that passion once again

日々の気づき。ディスク・レビューや映画・読書レビューなどなど。スローペースで更新。

ドがつくヒップホップ・アルバムのエド・シーラン最新作。「÷」をイメージして聴いたらヤケドしまっせ!

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やはりというか、必然と言うか、まあ、こうなるのはわかっちゃいたけどみたいな。フューチャリングしているアーティスト達を見れば一目瞭然だよね。

 

カリード

カーディ・B

チャンス・ザ・ラッパー

PnBロック

ストームジー

ラヴィス・スコット

エミネム

50セント

ヤング・サグ

Jハス

パウロ・ロンドラ

ミーク・ミル

エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディ

 

こうやって並べると悪そうな奴しかいないじゃん(パウロ・ロンドラは別だけど...)。もともとアコギ抱えてヒップホップをしていたエドなんで、この豪華を通り越して奇跡としか言えない面子を、よくもまあここまで揃えたもんだと。ヒップホップ大好き人間にはたまらないアルバムですよ。

他にも、カミラ・カベロ、イエバ、エラ・メイ、H.E.R.などのR&B勢、そこにブルーノ・マーズも加わるのかと思いきやクリス・ステイプルトンとのジミヘン、スクリレックスは普通にエド印のバラードをダブでアンビエントに調理と。うん。

エド・シーランのアルバムとしてではなく、エド・シーランが作ったヒップホップとR&Bのミックステープを聴いているような感じ。

で、僕が気になるのは、ここでのブルーノ・マーズの立ち位置なんです。今から5年前、マーク・ロンソンのコラボアルバムで大ヒットした「Uptown Funk」が、後の「24K Magic」に発展したように、この「Blow」が、今後のブルーノ・マーズの方向性を決めるのではないかと。グラミー賞でのプリンスのカバーも然り。ファンクやハードロックにガレージ、メロコアやインダストリアルまでは行かないにしても、「24K Magic」で見せたモータウンからは確実に離れた方向性に行くのではないかと。でなけりゃ、あんなMVを監督するわけがないと思うんですよね。

若返りまくっているスティングのリ・ワーク・アルバム「My Songs」がぜんぜん聞き飽きないんだけど...。

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基本、僕はベーシストの人が好きです。いや、ベースがブイブイドゥ~ンドゥ~ン唸っているバンドが好きです。そういう意味では、前回のクラシックバージョンの「シンフォニシティーズ」はぜんぜん低音が聞こえてこなくて物足りなかったのですが(それでも1曲目の「Next to You」のクラシック・パンクにはひっくり返りましたが)、今回のバンドアレンジでのセルフカバー、いや、リ・ワーク・アルバムがかなりいいです。

ていうか、スティング、もう67才です。マジか。なんでこんなに若いんですか。2013年発表の11作目のスタジオ・アルバム「The Last Ship」の時には、とうとう引退か?とまことしやかに囁かれていましたが、いやいやいや、逆に「57th & 9th」で若返っちまいましたよ。しかも、ドミニク・ミラーとヴィニー・コライウタとの3ピースバンドでアルバムを作っちまうなんて、ポリスの再現、いや、スティング自身の青春の再現とでも言いますか、世界のテッペンを見た人はやっぱり常人の域を軽く超えています。

そんなスティングの最新アルバムのタイトルが「My Songs」。ポリスなんか関係ない。これ、全部、僕の歌なんだい!と高らかに宣言しています。いやいや、そんなん言わなくても世界中のファンがそれわかってるから。誰も、これってスチュアートの曲だよね?なんてツッコまないから、安心して歌ってください。

 

アルバム冒頭の3曲は軽くEDM風のリミックスで、あまり真新しさを感じないかもしれませんが、これさりげなくかなりポピュラーにリアレンジされていて、オリジナルよりもずっと聴きやすくなっています。この王道ど真ん中をズカズカと歩いていく潔さが気持ちいいし、それを軽々とやってのけてしまうところがさすがです。

そして、4曲目の「Every Breath You Take」。前作「57th & 9th」の「One Fine Day」を彷彿させるような、エバーグリーンな名曲が実にうまく3ピースバンド・バージョンに生まれ変わっているのですが、それよりもなによりも、オリジナルよりもベースがブイブイいうてるのが最高すぎます。こんなアレンジ、今まで聞いたことないですよ。ドミニク・ミラーの渋みの効いたギターも最高です。

で、「Demolition Man」!最初、あれですよ。なんだ?ニルヴァーナか?と思うぐらいにゴリゴリのグランジですよ。ガレージですよ。ディストーションが効きまくって、リフ一本で聞かせまくる、こんなん67才でやる?続く「Can't Stand Losing You」になると、もう敬服です。こんなベースが聴きたかったんだぁ。もうカッチョよすぎて何も言えねぇ。

「Fields of Gold」のミディアム・テンポで一息。ここでもドミニク・ミラーのギターが実にいい味を出しています。そして、スティングのボーカル。ホント、マジで年を感じさせない若い声をしています。多少、渋みはあるけど、25年前のオリジナルと比べても遜色のない歌声。

「So Lonely」のレゲエは去年発売されたシャギーとのコラボ・アルバム「44/876」の「Just One Lifetime」や「Gotta Get Back My Baby」のエキスがまんまスティングの血肉になっていることを証明しているし、「Shape of My Heart」のスモーキーさは、大麻所持で逮捕されちゃうんじゃないかというくらいにパープルな世界です。

「Message In a Bottle」は、まるでブルーノ・マーズの「Locked Out of Heaven」へのアンサーソングのようにファンキーさを強調し、ラストのロングトーンが圧巻。「Fragile」で再びスモーキーに浸り、「Walking On the Moon」でベースの弾き語り、ベースで弾き語りってなに?やっぱ、この人、スゴすぎ。「Englishman In New York」はレゲエ色がかなり強調され、ラストの「If Ever Lose My Faith In You」はEDM風リアレンジで1曲目へとループ。いやぁ、なかなかいいアルバムですよ。

ボーナストラックのライブも素晴らしいけど、純粋にスタジオ・アルバムとして楽しむなら1曲目~14曲目をひたすらヘビロテするのが一番です。とにかく聴いてて気持ちのいいアルバム。

 

10月の来日ライブ、かなり激しそうですねぇ。おじさん、おばさん、ついていけるかなぁ...。

どうやらベビメタが大殺界を抜けたようです。ワッチャ、ワチャチャ!踊ろう!騒ごう!

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先月、6月28日(金)と29日(土)に約8ヶ月ぶりに横浜アリーナで単独公演を行ったベビメタ。その翌日、6月30日(日)には世界最大で世界最高峰のイギリス・グラストンベリー2019に出演。アザー・ステージという2番目に大きいステージに立った初めての日本人アーティストとして歴史にその名を刻みました。それもとてつもない快挙でスゴイことなんですが、日本ではもっととてつもないニュースが持ち上がっていました。それが元モーニング娘。のセンターだった鞘師里保の登場。

すいません、アイドルにはうといので、とてつもないと書きながら、何がとてつもないのかイマイチわかっていないで語っているのですが、ニュース記事などを読んでいると、どうもモー娘の中でも人気の高い娘さんだったようで、しかもスーさんとは同郷でいろいろとつながりもあったようで、知る人は狂喜乱舞だったようです。...、うん、なんかスゴいんだろうね、きっと。

そんな横浜アリーナの様子を最速で編集してリリースしたのが、最新曲「PA PA YA!!」のMVです。

これを見て思いました。おっ、ベビメタも大殺界を抜けたのか?と。

振り返れば2017年12月、ユイちゃん不参加のスーさん生誕祭から不穏な空気が流れ始めました。年が明けて2018年1月には神バンド藤岡氏の突然の訃報。5月には何やら今までのイメージを一新した "ダークサイド" なるステージが始まり、そこにもユイちゃんの姿はなく、わけのわかんない2人のサポートダンサーが加わり4人態勢の違和感ありまくりのステージ展開。そして、10月にはユイちゃん脱退。配信シングルとしてリリースされた「Distortion」も「Starlight」も、そこらのアニソンとなんの違いもなくてイマイチ。傍から見ると、ベビメタも消費され尽くされたか?と、やっぱユイちゃんがいないとダメなんじゃね?と、メイトには悪いけど、そんな風に思っておりました。

ガンズの前座の時も、なんだ、Youtubeで見るほど音がよくないし、スーさんも声が出てないじゃんと思っていましたし、しかもMCというかコール&レスポンスというか、スーさんの語りがいちいち英語っていうのも、海外にいる時はそれでもいいけど、日本にいる時ぐらいは日本語でもいいんじゃないの?みたいな。わたしたち、海外で認められたバンドだから、ニホンのミナサン、この希少なバンドがニホンでライブする、これとてもトクベツなことよ、みたいな。ああ、そうかよ、みたいな。だったら、ずっと海の向こうにいりゃあいいじゃねえか、みたいな。メイトの人、ゴメンね。怒らないでね。

だけど、この新曲「PA PA YA!!」はいいよね。どこか「メギツネ」を彷彿させた、日本の伝統的な部分とメタルの融合、ラップをアップデート、そして、サークル・モッシュ。ベビメタ原点回帰のつうこんの一撃ですよ。そして、心底思ったのは、ステージ上はやっぱりスーさんを挟んだシンメトリーがいいなぁということ。

そういえば一時期モッシュやウォール・オブ・デスを禁止された頃があったけど、もう本末転倒だよね。個人的にはベビメタのブレイクって「ギミチョコ!!」のPV再生よりは、2015年のメトロックのライブで披露されたサークル・モッシュやウォール・オブ・デスに普通のロックファンがスゲェ!って大感動したことが始まりじゃないかと思っています。なので「祭りだ、祭りだ、パッパッ、パパヤ~」のミニモニじゃんけん、パパパだピョンは大歓迎!タオル振り回すも良し、サークル・モッシュするも良し、盆踊りするのも良し、セクシービーム放つも良し。楽しいベビメタが帰ってきた!この勢いで10月発売の3rd「METAL GALAXY」も楽しいメタルだったら、いいなぁ。

ていうか、2019年のアルバムリリースが凄まじすぎる。今年は大豊作の年なのかなぁ?

BILLBOARD 200に477週もチャートインし続けるGUNS N' ROSESの「Greatest Hits」

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7月に入ってから、なんとなく毎日ブログを更新してみようかなと思いまして、「なつぞら一週間」以外は、ほとんど音楽関連のニュースをつぶやいているだけなんですが、昨日はすいません、スマホゲーム『星ドラ』のモガステーションがオープンし「キングスプラッシュ」というコインゲームに夢中になったら、あっという間に夜中の2時になっていました...。恐るべし、ドラクエミニゲーム

てなわけで、ちょいとズルをしまして、昨日の日付でブログを更新します。まあ、こんなミクロなズルを誰かが気に掛けることもないと思いますが...。

 

昨日は火曜日。火曜日と言えばビルボードチャートの更新日。で、先週記事にしたザ・ラカンターズは予想通りに45位に転落。まあ、しゃあない。マドンナの4年ぶり14作目のスタジオ・アルバム「Madame X」が先々週、初登場1位で大騒ぎしたあと、次週には74位だか76位だかに転落し、今週はトップ200圏外に消えたことを考えれば、45位に踏ん張っただけでも大健闘です。

そんな中、トップ200に477週もチャートインし続けているのが、我らがガンズの非公式ベストです。477週ですよ。30周年盤の「アペタイト~」が発売された時は、一時は姿を消しましたが、今は完全復活。新たなツアー発表、さらにスティーブン・アドラー切腹事件があったので今週は96位に浮上、トップ100入りです。スゲェな。こんだけ売れ続けたら、アクセルも誰も文句言わないのも当たり前ですわな。黙ってたってお金が入ってくるんですもん。スティーブンの治療費だって、たぶん、このアルバムの売り上げの一部が使われているんだよ、たぶん。わからないけど。

しかも、477週って言ったら9年とちょっとですよ。ベストアルバムが発売されたのが2004年、「チャイデモ」は2008年なので、ほぼ発売から新譜カタログと新譜カタログの合間で売れ続けている計算になります。

収録曲を羅列すると、

1.Welcome to the Jungle

2.Sweet Child o' Mine

3.Patience

4.Paradise City

5.Knockin' on Heaven's Door

6.Civil War

7.You Could Be Mine

8.Don't Cry [Original Version]

9.November Rain

10.Live and Let Die

11.Yesterdays

12.Ain't It Fun

13.Since I Don't Have You

14.Sympathy for the Devil

と、なんのてらいもなく、ただただヒットシングルを発売順に並べただけのお粗末なベストです。メーカーというかレーベルというか、レコード会社の誰がこんな曲順を考えて発売しようと思ったのか、ホント、頭をひねってしまうのですが、逆を言うと、その安直さが世間に受けたのかもしれません。いいよ、いいよ、ざっと比べて売れてる曲を上から15曲か16曲選んで、それを80分にまとまるように作れよ。そんな風に上層部のお偉いさんに言われて、3分で出来上がったのがこのベストアルバムのような気がしてならないのです。そして、それは大当たりだった。

発売当時はアクセルもスラッシュも、バカ野郎!こんなベスト、誰が認めるかっ!裁判だ!裁判だ!と大騒ぎしていましたが、時も経てば、人間誰しも丸くなっていくんですね。栄えある520週、10年チャートイン目指して、残るは43週です。来年、その頃にガンズの新譜なんか出ちゃったら、たぶん、東京オリンピックと一緒に大盛り上がりしそうだなぁ。

ブルーノ・マーズ、「BLOW」のMVを監督する!

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先日、リリックビデオがリリースされたばかりのエド・シーランのコラボ曲「BLOW」ですが、早くもミュージック・ビデオが公開されました。しかも、そのMV、なんとブルーノ・マーズが監督しているそうです!

姐さん、ヤバイよ!めちゃめちゃカッコいいぜよ~!

【連続テレビ小説「なつぞら」】第14週 人間は一人で生きようと思えば寂しいのは当たり前じゃ。

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気が付けば折り返し地点を迎えていた朝ドラ『なつぞら』。今週はとうとう千遥ちゃんが登場し、行方知れずだった家族の、その伏線回収の週でした。まずは、今までの千遥ちゃん関連の謎というかフリをおさらいしてみましょう。

 

①引き取られた親戚の川谷家

なっちゃんのお母さんの従姉妹である とし叔母ちゃん に引き取られた千遥ちゃん。浮浪児狩りで孤児院に入れられたなっちゃんや咲太郎と違い、心優しい とし叔母ちゃん のもとにいる千遥ちゃんは必ずや幸せに違いないと兄姉の二人は思い込んでいました。

 

②引っ越してしまった川谷家

幸せに違いないと思いながらも、兄姉と離れひとり親戚に預けられた千遥ちゃんの身を想い手紙を書き続けていた咲太郎のもとに「里心がつくといけないから、もう手紙は寄こさないように」という返事がきます。孤児院を出て千遥ちゃんに会いに行くも川谷家はもぬけの殻。行方知らずになってしまいました。

 

③放送記者・信さんの情報力

時は過ぎ、放送局に就職し記者となったなっちゃんの幼なじみ信さん。初仕事で制作したニュース『都会の迷子たち』は、どこか両親を亡くした戦争孤児たちを彷彿させる内容でした。それを見たなっちゃんは、千遥も私たちを探しているかもしれないと思い立ち、信さんに千遥ちゃん捜索を依頼します。そして、たどり着いたのが千葉のアパートでした。

 

④戦後の極貧

一目会いたいと千葉のアパートを訪れたなっちゃんと咲太郎。そこで明かされたのは、半身不随となって復員した川谷さんは仕事のできない身体になり、女手ひとりで家計を切り盛りし極貧生活で気持ちが荒み千遥ちゃんにだけ辛くあたっていた とし叔母ちゃん、そのいじめからわずか5歳で逃げ出した千遥ちゃんの現実でした。

 

NHKスペシャルで取り上げられた "戦争孤児" の特集を見ればわかるように、当時の状況はとてもひどいものだったようです。

そんな過酷な状況を生き抜いてきたのが咲太郎でありなっちゃんであり千遥ちゃんでした。しかし、なっちゃんには柴田のおんじと富士子さんが、咲太郎には亜矢美さんが、そして、今週明らかになったのは、千遥ちゃんにも置屋の女将、光山なほ子さんがいました。そのなほ子女将を演じる原日出子さんもかつての朝ドラヒロイン!とことんまで作りこまれているではありませんか。

 

川谷家を飛び出した千遥ちゃんは、線路伝いに歩いていけば東京に行けるとひたすら兄のもとへ向かい、そんな軌道を歩く5歳の女の子をどこかの復員兵が拾い上げたようです。しかし、世は自分が生き残るだけで精一杯の世界。どこかの復員兵は なほ子女将 に千遥ちゃんを身売りすると、さっさと何処へと消えてしまいました。(変な深読みをするなら、千遥ちゃんに結婚を申し出てきた家柄の良い誰かとは、もしかしたらこの復員兵かもしれません...。妄想ですけど...)

置屋に身売りされた千遥ちゃんは、そこで芸事を躾けられ、舞妓さんの見習い期間である "お酌" になります。そこで持ち上がったのが縁談話。ただ、その話を受け入れるということは、なっちゃんや咲太郎との永遠の別れを意味してしまいます。なので、千遥ちゃんは話がまとまる前に、自分の過去と対峙すべく、なっちゃんがいると知らされた北海道・柴田牧場へとやってきました。

そこでの柴田家とのふれあいは心底から感じる温かいものでした。千遥ちゃんの心は揺れ動きます。このまま、ここで感動の兄姉との再会を味わえたら、そんなに幸せなことはない。誰もがそう思いました。しかし、なっちゃんが育ての親である富士子さんを裏切れないように、咲太郎が亜矢美さんのために借金までしてムーラン・ルージュを復活させようとしていたように、千遥ちゃんもなほ子女将を悲しませることはできなかったのです。

この3兄妹の境遇はどれもシンクロしているように見えます。富士子さんが最初「わたしはあの子の母親になる自信がない!」と叫んでいたように、亜矢美さんにもなほ子女将にもそういった心情があったのではないかと推察できます。さらには、この3兄妹のひたむきさに心動かされ、我が子のように可愛がってしまうことも同様です。それは前述の "戦争孤児" の現実から見ると、これ以上ない奇跡の話なのです。あの悲劇な時代の中でも、こんな奇跡があってもいいよね、こんな心温まる家族がいてもいいよね、そんな製作者たちの想いがビシビシ伝わってくるのです。

その結末は "兄妹の縁を切る" というとても悲しいものでした。でも、その先のどこかで兄妹の再会が待っているのではないか。そんな淡い期待もあります。そして、おんじが語っていたように「人は離れていても支え合うことができる」はずです。生きていることがわかっただけでも、幸せであることがわかっただけでも、心の糧にすることができる。うう...、やっぱ、いいドラマだなぁ、姐さん。

 

ちなみにSNSでは天陽くんの結婚は許さない!と騒がれていましたが、僕はどちらかというとよっちゃんと番長が未だに青年団で演劇を続けていたことの方がビックリでした。それきっかけで天陽くんはやっちゃんと知り合ったとなると、ん?...、番長、またなにかしでかしたのか?と勘繰って仕方がありません。

The Raconteurs、11年ぶりのスタジオ・アルバムがビルボード200で初登場1位を記録

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やっぱジャック・ホワイトってスゲーんだなと思いました。

今年の4月に急遽来日公演を行ったザ・ラカンターズが、前作「Consolers of the Lonely」から11年ぶりに発表した通算3枚目のスタジオ・アルバムが、R&Bだヒップホップだ映画のサントラばかりのビルボード・チャートで、なんと初登場1位!しかも、バンドとしても初の快挙とくるのだから異色すぎます。

このアルバム、なんにも新しいところがありません。レッド・ツェッペリンやディープ・パープルやイーグルスの焼き直しって言ってしまえば、それで終わってしまいそうなアルバムです。日本で例えるなら、B'zが今さら新たにエアロスミスの曲をパク...失礼、リスペクトしたような感じ、上杉昇がいきなりWANDSを復活させて「Welcome to the Forest」なんていう曲を発表するみたいな感じ、T-BOLANが「Higher Than the Moon」なんていう曲を...、もうやめましょうか。この21世紀に、この令和の時代に、なんていう前時代的な!(アメリカには令和なんて関係ないけどね...)

YouTubeなどの再生回数がいきなり億を超えるわけでもなく、iTunesなどのダウンロード数でぶっちぎりというわけでもないのに、なぜビルボードのトップ200でいきなり1位を獲得したのか?しかもマルーン5のようにポップでもなければ、ブラック・ミュージックに迎合しているわけでもないのに、ジャック・ホワイトはいったい何をしたのか?ちょうどチャートの谷間だっただけなのか?来週はいきなり20位とか40位に落ち込むのか?いずれにしても、クラシカル・ロック・アルバムと呼んでもおかしくないこのアルバムが1位を獲得したことは、「ロックは死んだ」と言われ続けたこの21世紀に、死んで生き返ったことを告げる天使のラッパになるのかもしれない。

こんなゴリゴリのガレージ・ロック、久しぶりに聴きました。なんか、急に1994年発売のザック・ワイルド「Pride & Glory」を思い出しました。昨日のエド・シーラン&クリス・ステイプルトンといい、なんかロックがキテますよ。ウッドストック50の中止は残念だけど、そのスピリチュアルな部分は、今後のシーンに徐々に影響を与え始めているのかもしれません。

エド・シーラン×ブルーノ・マーズ×クリス・ステイプルトンの「BLOW」が神すぎる

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もうすぐ発売になるエド・シーランのコラボレーション・アルバム「No.6 コラボレーションズ・プロジェクト」から、大本命のブルーノ・マーズとのコラボ曲のリリックビデオが本日から公開されました。この曲がヤバすぎる!まずは聴けぇ!

カントリー歌手、クリス・ステイプルトンとの、このグラミー受賞者3名による夢のようなコラボ曲はいったいどんなものになるのだろうと思っていましたが、まさかのジミヘンですよ!ヤバッ!

あまりにもカッコよすぎて、シビれすぎて、歌詞のまんま!興奮が止まらないよ!

U2の13年ぶりの来日公演は「Songs of...」二部作の失敗を意味している気がしてならない

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先月、というか5月末日に突如として発表されたU2の来日報道。前回の "Vertigo Tour" から実に13年ぶりの来日、しかもプレミアム中のプレミアム・ツアーだった "The Joshua Tree Tour" を再開するとあって、国内に限らず、世界各国から観光がてらに日本やシンガポールやオーストラリアに足を延ばす熱狂的なU2ファンも多いのではないかと思います。"Experience+Innocence Tour" のフィナーレで「もうU2を40年もやってきたし、この最新ツアーも4年も続けた。これでやっと離れられるんだ...」とボノが意味深なことをステージで語ったものだから、この "The Joshua Tree Tour" の再開に狂喜乱舞して全公演制覇する強者も出てきそうな勢いです。

ニュージーランドからリスタートするこのツアーは、オーストラリアの主要5都市を練りまわった後、シンガポールを経由してここ日本に到着し、韓国の高尺スカイドームでフィナーレを迎えます。各ステージ5万人前後の収容数を誇る中で、さいたまスーパーアリーナが3万人強、韓国の高尺スカイドームも3万人弱と、最終的にステージセットを小ぶりにしていくスケジュールが組まれているようです。収容人数が少ない=チケットの熾烈な争奪戦が予想され、さらには超プレミアム・ツアーとなれば、寄付金集めのスペシャルシート6万円や自動REDグッズお買い上げシート4万円は別にして、16,000円から20,000円のチケット代は普通のような感じ。たぶん、秒でソールドアウトです。

しかし、この一連の動きを見ると、二部作として制作された「Songs of Innocence」と「Songs of Experience」が、バンド本人たちが豪語するほど世間には受け入れられなかったことの裏返しのような気がしてならないのです。

振り返ればデジタル世代のイコンとして登場した iPod のイメージキャラクターとして、appleとガッチリ手を組んだ「How to Dismantle an Atomic Bomb」と "Vertigo Tour" まではよかったのですが、"PopMart Tour" の悪夢再びになってしまった "U2 360° Tour" と「No Line on the Horizon」から、どうも雲行きが怪しいままになっています。そして、雲行きの怪しいツアーは北米とヨーロッパをまわっておしまいにしちゃう傾向が強い。となれば、ここで "The Joshua Tree Tour" を復活させたのは、もう鉄板だから間違いがないでしょうということではないかと。みんなぁ~、赤字決済するからバンバンお賽銭投げ込んでくらはいなぁ~!と。そんな風に自ら認めちゃってることにならないかい?と。

アルバム全曲をライブで曲順通りに演奏するというのも、僕の記憶の中ではsuede復活のスペシャル・ギグぐらいではないかと思います。1st「suede」2nd「dog man star」3rd「coming up」と各アルバムを一夜ずつアルバムの曲順通りに演奏し、どれも最高の夜だったそうですが、まあ、それをマネたのかヒントにしたのかパクッたのか、そもそもブレットのすることにボノが聞き耳を立てるようなこともしないと思うので、単純にカブったというのが真相かもしれません。マイラバも似たようなことをしていたけど、まあ...。

そんなわけで、13年ぶりのU2来日は、U2最新型ではなくU2の回顧展祭りになりそう。嬉しいやら寂しいやら、なんか複雑な気持ちです。

The Prodigyのキース・フリント訃報について、今さら少し語ってみた

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今年、2019年の上半期を振り返ると、個人的に最大のニュースだったのは、3月11日に急逝したザ・プロディジーのキース・フリントに尽きます。享年49才。死因は自殺と断定されていますが、一部では事故死ではないかとも報じられていたりします。その辺の曖昧さは、1998年に急逝したX JAPANのhideに似たものを感じたりもします。

いずれにしても2018年の11月に前作より3年ぶりになる通算7作目のアルバム「No Tourists」を発売し、イギリスのオフィシャル・チャートでは当たり前のように1位を獲得、アルバムタイトルを冠したワールドツアーも同時にスタートし連日のようにあちこちのアリーナやスタジアムを沸かしていました。そのツアーがどれだけの熱量で迎えられていたかは、次の「We Live Forever」のツアーPVを見れば一目瞭然でしょう!

そのツアーの舞台がヨーロッパからオーストラリアに移り、5月からはアメリカツアーが始まろうとしていた矢先の出来事だっただけに、しかも今年のメモリアル開催となるフジロックサマソニには絶対に来るだろうと思っていた矢先なだけに(ケミブラが登場するフジロックプロディジーも参戦していたら、こんな伝説は二度となかったはずなのに...)、突如として届けられた訃報は世界中のロックファンやレイバーたちを悲しみのどん底に落としました。

プロディジーの中でのキースの役割は、初めてリードシンガーとなった大名曲「Firestarter」を聴けばわかるように、こいつフロントマンなの?と勘違いしてもおかしくないほどの中心的な存在でした。それまではリロイと一緒にステージの上でピョコピョコ跳ねてただけのヤク中なボクちゃんが、ホントにマジで「Firestarter」の1曲だけで文字通りに化けたのです。そこからの「Breathe」や「The Fat of the Land」の快進撃は僕が語るまでもないでしょう。

5作目のアルバム「Invaders Must Die」で復活を遂げ、自主レーベルTake Me to the Hospitalを立ち上げたことで、プロディジーの頭脳であるリアムの創作力は留まるところをしらないものになり、その作品は強靭なビートを叩きつけるだけになりました。それを一辺倒と切り捨てるのは簡単です(6作目「The Day Is My Enemy」や最新作「No Tourists」がどれも似たような曲にしか聞こえない事実は僕も認めます)。しかし、得てして体力が落ち、尖っていたものが丸くなっていくと「ロックなんてダサいよ、これからはEDMさ!」と簡単に鞍替えするクソ共が多い中で、プロディジーだけは「EDMなんか小僧が便所で聞く音楽だ。現実逃避したいなら俺らが本物のロックを聞かせてやる!」といつまでも変わらずに豪語していたのです。このスタンスを貫き通すハートの強さは、そんじゃそこらのアーティストには真似できない、たぶん世界のてっぺんを見たものだけが持ち得るものじゃないだろうかと思うのです。変わろうが変わらなかろうが、過去を振り返るのではなく、あくまでも最新型であることにこだわり続ける。それがプロディジーであり、世界で唯一無二の存在として名を轟かせ続けている所以だったのです。

そんな鉄壁の強さを誇るプロディジーが、キースの(あえて言わせてもらうと)不慮の事故により立ち止まってしまったことは、一音楽ファンとして、とても悲しい出来事です。それでもリアム・ハウレットという稀代の天才は、たぶん遠くない未来に、僕らの前に再びその雄姿を見せてくれるのではないかと思います。こんなクソみたいに悲しい世界を変えられるのは、神でもSNSでもAIでもない、不屈のロック魂だけなんだ。そんな風に僕たちの前に姿を現してくれるはずだと信じています。キースもそれを望んでいるのではないでしょうか。悲しみに屈するな、と。