントに。昔のDVDを見てるようでした。

ここでファン感謝祭にちなんで、もとおさんのラジオネタ&ドラマネタからの、なななな、なんと、あのマッキーさんがサプライズとしてステージでギターを演奏するという。いやーーー、スゴイ。真理子さんと同じステージに立てるという羨ましさもありながら、いや、その度胸はスゴイなと。からの「Brand-New Way(B.N.D. ver)」が、また盛り上がるのなんのって。もう、マッキーさ~~~ん、めちゃくちゃカッチョよかったよーーー!

んでもって、プレゼントコーナー。そういえば、姐さんの法被はみんなが取り囲んでいたけど、hiroさんがゲットした"そんなヒロシさん"のデニム?には、みんなイマイチだったかなぁ...w。ライブ後にたまたま会場の出入り口で見かけたのですが、18禁の姐さん&チエさんのチェキを見た方たちが悲鳴を上げていたのもなんか気になります。

で、みんなで踊りましょー!というMCから始まったのが「We are OK!」この振付、なんか懐かしいーーー!と思ってしまったのは私だけでしょうか。こういうことやってたよ、確か、みたいな。そんな望郷の想いにとらわれているうちに後半戦に突入、その一発目がなんと「Paper Plane」!やったー!大好き、この曲。"生まれてきた意味を探すより 今日出会える 止められない笑い声を数えていたい"。12月5日の今日を一言でまとめるとするなら、ホント、このフレーズに集約されます。

で、「ハートをWASH!(B.N.D ver)」「ワイルドで行こう(B.N.D ver)」「23才(B.N.D ver)」と怒涛のナガマリ現在進行形で叩き込み、本編の締めは「ORANGE」の満場のサイリウム。会場の後ろから眺めていると、まるでオレンジ色の海が広がっているような光景なんですよね。

アンコールでは久々の真理子コールが響き、メンバー紹介からのちょっとした重大発表が。これに関しては、ライブに参加できなかったTeamMのみなさんに、真理子さんからまたちゃんとアナウンスがあると思いますので、ここでは割愛いたします。からの、ラストは「キャッチ・ボール」。

去年のファン感謝祭では、この投げて投げ返されて、また投げてまた投げ返されてという、人と人とのつながりにコロナ禍が隔たりを作ってしまったが故、思いの丈をアクリル板にぶつけた真理子さんでした。その1年後、そこに隔たりはなく、来年、アニバーサリーを迎えようとしている幸福な光景が広がっていました。

思うのは、いつからファンになったとか、ちょいと離れてしまったとか、そんなことは全部関係なくて、ただただ、今、ここに集えること、もしくは集えたこと、一緒にこの幸福な空間を共有できること、それが一番、素晴らしいことなのではないかなと。それはライブ会場に行くことだけではなくて、毎晩のおやすみツイートであったり、たまーーーに更新されるインスタであったり、それこそ、今このタイミングで真理子さんの復活を知った!という人も、ぜ~んぶ、すべては"永井真理子"という名のもとに集っているわけですから。でしょ?だから、姐さんには、真理子さんにはホント感謝です。ホント、ありがとうございます。

そして、kumaさん、新たいちょうさん、hiroさん、もとおさん、ガラスのPUNK!さん(ハイネックはっとりくん)、なぽりんさん、毎度のSTRAYさん、今日は本当にありがとうございました。そして、こんな出会いを設けてくださった真理子さん、本当にありがとうございました。

 

永井真理子 ファン感謝祭 2021 2nd stage-

1.White Communication~新しい絆~

2.大きなキリンになって

3.Ready Steady Go!

4.GO! GO!

5.ルーシータクシー

6.Chu-Chu

7.Brand-New Way (Self Cover ver.)

8.We are OK!

9.Paper Plane

10.ハートをWASH! (Self Cover ver.)

11.ワイルドで行こう (Self Cover ver.)

12.23才 (Self Cover ver.)

13.ORANGE

14.キャッチ・ボール

永井真理子『Brand-New Door Vol.2』

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永井真理子」というアーティストに抱くイメージとはどんなものでしょうか。そりゃ、デビュー時からの "元気" というイメージに決まってるだろう!とおっしゃる方が大半かもしれません。代表曲である国民的タイアップから "ミラクル" というイメージを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。小柄な女性からは想像もできない "パワフル" なパフォーマンスを一番に推す方もいらっしゃるでしょう。なに言ってるんだい "やらかし" に決まってるじゃないかと親指を立てたあなたはTeam Mですw。

で、かくいう私はというとですね、少数意見になるとは思うのですが "自己対峙" というイメージがスゴイ強かったんです。たぶん亜伊林さんの歌詞の影響がかなり大きいと思うんですけど、とにかく真理子さんは常に自分と向き合い・自分と格闘し・答えのない答えを探しまくっているイメージだったんですね。で、同じように "生きる意味" を模索していた多感な思春期の私は、そんな姐さんの作品にふれることで答えが少しだけ見えたような気になり、ライブに参加することでかろうじて現実から救われたような気になっていたのです。

前作『Brand-New Door』から、ちょうど1年。ファン待望のセルフカバーアルバム第2弾『Brand-New Door Vol.2』に収録されている11曲ものナンバーたちは、そんな思春期の葛藤を一緒に乗り越えてきた大切な大切な曲たちのオンパレードとなっています。あの日、あの時。例えば、えぐられるような胸の苦しみを抱えて眠ることができなかったあの夜、もしくは途方に暮れてなにも考えることができなくなったあの夕暮れ、人とふれあう温かさに心がふっと軽くなったあの瞬間。そんな思い出の1ページをそっとめくっていくようにですね、この大傑作セルフカバーアルバムを1曲ずつ、愛でるようにひも解いてみようかなと思うのです。

1.23才

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オリジナルは1990年発売の大名盤『Catch Ball』からのシングルカット曲。作曲は前田先生、作詞は真理子さんと浅田有理さんの共作となります。先日のブログでも語りましたが、この痛切なまでの楽曲を今ここでカバーしたというのが、今作『B.N.D.2』の存在意義を端的に象徴しているのではないかと。

図太いリズムギターと重心の低いスネアが高らかに鳴り響くオリジナルのオープニング。この硬質なハードロックが誘導していく世界というのは、思うようにいかない現実をハンマーで叩き壊していくファミコンの「レッキングクルー」よろしく、今を生きていく私たちの原動力でした。CDをコンポやラジカセにセットして、プレイボタンを押したあとに響いてくるあのズゥーンという重低音が、アルバム『Catch Ball』を聴くときの一大高揚感だったのです。

今回のアレンジでは、その高揚感が違う意味で心に響いてきます。原曲ではギターの裏に隠れ気味だったフレーズが、エレクトロニカルな幸福のファンファーレとして、コロナ禍で結ばれた絆を称えるように私たちの目の前に広がるのです。≪誰かと出会いたい 苦しい出会いでもいいよ≫ と、現実を突破しようとするこの気概というものが、なんていうんでしょ、若さゆえの当たって砕けろ的なものではなく、感謝にあふれているんですよね、うまく言えないんですけど。冒頭の真理子さんのアカペラもそんな感じで。なんか感謝というか、幸せにあふれているんですよ。

復活後のアルバム『W』もそうなんですが、戦いの果てに深い海の底へと沈み、長い時間をかけて浮上したあとのこのきらびやかな世界が本当に感動的で。Vol.2なんですけど、前作の意味合いとはぜんぜん違う、あたしたちは幸せなんじゃーーー!!!!!という高揚感に、イントロだけで泣けてきちまうんです。この幸福感が、思うようにいかない冷たい現実をですね、成るようになるさという、あたたかで穏やかな世界へと導いてくれるのです。

2.LOVE MEAL

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1994年に発売された大傑作アルバム『Love Eater』のオープニングナンバー。もしくはそこからシングルカットされた「日曜日が足りない」のカップリング曲。アルバムver.はラジオのSEが大盛り上がりを見せますが、カップリングver.ではドラムとベースのイントロというとてもシンプルなものになっています。なんだけど、マイベストを作るときはカップリングver.がいい感じでつながるので、いつもこっちをセレクトしています。ラジオのSEもアルバムのオープニングを飾るにはこれ以上ないトラックで、もうどっちも大好きなんですけどね。

曲は姐さんとアニキの共作、詞はもちろんMariko Nagaiでございます。発売当時から、もうアホみたいに繰り返し繰り返し聴いてきたナンバーで、豪華絢爛なホーンセクションとファンキーなグルーヴのうねりが気持ちよく、「Let's Sax!」とシャウトする真理子さんに今でも聴く度にしびれ続けていて、もう、正座をした後のパンパンに膨れ上がった足のウラ状態みたいな。ちょいと愛を食べすぎちまってる感があります。

で、今回のアレンジですよ。去年の33ライブ~I'm happy to meet you~でも披露されていたので、耳なじみのある方も多いと思うのですが、もうね、このバージョンも大好きなの。まず、カッチョいいじゃん。で、さらにカッチョ・ブーじゃん。しかも、カッチョいいの最上級であるカッチョ・ビービーブーまでいっちゃうわけじゃないですか。たまらないですよね。

疾走感にあふれたグルーヴ、「Let's Dance!」とシャウトする姐さん、しかもアルバムの2曲目に配置されているというこのライブ感。そう!ライブ感ってやつがハンパないのです!さあ、踊りまくりましょう!

3.ピンクの魚よ

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1991年に発売された通算6枚目のスタジオアルバム『WASHING』。デビューから真理子さんの楽曲すべてのアレンジを手掛けていた根岸さんの手を離れ、吉川忠英大先生が作曲とアレンジを施したナンバーが「ピンクの魚よ」でした(ちなみに「Pocket」も忠英大先生なんですけど、ここはそういうことにしておきます)。

この牧歌的で雄大なイントロを聴くだけで、今から30年前の、あの夏の大きな大きな入道雲を思い浮かべてしまいます。空はどこまでも青くて、その先に広がる未来は希望にあふれていて、息を吸い込めば、夏草の香りが胸の奥まで染みわたりました。そして、そんな半径1mの世界とは裏腹に、海の向こうでは湾岸戦争が勃発し、ベルリンの壁が破壊され、ソビエト連邦が崩壊しました。テレビに映し出される数々の映像、それを眺めているなにげない日常を生きている自分。隔絶された世界とすぐそこに隣接している世界。日常と非日常。

当時の心境を比喩的に綴った歌詞は、水槽の中の魚とあの時に置かれていた真理子さんの境遇をリンクさせた内容になっています。逃げ場のない閉塞感、桃源郷を夢見る心、そして、諦め。美しいメロディーに乗せて、この相反する気持ちを力強く歌い上げるナガマリに、たぶん多くのリスナーが魅了されていたのではないかと。ややもするとメランコリックになりがちなアレンジも、バンジョーアコーディオンという素朴なインストを入れることによって、憧憬への柔らかい世界観を印象づけているところもあります。

アルバムからの先行配信として「23才」と共にリリースされた、この「ピンクの魚よ」ですが、一聴して感じたのは、なんて穏やかな世界に生まれ変わっているんだ!でした。アニキが紡ぎ出すイントロは、まるであの夏の大きな大きな入道雲がサーッと夕立を起こし、雨上がりのその雲間から幾筋もの夕日があふれているようです。"両方の手を" と姐さんが歌いだす声のやさしさといったら、オリジナルの力強さの100倍も1000倍も包容力を増しています。まるでスーッと吸い込んだ空気に、ほんのりと濡れたアスファルトの香りが混じっていて、日中の暑さを和らげてくれるような、今日一日の充実感を味わうような、そんな穏やかさに包まれているのです。

「23才」同様、ここには戦う真理子さんの姿がありません。「Mariko」の ≪自分になる旅に出る≫、「私の中の勇気」の ≪今の自分からはみ出したい≫、「私を探しにゆこう」の ≪心に眠っている未知数に賭けてみよう≫ と、今よりもっと、さらにもっとと自分を追い込み、「Angel Smile」の ≪理想と現実の間に住む涙≫、「ミエナイアシタ」の ≪迷いの先にのぞく晴れ間へ≫ と、手を伸ばしてもつかむことができない現実に歯がゆい思いをし、「あいのうた」で ≪理想に届かない毎日≫ へと埋没していきました。「life is beautiful」で ≪いつも後悔するのなら それに意味はないから≫ と ≪笑顔で終われる≫ ことを決意し、「ORANGE」でとうとう ≪答えなんてどこにもない≫ と ≪幸せがあふれ出して≫ くる境地へとたどり着いたわけです。相反する世界を揺れ惑いながら翻弄されながら泳ぎ続けてきた結果、真理子さんは "ピンクの魚" を【儚い】と表現したのです。

1991年から2021年までのこの30年間、わたしたちも激動の'90年代から9.11、3.11、そして、今のコロナ禍へと時代に翻弄され続けながら泳ぎ続けてきました。それでも一日は≪24時間≫ で、≪朝から朝になる≫ 毎日を過ごしてきました。一度は止まってしまった ≪それぞれの針 時計が動き出し≫ てみるとリズムが始まり、この揺れ惑っていた足跡でさえ愛おしく、その時その時の淡く消えていった想いたちを慈しむようにエンディングのフレーズへと物語は進んでいくのです。

あの夏の青空の向こう。遥かに続くエメラルド色の波。小さな水槽だと思っていた世界は、もしかしたら、既に大きな水槽だけど居心地のいい場所へと、いつのまにかたゆたってきたのかもしれないのです。姐さんとTeam Mのみなさんと共に。

4.レインボウ

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こちらも大名盤『Catch Ball』からの選曲。作曲は藤井さん、作詞は『B.N.D.2』では浅田有理さん単独になっていますが、たぶん、真理子さんとの共作だと思います。

今さら、わたしが何を語るまでもなく、多くの方にとって大切な大切な楽曲ではないかと思うわけでして。アルバムのエンディングを飾るにふさわしい大きなスケールと、それこそ「ピンクの魚よ」に通じる儚げな刹那を呼び起こすサビが、リリースされてきてからの30年間、いつもわたしたちの身近で共に泣いたり背中を押してくれたりした楽曲ではないかと。

そんな原曲のイントロのウラを取ったイントロで始まる今回のアレンジですが、小気味いいミディアムなリズムがホントとても心地よくて。聴き手ひとりひとりに語りかけるように歌う姐さんのボーカルは、まるでこの ≪空色のハートにかかる虹≫ を一緒に眺めているようではありませんか。どこか「I know right?」を彷彿させるのは、≪君がつらい時 すぐにわかる≫ や ≪どうか 涙を 閉じ込めないで≫ という詩世界が共通しているのと、やっぱり、この小気味いいリズムです。もう、いつまでも聴けます。

オリジナルのオーケストラを交えた御大層なアレンジも、もちろん身体の奥深くまで沁み込んではいるのですが、このシンプルで大人なロックサウンドは、なんて言うんでしょ。例えてみるなら、同じ虹でも、夏の夕立後に架かる大きな虹がオリジナルなら、林道を抜けた先に広がる滝のふもとに架かる幻想的な虹がセルフカバーみたいな、後者の方が自然のマイナスイオンと森林浴の相乗効果があるような、うん、言ってることがよくわからないですね。

5.ワイルドで行こう

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またまた『WASHING』からのセレクト。作曲は前田先生、作詞は我らの導師である亜伊林さんです。この強力タッグですぐに思いつくのは「Ready Steady Go!」ですが、他にも「Way Out」や「Step Step Step」など、まあ、今までお世話になりまくりの楽曲ばかりがズラリと並び、これがまたぜんぜん "色あせない" というのがね、はい。

オリジナルの疾走感は言わずもがな、自分がたまらなく好きなのは1番目のサビの ≪マイルドな その日から≫ の ≪その日から≫ のところでズドドド・ズドドドと響くバスドラでね。もう、山木秀夫さんのドラムさばきがパワフルで素晴らしすぎるんですよ。それを言うなら『WASHING』というアルバム全体が山木さんのリズムに支えられているところもあるんですけどね。このズドドド・ズドドドに勝るものはないです。

からの、アニキですわ。いやいやいやいや、どこぞのバンドの「Very Ape」並みのゴリゴリ感。Bメロでのヒステリックなグルーヴが織りなす無重力。そして、姐さんの楽しいーーー!!!!!って姿が目に浮かぶようなボーカル。ゴリゴリだけどポップで、グルーヴィーなんだけどパンクでもあるという。なんでしょう、マッシュアップというよりは、ジャンル:ナガマリみたいな、なんか唯一無二なところまできた感があります。

アレンジはあまりオリジナルをいじらず、もともと硬派だった楽曲をそれこそ "マイルド" にした感じ。しかし、亜伊林さんの ≪炎のように燃えて ただ走りたいだけ≫ とか ≪舞い上がるつま先に火花が散ってゆくよ≫ など、ぜんぜん "マイルド" じゃない歌詞って、あの'90年代の ≪マッハの速さで≫ 世紀末に突き進んでいく燃え尽きちまえ的な疾走感を表現していて、あまりにも "ワイルド" すぎると思いません?

ちなみに『WASHING』でのローマ字表記は「Wild-de Ikou」、『B.N.D.2』でのローマ字表記は「WILD DE YUKOU」になっています。ここもなんか "マイルド" ですよね。

6.Miracle Girl

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もう説明不要の永井真理子の代表曲。リリースは1989年。自身初のトップ10入りを果たしたシングル曲で、アニメ「YAWARA!」とのタイアップ効果もあり、国民的アニメソングとして今でも親しまれている楽曲。

作曲は藤井さん、作詞は亜伊林さん。このコンビは「ZUTTO」でもタッグを組んでいるので、姐さんのヒット曲を量産しているイメージがとても強いのですが、意外や意外、残りは「あの頃、哀しさは1/6」だけと、なんと全部で3曲しかないみたいなんですね。ただ、3曲中の2曲が代表曲って、どういうこっちゃねん!とも思うのですが。

しかし、不思議な曲だなぁとつくづく感じます。ビリー・ジョエルの「Uptown Girl」的なアダルト・コンテンポラリーをベースにしているかと思えば、バース部分でギターソロが入る。んでもって、日本の歌謡曲としてもしっかり成立しているという。普通ならとっちらけになりそうなものを、ちゃんと都会的な雰囲気でまとめ、それがアニメのイメージにもつながるという。この'80年代的なシュッとしたバランス感覚が根岸さんや金子さんのスゴイところだなと。

で、アニキですが、見事なまでにそこからビリー・ジョエル的なものを一切合切に排除しているんですね。例えば『1992 Live in Yokohama Stadium』に収録されているライブver.の時は、まだブルースなサザンロックの中に小野沢さんやマッシーがカントリー調な雰囲気を味付けしていましたが、『B.N.D.2』になると昨今のガールズバンド的なキラキラソングに大変身で、鍵盤の "け" の字も消えたギターロックになっているのです。

以前からライブでお披露目されていたアレンジですので、やっと音源化された感もあるのですが。と、書きながら思いました。前作の「ZUTTO」もそうですけど、代表曲ってこんなに軽々と新たなスタンダードに生まれ変われるものなんですか?この軽やかな一足飛びをしてしまうのがスゴイなと。それと、今まで同名アルバムタイトルとの区別のために「ミラクル・ガール」のカタカナ表記が一般的でしたが、今回はそれを英表記にされております。

7.夜空にのびをして

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「LOVE MEAL」同様、大傑作アルバム『Love Eater』からセレクトされた1曲。作曲はアニキ、詩は姐さんですが、今回の『B.N.D.2』のクレジットでは作曲がご夫婦の共作になっています。このセルフカバーver.でメロディーが追加されているわけではなさそうですが、まあ、姐さんがそうおっしゃるのならば、そういうことになりますので、よしとします。

オリジナルver.の編曲はご存じのとおり、みんなのマッシー。この7分半の大曲を感動的なまでに神秘的かつ躍動的にアレンジされています。キラキラ☆キラキラ☆と空から少女が降ってくるようなラピュ〇的な冒頭は「親方ぁ~、空から姐さんが!」と肉団子を振り回しながら叫びたくなるほどです。まあ、冗談はともかく、1994年当時、真理子さんのライブに足げく通っていたファンなら、この楽曲がステージで発していた特別なオーラ感を今でも鮮明に覚えてらっしゃるのではないかと。神々しいというか、荘厳というか、崇高なステージングは、あのナガマリがとうとうこんな領域にまで来てしまったと、大きなスケール感に圧倒されたものでした。

そんな大それた世界観をシンプルでスタンダードなバンドサウンドに凝縮することにより、夜空に浮き上がってしまいそうだったオリジナルの浮遊感を、地に足の着いたメッセージソングへと昇華させています。それはまるで「土に根をおろし、風と共に生きよう。種と共に冬を超え、鳥と共に春を歌おう」というゴンドアの谷の歌のようではないですか。≪扉を開け 空気を入れかえ≫ よう、≪夜空にのびをして眠ってね≫ ≪明日の河を今 作るため≫。その河の先には、いつだか語っていたように ≪空色のハートにかかる虹≫ がきらめいているはずなのです。

この夜に向けて...、この夜を見上げながら...。

8.うた

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東芝EMIへの移籍後、通算10枚目となるスタジオアルバム『you're...』を1998年にリリースした真理子さんですが、その先行シングルとして発表したのが「うた」でした。作曲はCOZZiさん、詩は真理子さんと村野耕治さんの共作、アレンジャーは中村哲さんです。

ちょうどその頃、マドンナが「Frozen」というシングルをリリースしていたのですが、そのビデオクリップが「うた」のMVみたいな荒廃的な感じで、どっちもカッコよすぎだなと、当時、思ったんです。自分の中では、そこだけ妙に両者がシンクロしてしまっているのですが、いずれにしても荒野を突き進んでいくようなアコギのストロークが ≪遥かな道を歩こう≫ という世界観にとてもマッチしていました。

そのストロークを曲の冒頭に掲げ、うねりまくるグルーヴが大爆発する今回のアレンジ。ライブで体感した時も、音の洪水に身をゆだねているだけで、この ≪悲しみも生きる強さに変えられるよう≫ な気がしました。しかし、もっとも印象的なのは、やはりアニキのギターリフではないでしょうか。オリジナルでは控えめだったリフが、まあ、いい塩梅の枯れた渋い味を出しています。ホント、最近さぁ、こういう音を聞く機会が少なくなったというか(て、言うほど、あれこれ聞いてるわけでもないんですけど...)、なんて言うんだろうな、こう "憧れる" ことができる人がいてくれることが嬉しいんですよね。

≪夜が深い時は弱さを勇気に変える≫ は「夜空にのびをして」、≪遥かな虹を探そう≫ は「レインボウ」と、キーとなるトラックを凝縮している部分も聞き逃せないです。もちろん "海" と "大地" という対比になっている「ピンクの魚よ」も無論です。なにが言いたいかって?曲順が最高すぎるということです!

9.Why Why Why

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通算3枚目のスタジオアルバム『Tobikkiri』に収録されていた燃焼系ソング。作曲は谷口守さん、詩は浅田有理さんです。姐さんのデビュー曲「Oh, ムーンライト」から「Slow Down Kiss」「Karma Karma」「自分についた嘘」など、初期の頃のあの曲この曲が谷口さんの手によるもので、特に『Tobikkiri』というアルバムは、谷口さんが大活躍した作品でもあります。

当時はCDよりもカセットで聴くことが多くて、特に「コンタクトレンズ・スコープ」から始まるB面の流れが大好きでした。で、哀しいかな、テープにダビングした時に、一部だけ音飛びしていたんですよ。それが「Why Why Why」の ≪みたいに黙っちゃ寂しいのさ≫ という部分で、≪みたいに黙っちゃ寂しいみたいに黙っちゃ寂しいのさ≫ てな感じだったんですね。なんで、ここでリフレインするの~と思いながら聞いていたんですけど、アルバイトを始めて、好きなCDを好きなように買えるようになった時のね、音飛びしない感動ときたらひとしおでした。

思い出として深いのか浅いのかよくわからないところがありますが、まあ、そんな音飛びさえも凌駕してくれるのが、今回のアレンジver.ですよ。カッチョいい!いやいやいや、カッチョ・ビービーブー!

でね、谷口さんのメロディーって、燃焼系でも不思議とちょっと切ないところがあるんですよね。こう、イケイケの中に "願い" があるというか、"祈り" があるというか、ちょっと胸を締め付けられるような気持ちにさせられるんです。それをうまく抽出してくれたのがアニキですよ。なんなんですか、このイントロ。誰か、この天才を止めてくれませんか。ヤバすぎです。

前作『Brand-New Door』の「好奇心」も最高のアレンジでしたけど、それに匹敵する名曲の誕生です。もう、こっちしか聴けなくなっちゃうんだよなぁ。

10.Dear my friend

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「Why Why Why」に続き、こちらも『Tobikkiri』からのミディアム・バラード。作曲は辛島美登里さん、詩は只野菜摘さんです。このアルバムがリリースされたのは1988年の9月なのですが、これ、わかります?姐さんって、デビューしてから、たった1年でこんなところまできてしまってるんですよね。しかも、アルバムリリース直前のライブ「元気一発HeartがDance」は日比谷野音ですわ。ネーミングのセンス!

オリジナルは、バラードベスト『yasashikunaritai』になんで収録されなかったんだろう?というくらい、隠れた名曲としてファンから愛され続けている楽曲。自分なんか「Dear my friend」と「Donnani」をプラスしたマイバラードベストをよく当時は作っていました。「黄昏のストレイシープ」とか「揺れているのは」とか「夕闇にまぎれて」も捨て難いんですけど、A面B面で分けた時にうまく配分しにくいんですよね。

まあ、そんなことはどうでもいいとして、もう、マッシーです。あの輝かしくも懐かしい'80sの雰囲気と、あれから30年以上を紆余曲折しながら共に坂道を歩いてきた、今、この時をですね、なんか頑張ってきたよねと労をねぎらい、こうして一緒にいられることって幸せなことだよねと祝福している、そんなセレブレイトなアレンジになっているのです。

≪おなじ時代に生まれたら 誰もが同じ星もっている≫

永井真理子」という星のもとにいろいろな人が集い、今、この時間を共有できていること。運命共同体ではないですけど、いい時も悪い時も、共に歩んできたこの "M's Way" を、これからも ≪君らしい歩幅で 遠く 遠く 歩き続けて≫ いきたいものです。

11.La-La-La

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1992年8月2日、日曜日。前日の雷雨は朝方にはおさまり、夏日が続いていた横浜地方は久しぶりの過ごしやすい気温となったものの、空を見上げれば、小雨がパラつくどんよりとした雲に覆われていました。日本全国のファンが、バスツアーや独自のルートで横浜を目指し、全52公演だった "HEART BEAT TOUR 91-92 ~WASHING~" から5ヶ月ぶりに開催される真理子さんのビックイベントの開始を、ここに集ったすべての人が今か今かと待ちわびていました。

あの日、あの夜。ライブの熱気で火照った体を、涼しげな潮風がやんわりと包み込み、ウェーブで一体となった3万人の大観衆が見守る中、ネオンが輝く夏の夜空に鳴り響いたのは、抑圧からの解放を求めるブルースハープの音色、そして、終わりなき幸福のシンガロングでした。

名曲「La-La-La」に耳を澄ますとき、いつも思い浮かぶのは、あの夏の特別な夜の匂いです。生まれたことの意味、そんなわかりきった答えをわからなくさせていたのも、あの若かりし頃の葛藤でした。わからないことが多すぎて、わかろうとしても追いつけなくて、自分がイヤになったり、それでも自分を大事にしたかったり。

まるで東の空がほんのりと明るみ始めていくようなイントロ、今日がまた奇跡的に生まれてくる中で、あの頃の自分にそっと語りかけるように歌う真理子さん。それが今回のリアレンジされた「La-La-La」でした。

ふと周りを見渡せば、愛すべき人がそばにいて、共に笑うことができる仲間がいて、目を見張るような景色に心を打たれ、目を覆いたくなる出来事に胸をえぐられ、どうしてもわかり合えない人、ただ単にすれ違うだけの人、そんな体感できるすべてのことを経験するために、わたしたちは自ら生まれてきたということ。≪もっと君を感じたい≫ と歌われているように、"感じる" ことができること。愛であったり、優しさであったり、悲しみであったり、苦しみであったり、そういったものを "感じる" ために生まれてきたんだということ。そんな感情たちを感動的なまでに歌い上げ、そのうたに呼応するように並走するCOZZiさんのギターは、聴く者のこれからの歩みを身軽にしてくれます。

ロック的なダイナミズムは、そのまま人生のダイナミズムであり、そんな人生を受容していこうと、抑圧からの解放を求めていたブルースハープは、決意を新たに、今日を生きていく奇跡的な朝を祝福するように感動のフィナーレへと鳴り響くのです。

あなたはあなたのままでいい。

わたしもわたしのままでいい。

まだまだです。まだまだ、わたしたちは新たな扉を開け、いっぱいいっぱい感動することができるのです。ここに収録された11曲、それをこんな風に感じることができること。それがいちばん幸せなことだと思うのです。

セルフカバーアルバム第2弾の永井真理子『Brand-New Door Vol.2』が見せてくれる景色が素晴らしすぎる

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【音像】という言葉が正しいのかどうかはわからないのですが、歌を聴いた時、イントロを聴いた時、好きなフレーズを聴いた時、その時その時に思い浮かべる景色というものがあります。それは学生時代のあの楽しかった頃であったり、甘酸っぱいあの日の恋物語であったり、社会の向かい風にがむしゃらに立ち向かったあの雄姿であったり、楽曲それぞれで見える景色というのは違います。

去年の『Brand-New Door』もそうですが、セルフカバーという作品は、そのそれぞれの楽曲から見えていた景色を一新させるアップデートだと思うのです。だから、タイトルに "新たな扉" という言葉が冠されていたわけで、去年の10月、多くのTeam Mの方々がその扉を開き、この "ふれあいを絶たれた世界" で "誰もがつながる世界" へと足を踏み出しました。その先には、とてもHAPPYでSMYLEYなジャンケンポンな世界が広がっていたりしまして。

そのちょうど1年後、さらなる "新たな扉" が真理子さんから届けられました。永井真理子セルフカバーアルバム第2弾『Brand-New Door Vol.2』。昨日、10月1日(金)にその扉の向こうへと足を踏み入れてみたのですが、これが...。

ひとまずライブの模様については、我らの大将 keiZiroさんが幸せいっぱいの見聞録を紡いでくれていますので、こちらをトンとご覧ください!

また、リリース記念ライブのアーカイヴ視聴も10月8日(金)24:00までたっぷりと視聴可能です。まだという方がいらっしゃいましたら、配信チケットが10月8日(金)21:15まで購入できますので、アルバム収録全楽曲を一足先にライブバージョンで楽しむことができますよ。

さらに、会場まで行けなかったー!でも、早く聴きた~い!という方は、各音楽配信ストアでシングル曲として「23才」「ピンクの魚よ」を購入することができます。真理子さんの最新アルバムの購入を通販でご検討されている方は、MSEストアで10月4日(月)から予約を開始。10月11日(月)より順次発送が開始される予定のようです。

てなわけで、新たな扉ボリューム・ツーの先に見えた景色についてお話を戻します。

前作同様、収録楽曲は全部で11曲(keiZiroさんのラジオで急遽1曲を追加したというお話をされていましたが、その名残が歌詞カードのArrange&programed, keyboard M9 by Masafumi Hayashiに現れているような気がします。もともとは全10曲での収録予定だったみたいです)。収録されている楽曲は、根岸さん時代の代表曲からセルフプロデュース時代、さらに東芝時代まで多岐にわたります。

選曲についても、Vol.1はシングル曲が中心になっているのに対して、Vol.2はシングル曲からアルバム収録の名曲まで、それこそナガマリファンならマイベストを作る時に必ず入れていたであろう楽曲たちがズラリと並んでいます。このバランス感覚が本当に素晴らしい。Vol.1に収録されていた「One Step Closer」や「3D NIGHTへおいで」から、Vol.2の「Dear my friend」や「ワイルドで行こう」に移行している辺りが、ベストアルバムで括るならvol.1が『大好き』までの括り(1987-1988)、そしてVol.2が『Pocket』ちょい後までの括り(1989-1991)みたいな感じにも見受けられるのです。もちのロンで、どちらも甲乙つけがたい内容ですので、もう普通にCD2枚組の感覚で楽しむことができます。ナガマリ・クロニクルのバージョンアップ、それがこのシリーズの醍醐味なわけです。

アルバム・ジャケットのデザインも真理子さん本人が手掛けられていて、なんか、タイミングがライブグッズの発表とかぶっていたせいか、Team Mのみなさまが軽くスルーしているのにちょいビックリしたのですが、これ、めっちゃよくないですか!もう一回、言うてみますね。

これ、めっちゃカッコよくないですか!

ねえ、姐さん。みなさん、スルーしすぎですよね。こんなにキラキラ☆キラキラ☆しているのに、服のサイズとか、服のサイズとか、服のサイズとか、みなさん気にしているのは服のサイズばっかり。アチキが言うてはりますわ。姐さんのデザインセンスのサイズ感の方がよっぽど大きいんじゃーーー!!!!!

すいません、取り乱しました。

で、景色の話でしたよね。うん。

前述した通りにナガマリベストを作る時に必ずセレクトしていたような楽曲たちというのは、それこそ人それぞれ思い浮かべる景色というものがあるはずなんです。そして、そこで見ている景色というのは、絶対に、人それぞれの大切な大切な、それこそ心の奥深くに焼きついている忘れられない景色だと思うんです。それは自分を勇気づけるための景色だったり、弱り果てたココロをそっと両手で包み込むような景色であったり、もしくは人生のあの決断をした大事なターニングポイントになる景色だったり。

真理子さんとCOZZiさん、そして、今回マッシーが見せてくれた景色というのは、そんな大切な大切な景色をですね、これからもずっと大切に大切にしていこうよと。塗りかえたり、破り捨てたりするのではなく、ギュッと抱きしめて、これも自分の中の一部だよと、この経験があったからこそ今があるんだよと、だから歩いて行けるんだよと、そう語りかけてくれるのです。

COZZiさんとマッシーのアレンジも、真理子さんのボーカルも、今まで見えていた景色を何倍も何倍も輝かしてくれるのです。少し時間が経ちすぎてくすみ始めた景色が、またハッキリと見え始めるのです。過去と今が重なり合って、未来へと進む大きな大きなエナジーに昇華してくれるのです。もう、その大きな幸福感に胸がいっぱいになってしまいまして、ライブで聴いた時には涙が止まりませんでした。

永井真理子というアーティストは本当にスゴいと思います。

そして、そんな真理子さんのもとに集まっているTeam Mのみなさま方も本当に素敵すぎます。でもってね、こんなに笑顔になるっていうのも、スゴイ素晴らしいことだと思うんです、心の底から。

だから、コロナが終息したら、絶対にみなさんでバーベキューライブをしましょう。とりあえず、私、オレンジ入りの焼きそば作りますね。

永井真理子「23才」がささやきかける明日への希望が眩しすぎる

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10月1日にライブ会場でのリリースを予定している真理子さんのセルフカバーアルバム第2弾『Brand-New Door Vol.2』。そのアルバムからの先行配信シングルとして「23才」と「ピンクの魚よ」が、9月15日に各音楽配信ストアでデジタルリリースされました。ツイッターで "最高の出来栄え!" とワチャワチャ大いに騒いでいた姐さんですが、そもそも、急転直下で発表されたアルバム告知の動画で、既にその片鱗はお披露目済みでして、もうね、懐かしいーーー!と騒ぐ人もいれば、新しいーーー!と騒ぐ人もいて、この時点で名作誕生のニオイが香しいーーー!って感じからの、真理子&COZZiのバイタリティがあまりにも逞しいーーー!と思ってしまうのですが。

とにかく「23才」です。かの名盤『CATCH BALL』がリリースされた頃、まさか自分の子供たちが23才になる頃まで、ずっとこの曲を聴いているだなんて想像すらできるわけもなく、ただただ、どこかへ向かう途中なのかもわからない、ということだけがわかる状態で走り抜けてきた30年強というのは、みなさんも一緒なのではないかと思うのです。息つく暇もないほどのスピードの中で、あがいて、もがいて、パニくって、それでも前に進まないといけない強迫観念にさらされる。もう、この先、よけいに苦しくなってもいいから、今のこの状態から抜け出したい。そんな藁にもすがるような願い、もしくは自暴自棄に陥りそうな自分を寸でのところで食い止めている正気、そんな痛々しいまでの想いが込められているのが「23才」というナンバーであり、誰もがそれを潜り抜けてきたからこそ、今でも名曲として愛され続けているナンバーなのではないかと。

前回の『Brand-New Door』の楽曲群もそうですが、今ここで真理子さんがセルフカバーをしたというのは、そんな過去の痛切な経験たちを今やっと抱きしめられるようになり、今だからこそ楽しめられるようになったからだと思うわけでして。まだまだ、ここから先も新たな出会いへの期待に胸を膨らまし、例えそれが苦しいことであったとしても、今まで経験してきたことに比べたら屁でもない、そんな逞しさと大きな大きな愛を感じずにはいられないアレンジとボーカルに仕上がっているのが、今回の「23才」セルフカバーのように聴こえて仕方がないのです。

永井真理子 女祭り @ 吉祥寺 Star Pine's Cafe

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もともとは「サモール東京」としてスケジュールが組まれていた4月17日土曜日のライブですが、2021年3月14日のホワイトデーに急転直下のこんなツイートが姐さんから発信されました。

新企画?スペシャルライブ?「することにしました!」って、もう決定事項なの?いったい今度は何が始まるんだ?と、色めき立つTeam Mのみなさまからさっそくの予想合戦が始まったわけなんですが。

その翌日ですよ。直接対決の動画で発表されたのは「THE 女祭り」

??????????

えっ...、おじさんたちは行けないの?

ナガマリの指先から "いてつく波動" がわっしょ~い!とほとばしると、日本全国のTeam Mのメンズたちがスマホを眺めながらピキピキッと凍りつき、完全に世界の終わりが目の前に広がったわけなんですけど、そこに一筋の光が!

「お客様は男女問わずですよ。しかも、サポートメンバーにBARBARSの未希ちゃん、さらに梨央子ちゃんも参加しま~す」

ね、姐さん...。"ひかりのたま" って、こんなに眩しかったのですね...。

 

てなわけで、女だらけのロック大会が開催されると聞いたからには、運試しということでチケットの抽選にかなり軽い気持ちで申し込んでみたのですが、すいません、普通に当たっちまいました...。しかも、整理番号が1番。

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当日は仕事だっていうのに、神様も粋な計らいをしてくれるものです。自分なんかよりも会場に真っ先に入りた~いというTeam Mの方たちは、それこそ星の数ほどいるはずなんですけど。でも、これも何かの縁。仕事を早く切り上げて、さっさと会場に向かいなさい!という天からの思し召しだと、そう感じまして、ええ、お昼に切り上げようと思ったのですよ。しっかりと半休を申請したわけですよ。すると、どうですか。フツーに終わんな~い!

さらにもう2時が見えてきた。そろそろ配信のスタンバイもしなきゃいけない、会場にも向かわなきゃいけない、でも、こっちはこっちでいろいろと仕事も立て込んでいる。ああ、もういいや、ほっぽり投げちまえ!と思った矢先、今度はシュレッダーが詰まりやがった!誰じゃ~、いっぺんに10枚も20枚もぶっこむヤツはー!小分けにしろっていっつも言ってるじゃないかー!

もう知るかい!ってな感じで外に出ると、まあ、ナガマリ・ライブ恒例の雨模様。ということはですよ、道路が渋滞です。しかも、なんでなんでしょ、こういう時に限って右折車が多い。あっちの交差点、こっちの交差点、果ては、なんでこんなところを右折してお店の駐車場に入ろうとするの?という車にまで遭遇してしまう始末。環八が混んでいると思ったので調布まわりで北上したのですが、結果、裏目に出てしまいました。

でも、悪いことばかりでもありません。第1部は配信だったのですが、トロトロした渋滞の中だと、ちょいちょい画面を見ることもできるので、即席の車内ライブ会場じゃ~と気持ちを切り替え、雨のお祭りドライブを楽しむことにしたわけです。

 

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1383630195236634624?s=20

 

わっしょい、わっしょ~い!と "東京音頭" で幕が上がると、どうですか、みなみなさま。ステージ上は完全にお祭り状態じゃないですか。いやいやいやいや、華やかだ!そこからの "あなたが笑うと" のオープニングからの "ハートをWASH!" へなだれ込んでいく流れは、もういきなりフルスロットル!トップギアでタイヤをキュルキュルキュルっと轟かせながら猛スピードで走りだした感じです。未希ちゃんのベースも、梨央子ちゃんとチエさんのツインギターもめちゃくちゃいい感じに仕上がっています。特に "ハートをWASH!" のBPMはこれくらいの速さがやっぱりいいですよね。疾走感が半端ないです。やらかし感も半端ない感じでしたけどw

先週のサモール大阪のSEでテイラー・スウィフトが流れていましたが、彼女のカントリー仕込みのポップスにも通じるような幸せソング "Fine day Sunny day" で一息入れると、"Tobujikandesu" でまたアッパーに戻る。このドがつくストレートなロックは本当に気持ちがいい。まさに ≪猛スピードで雲の真ん中突き抜けましょう≫ ですね。

リハーサル現場からのワチャワチャ動画をインターバルに挟み、アコースティックセクションがスタート。素敵すぎるコーラスでスタートした "POCKET" から、これまたカントリーな "幼なじみ" へ。ミチさんのアコーディオンとチエさんのアコギがノスタルジックな柔らかいリズムを刻み、マルセさんのヴァイオリンがそこにバラのような大人の色香を漂わせておりました。この編成、同じお祭りでも西洋のお祭りと言いますか、片田舎の小さなフェスティバルをのぞいているような、なんか小さな観覧車とかテントを張ったサーカス小屋があるような、そんな映画で見るようなお祭りの雰囲気があります。

からの "Northbridge" ときました。大傑作アルバム『Sunny side Up』からの選曲というところもありますが、先ほどの片田舎フェスティバル編成というこの雰囲気!この雰囲気での演奏というのがですね、窓の向こうに見える白い橋をドラマティックに描いているわけなんですよねぇ。これが素敵なんですねぇ。多摩川を渡る橋までオシャンティに見えてくるわけなんですねぇ(あいかわらずの渋滞です)。で、"あいのうた" ですわ。MCで真理子さんが触れていましたが、思い返せば、あの頃も今もディスタンスという意味では、日本と海外という物理的なもの、今現在のTPO的というか対策的というかそんな社会的なもの、同じ距離でも雲泥の違いはありますが、そんなディスタンスがあったとしても、姐さんとTeam Mの間は絶対的な引力でいつでも結ばれている、そこは昔も今も変わらない、そんな風に感じたのです。そして、今までもこれからも共に歩いていく。そんな幸せを感じる1曲でした。

サモールでのガチリクエストの宿題として "飛べないBig Bird" がリベンジされると、これまたガレージな "蒼のまま" へ。この2曲、≪カゴの中の鳥のよう≫ ≪長雨の夜≫ とどちらも窮屈な現状への脱却を求めているように感じます。それは、もう当たり前のように、このコロナ禍からの脱却を求めるというダブルミーニングにもなっているわけで、≪未来(あした)を見つけに~高く羽ばたく≫ ≪生きる強さを奮い立たせて天を見つめる≫ そんな前向きなファイティングポーズに、どうにもこうにも胸が熱くなります。

女子バンド恒例の質問コーナーを挟み、ラブリーな "ミラクル・ガール" から怒涛の "ROLLER COASTER ~全力笑顔でPeaceしよう~"、さらに超絶な "プリティ・ロックンロール" と後半の燃焼系へなだれ込んでいきます。本編の締めは "ORANGE"、からのタンバリンリレーにラストの "W"。

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1384690295577595911?s=20

 

そんな第1部でしたが、明らかにセットリストに変化がありました。全15曲の中で'90年代のものが5曲のみ。残りの10曲は東芝時代以降の'00年代に偏っているのです。前回のサモール大阪の時には「今まであまり歌っていなかった曲をやってみようかな」と真理子さんがツイートされていたように、それこそ涙がチョチョ切れる'90年代セレクトが多かったのですが、ここにきて、それさえも飛び越えていく数々の楽曲。雨の吉祥寺に向かいながら、これは第1部用で、第2部ではまたガラリとセットリストを変えてくるのかな?と期待に胸を膨らましたわけなんですが、その結果は...。

 

途中で遅い昼食をとりながら、やっとの思いで吉祥寺にたどり着くと、既にオレンジの人だかりが会場前でワサワサしています。そんな集団を横目に隣接するヨドバシカメラの駐車場に車を入れ、それ、会場へ急げ!と駆け上がると、え、もう誰もいない。

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いやいやいや、1番ですけど。わたし、1番なんですけど!

まあ、いいんですけどね。ちきしょー、シュレッダーさえ詰まらなければ、こんなことにはならなかったはずなのにw

 

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雨も降りやみ、ノンストレスで会場に到着です。ライブハウスの外看板はオレンジをモチーフにしたかわいいデザイン。スタッフ愛がエモいですよね。ニョホホホと階段を降りていき、消毒に検温にドリンク代を済ませます。中に入ると既にTeam Mの方たちがワチャワチャと談笑しております。良き良きと、とりあえずどこがいいかなと席を探していたら、あっさり2階の特等席が空いているじゃありませんか。

 

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眺めとしてはこんな感じです。隣の席には黄昏さんが座っておりましたが、たぶん、あまりチエさんが見えていなかったんじゃないかなぁと。それでも思いっきり楽しまれていましたけど、というか、ホントに偶然でしたけど隣が黄昏さんでよかったー。

 

そんな感じで第2部のスタートです。

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オープニング・ムービーが終わり、スルスルスルと幕が上がると、ん?アキさんの頭にねじり鉢巻き?第1部の終了から1時間くらいの休憩しかとられていないはずなのですが、その間にさらにテンションがあがったようで、配信で見ていた雰囲気と明らかに圧が違います。そこからスタートしたのは、なんと "Reborn"!んでもって、生の音はやっぱり迫力が違いすぎるーーー!!!!!未希ちゃんのベースが図太いぞっ!しかも、なんなん、このインディーズだけど洗練された感じは。若さの勢いと熟練の安定感が織り交ざった、言うなればタピオカの中にあんこが混ざったような感じなのです(あまり美味しそうじゃないなぁ...)。さらにステージは "未来" へと続きます。去年の女子バンドで何度も披露されていた楽曲ですが、こうして改めてバンド・サウンドとして聞くと、現状突破を希求する楽曲のヒステリックさがヒリヒリと伝わってきます。とにかくカッコいい。姐さんの法被姿が白いライダースに見えてきそうなほどロックなのです。

第1部でも披露されていた "Fine day Sunny day" ~ "ROLLER COASTER ~全力笑顔でpeaceしよう~" のアルバム『W』からの2連チャンを聞いていると、現状の永井真理子を形作っているロック・サウンドは、あの東芝時代から連綿と続いてきているオルタナティブ精神に則ったものなのだと、こんな単純な解答を今さらのように再認識いたしました。そうなんです。この「女祭り」は「ロック祭り」だったんです。くのいちと書いてロックと読む、そんなルビが振られていてもおかしくないくらい、熱い熱いサウンドが展開されていたんです。

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からのアコースティック・セクションは、第1部と同じように "POCKET" のコーラスからのスタートです。これ、会場組にしかわからなかったんじゃないかなぁと思うんですが、ミラーボールがすごいキレイだったんです。会場がすごい幻想的な雰囲気に包まれていたんです。で、"POCKET" じゃないですか。一気にタイムスリップしますよね、あの1990年の冬に。あの頃、Pコートとか着てたなぁ。金ボタンの紺ブレとか懐かしいなぁ。そんな風に、思い返すだけで「あああああーーーーー!!!!!」と頭を掻きむしりながら叫び声をあげて、恥ずかしすぎる過去の記憶を抹消したくなるようなノスタルジックに浸っていると、次に披露されたのが "ひつじかひのうた。" ときました。なんじゃー、この『ちいさなとびら』がどんどん開かれていくステージは!青空に群れている1000の羊を引き連れて、≪ちいさなとびらをみつけたら、優しくノックしてみる≫ というリリックの通り、Team M、ひとりひとりの心に愛のピンポンダッシュが染みわたっていきます。トントン♫トントン♫トントン♫ OPEN THE NEXT DOOR!

2階席で観覧していたということもあるのですが、そういえばナガマリのホール・コンサートって1995年の「KISS ME KISS ME」が最後だったよなぁと、なんとなくそんな風に思っていたら "きれいになろう" です。あれは新宿厚生年金会館だったかなぁ、あの時も同じように2階席から参加していたんですけど、まさか今のようなふんわりとした幸せに包まれた未来がね、20数年後に待ち構えているなんて、ホント、夢にも思いませんでした。からの、サモールツアーより封印の扉を解放した『会えて よかった』からのナンバーは "春風の言葉"。先日のサモール大阪もそうでしたが、なんなんでしょ、この時代をミックスしているのに、すべてが統一されている感は。懐かしいと新しいが混在していながら、確実にコミットしているのは「今」なんですよね。これって、完全に真理子さんのイデオロギーになっているのではないかと感じているんですけど、≪明日を輝かせるために何かができる≫ という信念は、明日のために今をがんばろうということなんですよね。そうは言っても、なにかと後回しにしてしまうことも多いのが現実なんですけど、それでさえ ≪全部意味があるから忘れないで進んで≫ と背中を押してくれるのが、我らが姐さんなんですよ。シュレッダーが詰まったのにも意味があったんだなー。

質問コーナーを挟んでからの "飛べない Big Bird" ~ "蒼のまま" は第1部と同じ流れでしたが、これ、会場で聴いたらグルーヴがとんでもないことになっていました。いや、マジでヤバいやつです。特に "蒼のまま" なんてヘッドバンギングものですよ。信じられます?いくらロック祭りとは言え、永井真理子っと聞けば、たぶん100人の97人くらいはポップスを思い浮かべると思うんですね。ロックと言っても、ポップソングの上に成り立っている、いわゆる歌謡ロックってやつです。なので、ナガマリはポピュラリティーな人であるという意見に異論を挟むつもりはさらさらないんですけど、でもね、ここで演奏されているグルーヴは、もうぜんぜん歌謡曲じゃないんです!完全にオルタナティブで、大衆性のかけらもなくて、ただただ、この現実を一点突破していくエネルギーだけを放出しているのです。それもこれもBARBARSの二人が参加したことによるところがかなり大きいですし、そのエキスはとんでもない化学反応を起こしてしまったのです。

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1385202217108525062?s=20

 

その勢いのまま、"あなたが笑うと" ~ "Why Why Why" ~ "JUNGLE" ~ "プリティ・ロックンロール" と怒涛の4連チャンになだれ込んでいきます。まあ、気持ちがいい!BARBARSエキスが大爆発です。"プリティ・ロックンロール" なんて熱すぎてヤバかったー。これがもし平常時だったら、もみくちゃのズタボロの酸欠からの脱水状態で、救急車が100台くらい連なるレベルですわ。逆にソーシャル・ディスタンスに感謝ですね。距離があってよかったー。

今年、前半最後のタンバリンリレーが行われ、ラストはTeam Mのアンセム "ORANGE" で幕を閉じました。≪幸せがあふれ出して 見せたいものもいっぱいあって≫ この心躍る気持ち、この幸せのウェルビーイングを糧に、明日も明後日も明々後日もがんばっていきまっしょい、わっしょーい!

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1385202217108525062?s=20

 

ライブが終わり、外に出てみると、また雨が降り始めていました。でも、そんなことは些末なこと。先ほどの心躍る気持ちが全身に満ちていて、とんでもない充実感が、今抱えている自分の問題でさえ、なんてことなくやりきる自信にもつながっていくように感じるのです。やればできる。いや、やってやろうじゃないか。この現実へ立ち向かうスピリットこそが、ロックのような気がするのです。

もともとサモールの予定であったものを、急遽、このようなロック・スタイルに真理子さんが変更したのは、夏のオリンピック開催に伴うイベントの自粛、それさえも危ぶまれている現状のコロナ禍に対して、とりあえず夏前に一発ドカーンと花火を打ち上げよう、その元気をもとに夏を乗り越え、秋にいっぱい収穫しよう!そんな思いもあったのではないかと。いつだって、姐さんは未来を見据えている。そうしながら、いつだって、姐さんは今を精一杯に楽しんでいる。素敵すぎる、本当に素敵すぎます。

サモール後半やコラボライブは秋になりますけど、それまでに、できれば東京オリンピックが世界規模のコロナ終焉祭りとなり、それを皮切りにマスクもディスタンスも必要ない世界で、みんながみんなでサモーーールと叫び、1年半ものうっぷんを晴らすコラボライブで盛大なわっしょーーーい!!!をしたいですよね。

さあ、腕をまくって、首やら関節やらをポキポキ鳴らしたら、この現実に立ち向かっていきましょう。みんなで楽しく笑っていけば、その先には幸せしかないはずなのです。

youtu.be

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今さらディスクレビュー 永井真理子『そんな場所へ』

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先日のサモール福岡、あの和やかでゆったりとした雰囲気が、このコロナ禍で帳尻合わせを余儀なくされている年度末のアホみたいな忙しさの中で、ひと時の清涼剤として、もしくはスパでぬくぬくと癒されているような、そんなリラクゼーション効果と、なんだか心の奥底をそっと元気づけてくれる森林浴のような、もう、当たり前のようにとっても素敵なライブだったわけなんですが。なんかね、ライブを配信で見ていて思ったんです。そうか、『そんな場所へ』というアルバムは、結構、姐さんのディスコグラフィーの中でも重要な位置を占めている作品だったんだなぁ、と。

デビュー15周年、21世紀に突入してから初めてドロップされたナガマリ12枚目のスタジオ・アルバムが『そんな場所へ』になるのですが、正直、当時はそこまでの作品という認識がまったくなかったんですね。そもそも世は2002年。今から、もう20年も前のことになりますが、とりあえず、その頃の世界がどんな姿をしていたのか少しだけ振り返ってみたりしますと。

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出典:2000年代 邦楽ヒット曲 ランキング | 年代流行

てな感じで、華の'90年代を謳歌していた世代としては、ミリオン少なっ!と思うのと、確実に一つか二つ世代が変わったなと。それはビルボードの年間ランキングを見ても同様になりまして。

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出典:洋楽ビルボード年間アルバムランキング【2002年】全米チャートトップ200総まとめ | 洋楽まっぷ

エミネムだ、ブリトニーだと言ってる時点で既に世代の差を感じるのと、リンキンだ、ニッケルバックだというのも同様ですよね。しかも、お気づきのように洋楽も邦楽も傾向としては同じベクトルに進んでいるわけでして。それが R&B、そして HIP-HOP!この2大ジャンルに完全にロックが食い潰されていたのが21世紀初頭だったのです。

で、ナガマリに話を戻します。『そんな場所へ』の帯を見ると、こんな文言が書かれています。

これが本当にやりたかった音。21世紀最初の永井真理子からのメッセージは「私と未来」。15年目の、今日から始まる新しい "永井" は、リアルでロックで、そしてせつなくてやさしい。

そうなんです。巷のアーティスト達がR&BやHIP-HOPにどことなく迎合していく中で、姐さんはただただロックを研ぎ澄まし続けていたのです。

とは言え、80年代後半から90年代前半の根岸さん時代、そこからのセルフプロデュース時代を怒涛のように過ごし、さらに育児休暇。んでもって、レーベルが変わり、時代も変わり、前作『ちいさなとびら』で言うとアニキ(COZZiさん)の影も消えてしまったとなると、なかなかに、なかなかなところまで来てしまった、というのが当時の心境だったりしたわけでして。さらにセールスの面でもなかなかにショッパイ状況でもありましたので、世間の認知度が低いのも致し方ないところだとも思うのです。

で、改めて、この2021年にですね、じっくりとこのアルバムを聴き返してみるとですよ。まあ、よくできているわけです。まあ、今につながるいろんな要素が詰め込まれていたわけです。まあ、隠れた名盤だったと今さら気づかされたわけです。

 

アルバム全体を俯瞰してみると、大まかに前半・中盤・後半の3部構成に分かれていて、前半3曲は遠藤響子さんがメイン、中盤になるとゴーイングの丈さんやゴーグルズのジュンさんに挟まれてのチエさん絡み、そして、後半はCOZZiさんメインと。こうして並べてみると、姐さんが復活してからのサポートメンバーばかりがズラっと並んでいるわけですよ。そりゃ、復活後の2018年に、それこそ10数年ぶりにバンドスタイルで開催されたライブのセットリストに#9の "おしゃれ☆レジスタンス" が加わるわけだと。

前作からの流れで、アルバム全体のサウンドメイクは西川進さんが陣頭指揮を執っているのですが、それこそ椎名林檎さんや矢井田瞳さんで名を馳せた西川さんの感情直結型が爆発したアルバムでもあるわけで。#1の "冒険者" のイントロだけでもシビれまくっちゃいますし、先日の「M's LOVE SONG LIVE」でも披露されていた#2の "飛べない空" になると、西川さん・マスケさん・阿部さんトリオによる12/8拍子の躁状態リズムが願いの高みへと聴く者を導いちゃうわけでして。

この冒頭の2曲は、それこそ当時のハイスタやモンパチなどのパンク系インディーバンドの流れ上にあって、今でいうエモ系の極みみたいなところがあるんですよね。それは当時も感じていたことではあるんですけど、でもね、本音を正直に言ってしまうとナガマリにそれを求めてなかったんですよ(姐さん、ゴメンなさい!)。アンダーグランドで次々と新しいバンドが出てきて、次々と新しいスタイルが生まれている横で、原点回帰といいますか、リバイバルブームというものも21世紀初頭にはありまして。やれビートルズだ、やれカーペンターズだ、やれクイーンだと、毎年のように伝説的なアーティストのベストアルバムがミリオンを叩き出し、U2R.E.M.が絶頂期のパッションを再び取り戻していた時期でもあるのです。そんな流れからも、できれば姐さんにも、それこそ前田先生とか藤井さんとか辛島さんとかとね、原点回帰してくれればなぁ...みたいな流れが欲しかった頃でもあったんです、ホント、正直な話。

でも、今こうして聴いていると、やっぱり姐さんはスゴイなぁと。ブレないなぁと。意志の強さが生半可じゃないなぁと。結果的には、次作『AIR』でMariko&COZZiが復活するわけなんですが、それにしても、もし、この『そんな場所へ』の時に原点回帰みたいなことをしていたら、それこそ、あの1993年の決意までもを否定しかねないことになっていたなと。なので、この冒頭2曲は、そんな切磋琢磨するナガマリを感じずにはいられないものになっているのです。手が届かないもどかしさ、かき分けてもかき分けても辿りつかない苛立ち、羽ばたくことを許されない気持ち、そんなフラストレーションを少し尖った言葉で響子さんが綴り、西川さんトリオが音を掻きむしっている。ロックじゃないですか。

そこからの#3 "同じ時代" です。去年の「おうちでトーク3」で披露された感動をまだまだ覚えてらっしゃる方も多いかとは思いますが、マッシーのヒーリング・ピアノももちろん最高なんですけど、十川さんのアレンジももちろん最高ってやつで、あのナガマリ空白の10年をこの曲で埋めていたTeam Mの方もいらっしゃったのではないかと思うわけです(まあ、自分のことなんですけど...)。何も情報なしで聴いていると、真理子さんが詞を書いているのではないかというような世界観なんですが、ここも響子さんなんですよね。#1で<青臭いと言われても、夢があれば、まあ、なんとかなるさ>と高楊枝を決め込み、#2で<そうは言っても、この突き抜けるような高い空を昇りつめていきたい。そんな想いの行き場がないよー>と涙をこらえ、#3で<どう転んだとしても、結局、わたしはわたし。明日どうなるかなんて誰もわからないんだから、今を大切にしよう>と己を肯定していく。こんなストーリーテリングに気づくまで、20年もかかっちまいました。

続いて、元GOING UNDER GROUNDの丈さんが楽曲提供をした#4 "幼なじみ" は、言うなればコラボ・アルバムの前身みたいな感じです。ベースの高間さんもそうですけど、デビュー15年目を迎える御方がよくもまあこんなインディーバンドを起用したもんだと。普通にほのぼのしてはいるけど、これって、かなり挑戦的な楽曲でもあります。からの#5 "未来" は、もう今となっては説明不要ですよね。コーラスのアレンジにチエさんの名前がクレジットされている辺り、去年の一連の配信ライブのセトリに加わったのも納得の1曲。さらに#6 "hello" ですよ。中盤のこの辺りはキーボーディストの中山さんの手腕がかなり発揮されているのですけど、#6に至っては前作『ちいさなとびら』で培われたセンチメンタル西川が、ここで大泣きしている楽曲になります。それに呼応するように、真理子さんもあまのじゃくな乙女心を綴っているのですが。なんなんでしょうね。例えるなら、目の前でバスが出発しちゃって、ポツンとバス停に取り残された心細さと疎外感のような気持ちにさせられるんですよね、姐さんの歌詞って。あと1分だけ早ければなぁ...みたいな、小さな後悔に大きく押しつぶされると言いますか。

続いて、#7 "あなたが笑うと" もチエさんがアレンジに参加している楽曲なんですが、最近のライブでいうと "ミラクル・ガール" とか "ハートをWASH!" とかのイエイ♬イエイ♬みたいなコーラスって、あれ、チエさんの仕事なのかな?と思えるような、そんなアレンジになっています。姐さんのどことなくシンディ・ローパーを彷彿させるような歌い方も聴きどころです。#8の "二人のまま" はJJことゴーグルズのジュンさんが作曲で参加した楽曲。リリックも響子さんと姐さんの共作。純朴な雰囲気の中で、幸せって求めるものではなくて自然とそこにあるもの、という真理子さんのアティチュードが表現されていますが、このあまりにもナチュラルなハッピーって、2021年のナガマリ&Team Mにもつながるような気がするんですよね。

冒頭で語ったR&BとHIP HOPの時代をロックに取り入れたのが#9 "おしゃれ☆レジスタンス"。前々作『you're...』から4年ぶりに復活したアニキのパンクぶりもさることながら、そこに詞をのせているのが かせきさいだぁ≡ という組み合わせも異種格闘技のようで面白すぎ。まるで曙 VS ボブ・サップのようではないですか(違うか...)。まるでアントニオ猪木 VS モハメド・アリのようではないですか(古いか...)。2018年のWWWでのミニメガホンでまくしたてるブリッジも印象的でした。そして、#10 "Angel Smile" ですよ。もう、泣いたわー。姐さん、こういうのを待ってたんだよーと思いましたわ。この名曲ぶりは、ホント "私を探しにゆこう" の時とまったく一緒で、久しぶりに故郷に帰ったような、懐かしくもあり、安らぎの場所でもあり、乾ききった心がどんどん潤っていくような、ハートのコラーゲン・ソングなんですよね。

ラストの#11 "ほんの少し" で響子さんへと舞い戻り、作品は幕を閉じます。楽曲を演奏しているのは、西川さんのベース&ギター、響子さんのピアノ、オルゴールは真理子さん本人の演奏というとてもシンプルなものになっています。愛しい人へ手紙を朗読しているような、そんなささやきのような歌。そこに紡がれているのは、歩いてきたこの道は決して間違いではないよと、泣きたい気持ちも、ごまかしたい気持ちもわかるけど、まあ、とりあえず一切合切、楽しんじゃおうよと、ここでオープニングの高楊枝を今一度、思い起こさせるような、そんな私小説のような世界観になっています。で、#1にループしていくと。

 

ブックレットの冒頭には、響子さんの手による、こんな詞が掲載されています。

帰りたい 帰りたい いい匂いがする

私のままで 風や 星屑 愛でていられるところ

幸せを 幸せを追いかけずにすむ

安心をして 甘い 笑いが 自然にこぼれ落ちる

そんな場所へ

思うのは、20年前に求めていた場所に、たぶん、真理子さんも私たちも辿りついているんじゃないのかなと。もちろん、コロナ禍という制限と距離が強制されてしまうのは本望ではないのですが、そんな時代だからこそ、逆に距離が縮まっているところもあるような気がするのです。そして、不自由だからこそ、自由を求める『そんな場所へ』というアルバムが、今さらのように心に響いてくるのかもしれません。

 

てなわけで、すいません、2000文字くらいでさらっと終わらせようと思って書き始めたら、こんなになってしまいました。ちなみにこちらの作品、CDで手に入れようとするとなかなか難しそうです。ストリーミングやダウンロードですと、今すぐ手に入れることができますが、スポティファイですとフリーでもアルバムを楽しむことができます。スマホなどのモバイル・アプリだとランダム再生になってしまうので、アルバムの流れを楽しみたい方は、パソコンからアクセスするのがオススメです。

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