that passion once again

日々の気づき。ディスク・レビューや映画・読書レビューなどなど。スローペースで更新。

【連続テレビ小説「なつぞら」】第9週 人目に触れない人たちの活躍で物事の大半は作られてるんだ。

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現在、『なつぞら』が舞台にしているのは昭和31年、1956年です。

ちょっと簡単な年表にしてみます。

 

1928年(昭和3年)6月4日、張作霖爆殺事件

1937年(昭和12年)奥原なつが東京に生まれる

1937年(昭和12年)7月7日、盧溝橋事件~日中戦争

1940年(昭和15年)11月、映画『ファンタジア』がアメリカで公開される

1941年(昭和16年)12月8日、英米に対して日本が宣戦布告、太平洋戦争開戦

1942年(昭和17年)4月18日、ドーリットル空襲

1942年(昭和17年)6月、ミッドウェー海戦

1945年(昭和20年)3月10日、東京大空襲

1945年(昭和20年)8月6日、広島に原子爆弾が投下される

1945年(昭和20年)8月9日、長崎に原子爆弾が投下される

1945年(昭和20年)8月15日、玉音放送

1946年(昭和21年)5月、奥原なつが北海道・十勝の柴田牧場に引き取られる

1949年(昭和24年)10月1日、中華人民共和国が建国される

1950年(昭和25年)6月25日、朝鮮戦争勃発、朝鮮特需

1951年(昭和26年)9月8日、サンフランシスコ和平条約が締結される

1954年(昭和29年)12月~、神武景気、高度経済成長の始まり

1956年(昭和31年)4月、奥原なつが上京する

 

こんな感じでフィクションとノンフィクションが織り交ざってはいますが、戦前に生まれ、先の大戦を経験し、戦後の好景気を迎える東京で、なっちゃんは社会人としての一歩を踏み出そうとしています。大きな括りで見ると軍人支配が大破し、混沌とした牧歌的な時代が終焉を迎え、いよいよ民主主義国家として日本が経済大国へ向かって動き出す。誰もが夢を見て、誰もが自由になろうとし、誰もが幸せをつかもうとしていた時代。その帝都のど真ん中で生きてきた咲太郎は「自分を生かす仕事を見つけた者は幸せだ」とドヤ顔で語っていました。

 

最近、ちょっと太平洋戦争絡みの本を読み漁っていたせいで、頭がそっちに行ってしまっているのですが、ドラマ『なつぞら』には "戦災孤児" という重要なテーマがあります。東洋動画(現:東映)という今でいう大企業の面接で "戦災孤児" や "プロレタリア演劇" "愚連隊" など左翼的な因子を忌み嫌う「アータ、アータ」言うてる大杉社長が描かれていましたが、こういう偏見は昭和中期も令和になった現代でも、あまり差はないような気がします。却って、現代の方が酷いのかもしれません。

ただ、咲太郎の部屋を見ると『椿姫』や『バーレスクショウ』のポスターが貼ってあったりするので、大杉社長が偏見を抱いても仕方がないところもあるかもしれません。いや、伸さんが言うように「そんなに深くは考えていない」みたいなので、もう単純にべっぴんさんが気に入ってポスターを貼っただけみたいな短絡的なところが真実のような気もします。それが誤解を生んでいる。そうなんです、今週(先週も)はそんな咲太郎の短絡的で身勝手な行動がいろんな誤解を生んでいて、朝から「咲太郎、てめぇこの野郎!」みたいな気分に陥りやすかったのです。まあ、無事に合格したので、終わり良ければ全て良しみたいなところはありますが...、おんじがそばに居たら天丼ごときではごまかされないぜよ、咲太郎。フーテンは寅さんだけで充分じゃわい。

なっちゃんが目指す未来には、戦災孤児で行き場のなかった自分を救い出してくれた柴田家のように、子供たちに夢や希望を与えるアニメーションを作るという "挑戦" が待っています。先の大戦で悲劇に見舞われた子供たちに限らず、世の中には声なき弱者が大勢います。そんな弱き人たちへの何かしらの力になれるよう、なっちゃんの修行がこれから始まります。がんばれ、なっちゃん。負けるな、なっちゃん

【コンフィデンスマンJP】地面師ってなんなんだ?(不動産売買の詐欺師のことらしい...)

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あの『コンフィデンスマンJP』が1年ぶりにスケールアップして帰ってきました!先週末に放送されたスペシャル・ドラマ『運勢編』は、只今、絶賛劇場公開されている映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』(先週の映画ランキングではピカチューを押さえて堂々の1位だよ!長澤ちゃんは『キングダム』と合わせてワン・スリー・フィニッシュ!ピカチュー挟んじゃったよ!)の後日譚らしいのですが、そんなことはお構いなしです。モナコ?師匠?なんだ、チミは?ぐらいです。

オマージュ大使の田中亮監督らしく、とにかく小ネタが散りばめられていた『運勢編』。その中でも伊丹十三監督の『タンポポ』をまんまパクっているのは、いったいどういう意図なんでしょう。

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売れないラーメン屋、未亡人の店主、ここかしこで登場するウエスタン衣装。連ドラの第1話『ゴッドファーザー編』でも「国税局しゃしゃつゅぶ!」とオマージュなのか単におちょくってるのかわからないぐらいに伊丹十三監督に敬意を示していましたが、今作の『運勢編』ではまんまです。彼こそがエンターテイメントの原点だ!と言いたいかのように、とにかく伊丹作品をこよなく愛しているようです。次作があるとしたら、まずお葬式のシーンが追加されるのではないでしょうか。

その他、オマージュされていた映像作品は、

君の名は。

『七つの会議』と『下町ロケット

『ひとつ屋根の下』

『ソムリエ』

ラ・ラ・ランド

アントキノイノチ

カジノ・ロワイヤル

『マーヴェリック』など。

古沢脚本の『コンフィデンスマンJP』だからこそ許されるこの小ネタの嵐が作品鑑賞の醍醐味です。さらにはZOZOの前澤友作氏、サンシャイン池崎涼宮ハルヒ、ムツゴロウ、島田秀平黒柳徹子陳健一氏、"三つ柏"の三菱財閥岩崎弥太郎氏、アントニオ猪木とスタン・ハンセン、伊吹五郎、最後は西野七瀬ちゃん。もう、どんだけ!このやりたい放題さがたまらないじゃないですか。

 

さらにお決まりのちょい出し小道具も満載です!

◆高橋清志の選挙事務所にウナギのカレー煮のダンボー

◆隕石が落ちた鎌倉の屋敷は与論要造が住んでいた屋敷(大破しちゃったけど!)

◆ボクちゃんがカフェで眺めている求人雑誌に「モスモス、桜田リゾート、はにわ運送」の求人広告が掲載されている(モスモスの正社員になると寮賃・水道光熱費が無料になり、月々13,000円もの食事券が支給され、3年間勤務すると184万円も貰えるらしい!すげぇ!ちなみに桜田リゾートは月給28万円からスタートです)

◆第6話『古代遺跡編』でダー子がポシェット代わりにしていた土偶モナコが持っている

◆遺品整理「おもかげ」の事務所にウナギのカレー煮のダンボー

◆「みなと食堂」のカウンターにウナギのカレー煮

◆古書回収の家のテーブルに赤星栄介『信頼の人生』、美濃部ミカ『MIKA STYLE』の著書が積まれている

三島由紀夫潮騒』の初版と共に斑井パパの『幻を求めて』全巻が積まれている

◆「みなと食堂」の奥の和室にウナギのカレー煮のダンボー

◆古美術商のディスプレイに"なんちゃってオジサンの埴輪"

◆喫茶「銀座」に伊吹五郎製作総指揮・主演の『用心棒大集合』のポスター

てな感じで、まあ、あちこちにウナギのカレー煮のダンボールが転がっています。やっぱり人気商品は違いますね。庶民の味方です。

 

さらに気になるのが「ザ・オサカナ ベストテン」!

その内容は以下!

1位 阿久津晃/投資家 8643票

2位 三木長一郎/弁護士 6741票

3位 さくらんぼ/歌手 6186票

4位 赤星栄介♥/赤星財団 5929票

5位 ジェリンスキ翔/地面師 5610票

6位 磐梯実/映画監督 4801票

7位 高橋清志/政治家 4232票

8位 松崎美津留/ZAWAZAWA 4061票

9位 スミス夫人/資産家 3939票

10位 ホー・ナムシェン/プロモーター 3370票

お~~~い!!!!!! 三木先生が狙われてるぞっ!しかも2位だぞ!てことは、次作は『リーガル・ハイ』と『コンフィデンスマンJP』のクロスオーバーが実現するってことか!やばい、観たい!どんだけ豪華なんだ!蘭丸は無理だけどね...。

3位の"さくらんぼ"は大〇愛さんのことか?4位にまたまた赤星栄介先生が狙われているけど、名前の最後にハートマークがついているのはどういうこと?エースケなんていう子犬ちゃんまで出てきてるけど、いったい映画ではどうなっているんだ?気になる...。5位の"地面師"って、なに?"地面師"?なに?ぜんぜん想像がつかない。"地面師"?(調べてみたら不動産売買の詐欺師のことらしい...。最近では積水ハウスが63億円も騙し取られたニュースが大きく取り上げられていたけど...。ダメだなぁ、やっぱ新聞は読まないといかんなぁ...)

 

さて、肝心の物語ですが...。ここからはネタバレ上等で語っていくので、まだ未見の方はスルーしてください。とりあえず、初見はネタバレなしで楽しむのが、このドラマへの礼儀ですので、思う存分に騙されて欲しいと思います。

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さて、肝心の物語ですが、一見つながりのないエピソードが最後にひとまとめになるという構成が最高です。こういうツイストのある構成って好きですわ。宮部みゆきの『スナーク狩り』みたいな。

未亡人食堂詐欺をやってる韮山波子を使って餌を作り、腐れ縁の渡辺若葉を使ってその餌を阿久津晃の元に持ち込ませる。阿久津にはポーカーでわざと大勝ちさせ財布のひもを緩め食い付かせる。しかも、いい手を配ってあげて今日はついてると思い込ませた。

連ドラでは詐欺の対象が一人だったのに対して、さすがスペシャル・ドラマです。一気に三人です。3vs3です。スリー・オン・スリーです。その分、各キャラクターがあまり深掘りされていなかったのが唯一、残念なところでした。映画『エイプリルフールズ』のように、物語の構成に重きを置いてしまうと、どうも人物造形が上澄みだけになってしまうようです。その辺『ファイナル・ファンタジー』みたいですね。システムに重きを置いてしまうと物語が希薄になり、物語に重きを置くとシステムが希薄になってしまうみたいな。

なので『運勢編』は物語の構成を楽しむドラマです。ただ、例えばアガサ・クリスティの『アクロイド殺し』、筒井康隆の『ロートレック荘事件』、東野圭吾の『容疑者Xの献身』のように、肝心なところをわざと伏せているのがフェアかどうかという議論も出てきそうです。僕自身はぜんぜんありなので十分に楽しめますが、こんなのフェアじゃない!わかるわけがない!と怒り出す人も中にはいるかもしれません。

 

サブタイトルが"運勢"ということで、物語のテーマは人間の運、フォーチュンとかラックについて語られていました。その結論はダー子が語っていたように「大切なものや失ったものに執着し、ただただ幸運が舞い込むのを願う、それが人間」ということに集約されます。何かを失ったり何かが大切だったりということが取り立ててない僕には、その"執着"という信念じみたものにあまり共感ができないのですが、ただ、わらしべ長者のように、そんなに努力もせず幸運に巡り合うことができるなら、それに越したことはありません。ただ、そんな風に考えていると「占いだの、おみくじだの、そんなもん信じて右往左往しているゴミみてぇな連中」と阿久津に悪態をつかれそうです。「冗談じゃねぇや。てめぇがやるべきことやってねぇだけなんだよ」と。はい、すいません。ぐうの音も出ないです(だけど、そんなことを語れる阿久津がちょっとカッコいいなぁとも思ってしまう)。

ドラマの冒頭で、古代ローマの政治家であり哲学者でもあるキケロの名言『人生を支配するのは運であり、英知にあらざるなり』が引用されていましたが、けっこうな偉人たちが "人生は運である" と語っています。シェイクスピアもナポレオンもアインシュタインも、偉人という偉人が "自分はただ運がよかった" と語っています。それは阿久津が言うように "やるべきことをやった" 人たちにもたらされたものであり、決して、棚からぼた餅的なものではない。やるべきことをやって、その上で最後の最後に神頼み。そんな男になりたいなぁ。できますか?夏休みの宿題を8月31日の夜にまとめてやってるような人間に?ああ...、パワースポット行こっ。

永井真理子、復活第二弾EP『W』がiTunesトップアルバムの32位に初登場!

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もう聴きました?もう泣きました?もうハジけました?やばいっしょ。復活EP『Life is beautiful』から2年。助走期間を終え、完全にピッチに復活。背番号「W」、ミッドフィルダー永井真理子、待望のボランチ復活で最高のゲームメーカーの登場です!

それにしても嬉しすぎます。もちろん『Life is beatiful』の時も泣けてしょうがなかったんですけど、今作の "20時の流星群" はそれを遥かに上回ります。この抒情的なセンチメンタルさは、かの名曲 "Keep On "Keeping On"" に匹敵。影踏みの子供達にかつての純真さや無邪気さを重ね合わせ涙していた僕たちは、今、夜空を見上げ、つながっている幸せを感じているのです。

広大な夜空に身を任せていれば、全身を支配していた慢心がなんてちっぽけなもので、そんなちっぽけなものに振り回される必要なんて何一つない、このひとりじゃないという暖かな気持ちを包み込んで明日を迎えよう、そんな心の救済の歌。ヤバすぎます。ダウンロードしてから泣き続けてます。

さらに、この変わらない暖かなボーカル。よくよく聴いてみてください。30年近く前に「ず~~~っと、ずぅぅぅっと、ねぇ~」って歌っていた時と変わらないんですよ。30年前ですよ。しかも、10年近く歌ってなかったんですよ。こんなことって、あります?

現役を引退して、地元の少年サッカーで細々とコーチをしていた人が、10年経ったし子供も手を離れたし、そろそろセカンドライフで若い頃みたいに走り回ってみるか!と、いきなりピッチに現役復活したら、まあ、縦横無尽に走り回って、いきなりオーバーヘッドでゴール決めました!ぐらいスゴイことですよ。でもって、そんな変わらない歌声が心の救済を叫んだら、もう泣くしかないっしょ!

この曲は、今、この2019年という今、この時にしか歌うことができない永井真理子というアーティストの何度目かのピークを記録した名曲です。そんな名曲がSNSの告知だけでiTunesの32位に浮上したこと、決してアンダーグラウンドに埋もれるわけではなく、こうして音楽市場の上でも戦えていること、そんな事実が嬉しくて仕方ないです。

もちろん他の3曲もサイコーです。語りたいことは山ほどあります。でも、それは7月13日までとっておきます。『Sunny Side up』から13年。新たな名盤の誕生を今から心待ちにしています。

【連続テレビ小説「なつぞら」】第7週 やってみたいのさ。挑戦してみたいのさ。

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なっちゃんはアニメに魂を吹き込みたい。

天陽くんはキャンバスに魂を吹き込みたい。

そんな若い二人の姿を見ていると、

「何かをやりたい!」なんて気持ち、

いったい、いつの頃から消えたんだろう...?

そんな風に思ってしまいました。

 

まるでミケランジェロの如く、

木の中から魂を掘り出している弥市郎さん。

その達観した人生観なんて到底、辿り着けない。

 

一目で砂良さんに恋に落ちた照男兄ちゃん。

夕見子ちゃん好き好き雪次郎くん。

よっちゃんに乗り換えた番長。

いずれにしても、

そんな情熱もトキメキもとんと昔に消え失せた。

 

なっちゃんを想いビンタした富士子さん。

諦めることが思いやることと腹を括ったおんじ。

気まずい食事。

気まずい暮らし。

そんな居ても立ってもいられないような、

なんとも もどかしい気持ちなんて...。

 

大志を抱け!

夢をつかめ!

そんなセリフが昔はごまんとありましたが、

この『なつぞら』では、そのキーワードが出てきません。

出てくるのは「魂」と「挑戦」、そして「家族」です。

 

毎回毎回なっちゃんの涙につられて涙腺崩壊。

同じように泣いている日本中の視聴者たち。

がんばれ、なっちゃん

みんな、そう思ってるんじゃないかと。

でも、それと同義語なセリフがあります。

それは「がんばれ、自分!」

 

会社勤めで仕事をしている人、

育児や家事に精を出している人、

勉強に追われている人、

もしくはそんな季節もとうに過ぎて、

今日もやることがなくて途方に暮れている人、

代り映えのない普通の暮らしをしている人、

そばに誰もいない人。

 

ドラマのような「魂」とか「挑戦」はないけど、

みんな「生きること」をがんばってるんではないかと。

「生きること」をがんばらなきゃいけない時代なんだと。

だから、がんばれ、なっちゃん!と思いながら、

がんばれ、自分!って思ってる。

そう思える素敵なドラマが毎朝放送されている。

 

夢はない。

大志もない。

だけど、生きている。

感情移入できる心がある。

それだけで充分だと思う。

 

がんばれ、なっちゃん

明日も陽が昇る。

祝!永井真理子、トレンド入り

ナガマリ、一瞬だけどトレンド入り。

マジか、姐さん。

こんな日が来るとは...(泣)

SNSで昔の曲を懐かしむのもいいけど、

新しい曲たちもいいぜよっ!

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そして、7月にはニュー・アルバムだぁっっっ!!!!!

ヤッホゥ~~~イ!!!

映画『ミックス。』を観て、その一歩を踏み込めっ!(観た後にやる気が出る映画10選付)

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ガッキーがカワいかった。

さあ、その一歩を踏み込もう!

 

ご都合主義?

だから、なんじゃい。

キスいらない?

そりゃ、そうだ。

大団円?

人生、そんなに簡単じゃないわな。

 

でも、いいじゃん。

映画観て気持ち良くなれれば。

 

ただ、『獣になれない私たち』もそうだけど、

ガッキーに酷なことをさせちゃダメ。

みんなのガッキーなんだから、

『逃げ恥』ぐらいの妄想女子がちょうどいい。

テーブルひっくり返したり、

重い荷物持たせて倒れさせたり、

妙にリアルなドジさ加減はフィクションにならない。

 

てなわけで、『エイプリルフールズ』に続き、(個人的に)観た後にやる気が出る映画10選です。

 

1.『ハスラー2』(1986年)

プールバーなんて言い始めると、また昭和のおっさんがウンチクを語り始めたと思われそうですが、とりあえずビリヤードの一大ブームを巻き起こした映画。トッチャン坊やのトムクルはさておき、人生の再起を賭けたポール・ニューマンに胸が熱くなります。原題は『The Color of Money』、直訳すると「お金は見せかけのもの」。なかなか哲学的なタイトルです。ラストの「I'm Back!」にシビれます。(シュワちゃんは「I'll be Back」だけど、それに匹敵する名台詞だと思います)

 

2.『摩天楼はバラ色に』(1987年)

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言わずと知れたマイケル・J・フォックスの代表作。「僕の成功の秘訣」なんてタイトルからしてご都合主義も甚だしい映画ですが、いいんです、楽しけりゃいいんですよ。逆に難しく考えるから鬱になっちゃうんです。まあ、頭がいい証拠ですわ。一度きりの人生、楽しんだ者の勝ちですよ。昔はワーカホリックとかハードワーカーな人ってスゲェ!と思っていましたが、この作品で描かれているように、それはあくまでも自主的なものでした。成功したいから、お金持ちになりたいから、そんな野望があったからこそのハードワーカーだったのです。

 

3.『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』(1988年)

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すいません、好きだったんですマイケル・J・フォックス。特にこの『再会の街』はビデオ時代に何度繰り返して観たかわかりません。ジーパンにジャケットを羽織ってネクタイ締めて、そんなスタイルにも憧れました。サングラスかけて、フランスパンかじって、かぁぁぁぁぁっ、なんでDVDにもならないんだろっ!また観たいなぁ!ニューヨークの若者が現実に押し潰されて、どん底に落ちてからまた再出発を誓う。映画の最後に描かれる夜明けは、観る者それぞれの夜明けでもあるのです。

 

4.『魔女の宅急便』(1989年)

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もう説明不要ですよね。希望を抱いて社会に出て、現実に直面してひたすら努力する。んでもって挫折して、最後はその挫折を乗り越える。これほどはっきりとした起承転結もないでしょう。でも、名作として長く愛される作品というのは、やっぱりシンプルでわかりやすくて、人生の真実をついているものだと思います。話は変わりますが、グーチョキパン店でトンボが「これ、ください」ってキキに差し出すラムレーズンのクッキーみたいなのがおいしそう。他のパンもどれもおいしそうだけど、あれが一番食べたい。ニシンのパイはおばあちゃんには悪いけど、自分もいらないかも...。ニシンだよ?

 

5.『ドク・ハリウッド』(1991年)

再度、すいません。好きだったんですマイケル・J・フォックスが。巷では『カーズ』がまんまパクッたと大騒ぎしていましたが、いずれにしても田舎暮らしの人にはなんの魅力もない作品かもしれません。かのスティーブ・ジョブスが禅をしていたおかげで、今では座禅だヨガだマインド・フルネスだと意識高い系の人は大忙しですが、要は田舎に行ってスローライフをするのが一番心に効く薬なんだよと言っている映画です。なので、もともとスローライフを送っている方々にはなんの効力もない映画です。

 

6.『ショーシャンクの空に』(1994年)

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原作がスティーブン・キングで、このブルーレイのパッケージを観たら、完全にホラー映画だと思われそうですが、ホラー要素ゼロですからねっ!なんで、よりによってこんな雷に打たれてショック死してるようなジャケットを選んだんだろ。真逆だからね。この雨に打たれるシーンが一番感動的なんだから。ソフト会社も少し考えてくださいよ、頼みますぜ。とにかく素晴らしい映画。人生の希望を決して捨てない、そんな男の信念に胸が熱くなること受けあいです。その効力がもったいなくて、ここぞ!という時にしか観ないようにしてます。

 

7.『ザ・エージェント』(1996年)

爽やかなトムクルが拝める最後の作品。『ブリジット・ジョーンズの日記』のレネー・ゼルウィガー出世作でもあります。キャメロン・クロウもここまでかなぁ。とにかくいろんな人がピーク時に製作したフィルムです。サントラも最高。「Show Me the Money!!!!!」も名台詞ですね。仕事に誇りを持つこと、家族を愛すること、クライアントを信じること。こんなどこかの自己啓発書みたいな内容ばかりですが、それが人生を豊かにする真実なのかもしれません。だから、同じような自己啓発書が何度も売れているんでしょうね。

 

8.『アメリカン・ビューティー』(1999年)

観た後にやる気が出るか?と言われると微妙な感じもしますが、ただ、中年男のケヴィン・スペイシーが女子高生に一目惚れして、ピンク・フロイドを聴きながら大麻を吸って自らを鍛え上げていくという "男の再生" を描いているという点では、世のおっさん達も捨てたもんじゃないんだぞっ!と、恋をして輝くのは何も女子ばかりじゃないんだぞっ!と言いたくなる作品です。シニカルで救いのない物語ではありますが、男性諸君、たまにはアイドルにうつつを抜かして、若さを取り戻すのもいいんではないかい?とも思えるのです。その代償はあまりにも大きいかもしれませんが...。

 

9.『プラダを着た悪魔』(2006年)

世のお仕事系ドラマとか映画って、だいたい『プラダを着た悪魔』が下敷きになってることが多いですよね。それだけ男女の差がなく、どちらかというと女性の感性がものを言う時代になってきているのだと思います。ただ、今ではパワハラだぁ、モラハラだぁとなんやかんやのハラスメントが問題になっておりますが、それを言ったらメリル・ストリープは鬼のようなパワハラ上司です。エミリーなんて腰巾着もいいとこ。こんな職場は速攻でブラックと叩かれそうです。それでもアン・ハサウェイが食い下がるのは、やはり仕事、というよりも自分に "誇り" があるから。

 

10.『マイ・インターン』(2015年)

僕も65歳とか70歳を迎える頃には、こんなロバート・デ・ニーロのような紳士になっていたいです。憧れますねぇ。アン・ハサウェイも好きです。ただ、職場があまりにもフレンドリーなのは、ちょっと ン... となってしまいそうです。そこがニューヨークや映画とは関係ないけどシリコンバレーと日本の違いでしょうか。で、ふと日本に目を向けてみたら、憧れる老紳士ってあまりいないなぁと思ってしまいました。『なつぞら』のおんじは偏屈だしなぁ...。そう、偏屈な人しか思い浮かばない。それが国民性なのかなぁ...。

【連続テレビ小説「なつぞら」】第6週 もう家族には戻れんよ...!

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ぶち壊してくれました、おんじが。

やってくれました、おんじが。

朝ドラ評論家の華丸先生が予言した通り。

マジかよ、おんじ。

でも、おしるこ食べてるから、大丈夫っしょ。

 

土曜日のなっちゃんが可哀そうすぎて、その週に起きたことのほとんどがすっ飛んでしまいました。爆弾発言の破壊力抜群です。でも、なんかうっすら感じたのは、なんで周りからなっちゃんと天陽くんをくっつけようとしてるの?みたいな空気です。本人たちそんなに意識してなかったのに、言われたら急に意識しだしちゃったみたいな。って書きながら、そういえば、小学校の時とかあったかもしれないなぁ、なんてふと思い出しました。「おまえ、なんとかちゃん好きなんだろぉ~!」ってなんとかちゃんの前でからかわれて、「んなわけねぇだろっ!」って本人の前だからもちろん否定するんだけど、その時のなんとかちゃんの表情が妙に色っぽくて、"なに、この甘酸っぱい感情は..." みたいな、なんか急に意識しだしちゃったみたいな。もちろん、なっちゃんと天陽くんの関係は、こんな虫に刺された程度の小さな恋心ではないでしょうけどね。どちらかというと雪次郎くんの "夕見子ちゃん好き好きオーラ" がスゴすぎて、そっちの方を応援したくなります。雪次郎、がんばれっ!手紙も40通毎日手渡しすると梅ちゃん先生と結婚できるみたいだぞ。

 

おんじの策略結婚と並行してなっちゃんに忍び寄っていたのがアニメーターへの道。東京での天陽くんのお兄ちゃんとの再会、そして、解剖医の中堂...、いや、東洋動画のアニメーター仲さんとの出会い、さらに映画『ファンタジア』。なっちゃんは随分と楽しげに映画を観ていましたが、周りに座っているちびっこ達はみんな爆睡してるっていうのもいいですねぇ。『2001年 宇宙の旅』と一緒で、世の金字塔とされている名作映画は大概、眠くなるものです。

 

「自分の生きる場所は自分で選べるような人間になりたいのさ」

そう語っていたのは今週の夕見子ちゃん。お嬢な感じで、ものの高みから下々を見下ろしてばかりだと思っていましたが、伸さん登場からメキメキと "生きる道" を模索している感じがめちゃめちゃ好きです。

思えば、戦争から帰ってきた父親が見ず知らずの女の子を連れてきて、今までかわいいかわいいで育てられてきたのに、牛の手伝いをする他人の子がじいちゃんに可愛がられ始め、いつのまにか家族の一員になっている。夕見子ちゃん目線で物語を見ると、もっとなっちゃんに意地悪をしてもおかしくない状況なのに、同じ部屋にいるのもイヤなんじゃないかと思うのに、逆に影響を受けて、自分の道を模索している。その突破口は大学に進学して家から外に出ていくこと。憎まれ口を叩きながらも健気に未来を見据えているその姿が愛おしくてしょうがないです。たぶん、剛男さんも雪次郎くんも置いてけぼりを食らうんだろうなぁ。

 

裏切り咲坊がとりあえず天然マダムに1万円を返したようで、ヤツもヤツなりにケジメをつけようとしているようです。よかったよかった。ってか、おんじ、もうなっちゃんを泣かさないでくれっ!

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マルセイバターサンドが食べたくなりました。

映画『エイプリルフールズ』からテレビドラマと映画の違いを考えてみた(群像劇映画10選付)

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いつの間にか大ヒットドラマとして扱われている『コンフィデンスマンJP』。確かに審査する方々の評価は高かったものの、世間的にどうだったかを思い返してみても、言うほどでもなかったんじゃないかなぁというのが個人的な印象です。で、その映画プロモーションの一環として、5月17日(金)の封切に合わせ、過去のフジテレビ系古沢良太脚本の映画作品を一挙に只今放送しておりまして。んでもって、映画とは別の『コンフィデンスマンJP 運勢編』なる新作スペシャルドラマも放送されると。さらには『コンフィデンスマンIG』なる五十嵐が主役のミニドラマまで放送...。いくらメディア・ミックスとはいえ、ここまで畳みかけてくるものか?と思うのですが、テレビ離れ・映画離れが甚だしい昨今では、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると、相当に予算とエネルギーとサービス残業をつぎ込んで制作されているようです(え...、残業代はちゃんと払ってる?それは失礼致しました)。

ただ、たぶん僕は映画館には行かないと思います。わからないですけど。もしかしたら、気が向いて行くかもしれないですけど、そもそも邦画を映画館で観たことが今まで一度もないのです。あ...、『魔女の宅急便』は観ました、中学生の時に。ただ、それ以降、話題になった邦画でさえ映画館で観ようとは思えませんでした。ビデオやDVDがレンタルされても観たいと思って手を伸ばすことも少ないです。テレビで放映されても、やっぱり観ません。特に90年代以降の作品はトンと観ません。80年代でも『あぶない刑事』シリーズぐらい(同世代のみんなと同じように柴田恭平さんにめちゃくちゃ憧れたのです)。それより前だと黒澤明監督ものしか興味が湧きません。というよりも橋本忍さんに興味があると言った方が正しいかもしれません。小津さんは眠くなってしまいます。

なので、ドラマ放送時は大絶賛していた『コンフィデンスマンJP』の映画化は完全に嘘であって欲しかったんですが、どうやら先述したように想像以上の予算をつぎ込んだビッグ・プロジェクトとして来週末から公開されるようです。んん...。

 

人それぞれ "映画" に何を求めるかで、その楽しみ方というか満足度というのは変わってくると思うのですが、僕の場合は、とにかくハリウッド病、もしくは海外映画病に若い頃から疾患してしまっているので、普段、目にする景色をわざわざお金を出して映画館で観ようとは思えないし、テレビドラマと邦画の区別もつかないのです。さらにはだいたいの作品が一過性でしかなく、その作品がスタンダードになることも稀だとも思っています。やれ "たまごっち" だ、やれ "エアマックス" だ、やれ "ハンドスピナー" だ、そういう類のものと変わらないのではないかと(エアマックスハンドスピナーの間がだいぶかけ離れてはいますけど...)。

なので、たぶん『コンフィデンスマンJP』も一過性のはずです。いや、もしかしたら『北の国から』のフジテレビです。毎年恒例のスペシャルドラマとして、今後、半期に一度、もしくは年に一度、放映される可能性はあります。そういうポテンシャルを持った自由度の高い作品であるとも言えます。ただ、往々にして俳優さんたちのイメージが役に固定されてしまうと煙たがられる傾向があるので、やっぱり一過性で終わってしまうかもしれません。全ては長澤まさみ様、その腹づもりにかかっています。おぅよ、アタシは一生ダー子でもかまわないゼヨ!と言ってくれるなら、『コンフィデンスマンJP』は向こう10年制作され続けるはずです。それについては私は大賛成です。定期的にエロでキュートでインテリなダー子が拝めて、古沢脚本を楽しめるのなら、それに越したことはありません。『リーガル・ハイ』も捨てがたいですけど...。

 

で、『エイプリルフールズ』です。世の映画評を眺めてみても、真っ先に上がるのが語るまでもない映画ということです。誰々がカッコいいとか、誰々がカワイイとか、誰々が素敵とか。そもそも映画の内容となんも関係ない感想しか出てきません。コアな映画ファンはクソミソにけなして終わりです。けなす時間さえもったいない感じです。

僕的には、良く言えば「安心して観てられる物語」、悪く言うと「可もなく不可もない有体の物語」となります。どちらにしても "映画" である必要性があまり感じられない。テレビ畑の監督が撮ると、結局はテレビの延長線上にしかならない。そんなことが昔からずっと言われ続けています。

では、テレビと映画の違いはなんなのでしょう。

 ①映像表現の規制が違う

 ②テレビ=不特定多数の視聴者、映画=入場者数

 ③テレビ=日常、映画=非日常(行楽・イベント等)

両者を比べると、そこで描かれている物語性や芸術面、技術面についてはどちらも映像作品を制作しているということに優劣はありません。重要なのは、その "非日常" をどこまで楽しめるか?なのです。テレビをつけたら普通にやっているような内容を映画館で観る必要はない。テレビドラマが映画化されても、あまりパッとしないのはそういうことではないかと。僕たちは貪欲です。お金を払ったら、その対価に応じた非日常を経験できなければ、そこに価値を感じられないのです。

では、『エイプリルフールズ』が2時間ドラマではなく映画でなければならない理由はなんなのでしょう。...、...、...。儲けたいから。それしか考えられません。もちろん、儲けようとすることは非常に大事なことです。それを否定しているわけでは決してありません。ただ、商業映画というのはスタンタードにはならないのです。映画ファンから反感を買うのは、おもしろいでぇ~、おもしろいでぇ~と前評判だけ高めるだけ高めといて、蓋を開けたら単にハトが出てきただけだからなのです。ハトかよ!みたいな。そこらにワンサカいるじゃないかと。せめて、そこはゾウにしてくれよ。コアラにしてくれよ。パンダにしてくれよ、と。

なので『コンフィデンスマンJP』の映画化が非常に心配です。蓋を開けたら得体の知れない未知なるものが出てくることを期待しています。

 

ちなみに、僕は群像劇が大好きです。特にグランド・ホテル形式には目がありません。そんな個人的趣味で選んだ群像劇を10本ここで紹介して『エイプリルフールズ』の物語がどのようなところから生まれてきたのかを語りたいと思います。

 

 1.『グランド・ホテル』(1932年)

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言わずと知れたクラシック映画の金字塔。第5回アカデミー賞の作品賞に選ばれています。ホテルという一幕劇、数々の大スターの出演、それぞれに用意されている人間ドラマ。全てはここから始まっています。ホテルという非日常性も、8人の登場人物それぞれに悲喜こもごもなドラマが展開していくのも魅力です。根本的に、僕は "ホテル" という舞台装置にめっぽう弱いです。

 

2.『駅馬車』(1939年)

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西部劇の名作でもあるし、ジョン・フォード監督やジョン・ウェインの代表作でもあります。前述の "ホテル" という舞台装置を幌馬車に変え、それが移動していく形になります。今から80年も前の映画ですが、ぜんぜん古びないし、ただ単に夫に会いに行くのよっ!というだけの澄ました貴婦人役のルイーズ・プラットが可愛くて好き。そんな貴婦人とあんな狭そうな幌馬車の中にいたら、誰だって恋しちゃいます。

 

3.『オリエント急行殺人事件』(1974年)

群像劇の括りに入れるにはちょっと毛色が違うとは思いますが、まあ、個人的な趣味なので入れちゃいます。キャラクターそれぞれに思惑があるということ、オリエント急行という超セレブな列車の密室劇ということ、そして、当時の主役級の大スター達が大挙していること、どれもが昨今の群像劇の礎になっています。2年前にリメイクもされていますが、僕は断然こっちの方が好きです。

 

4.『バンカー・パレス・ホテル』(1989年)

フランスの漫画家(向こうではマンガのことをバンド・デシネと言うらしい)エンキ・ビラルの初監督作。これも群像劇というよりは密室劇になるのでグランド・ホテルほどキャラクターそれぞれが掘り下げられているわけではありません。ただ、僕は "ホテル" という舞台設定にめちゃめちゃ弱く、近未来SFにもめちゃめちゃ弱いです。その両方を兼ね備えたこの作品は、今でも僕の神です。

 

5.『デリカテッセン』(1991年)

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これも群像劇と括るにはどうかと思う部分がありますが、アパートの住人全員が濃いキャラクターで、それぞれがそれぞれの役目を果たしているという部分は捨て難い。『アメリ』が空前の大ヒットになってビックリしましたが、そんなジャン=ピエール・ジュネの初長編映画です。この頃ってミニシアターが流行していて、ハリウッド大作って敬遠されていたんですよねぇ。あの頃が懐かしいです。サウンド・トラックも最高です。

 

6.『ショート・カッツ』(1993年)

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ロバート・アルトマンの代表作だと僕は思っているんですけど、どうもそんな意見は少数派みたいです。これぞ、ザ・群像劇!3時間もある大作ですが、レイモンド・カーヴァーミニマリズムな世界観がこれでもかと織り込まれています。後のジュリアン・ムーアの快進撃は、ここから始まったと言っても過言ではありません。登場する人物たちがどこでクロスオーバーするかと思っていたら、最後の大地震だけという...。

 

7.『パルプ・フィクション』(1994年)

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タランティーノの名を世界中に轟かせた名作。群像劇も然ることながら、時間経過さえも縦横無尽に計算し尽くした緻密な脚本が一世を風靡しました。たぶん、この世代の人たちは大なり小なりタランティーノ的なクロスオーバーなことを一度はしてみたいと思うはずです。古沢さんも多分に漏れずではないでしょうか。『20世紀少年』もこれに近いかもしれない。マンガも映画も。とにかく影響されない人はいないはずです。

 

8.『マグノリア』(1999年)

公開当時は『ショート・カッツ』の再来と喝采を浴びていましたが、結局『ブギーナイツ』の方が尖ってるしエロいしということで、なんだか隅に追いやられてしまった作品。でも、僕は大好き。エイミー・マンの歌も、下品なトムクルも、脱がないジュリアン・ムーアも全部好き。物語は伏線だらけで、あっちがこっちとつながって、こっちがあっちとつながってと、何回観直しても発見があります。

 

9.『ラブ・アクチュアリー』(2003年)

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昨今の群像劇は、だいたいがこのイギリス映画の二番煎じです。『エイプリルフールズ』も、『リーガル・ハイ』のチームがドラマ大ヒットのボーナスをもらって、何して遊ぼうか?と思った時にこの映画の二番煎じが思い浮かんだ。ただ、それだけかもしれません。人間ドラマの浅さ、リアリティーの欠如、この映画はそれでもいいんだ、それでも楽しめるんだ、ということを証明してしまいました。

 

10.『クラッシュ』(2004年)

クラッシュ [DVD]

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同じテレビ畑出身のJ.J.エイブラムス同様、稀代の脚本家として注目されていたポール・ハギスの初監督作。『ミリオンダラー・ベイビー』と『クラッシュ』の2年連続アカデミー賞獲得は既に伝説になりつつあります。人種の格差、生活水準の格差、社会的地位の格差、いろんな問題がいろんな角度から描かれていて、いやぁ、アメリカという大国の規模の大きさ、そして、その絡み合ったこじれ具合が凄まじいです。

 

てなわけで、『エイプリルフールズ』は『ラブ・アクチュアリー』の二番煎じという結論しか出てきませんでした...。軽い気持ちで観る分には申し分ないです。

【連続テレビ小説「なつぞら」】第5週 今頃、俺たちのことをすっかり忘れてるかもしれないな。

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番長の玉砕プロポーズから始まり、柴田おんじの策略結婚で幕を閉じた『なつぞら』第5週目。その間にいろんなことがありました。いろんな方が出てきました。とにかく豪華絢爛。そして、物語の構成も、これでもかと言うくらい緻密に計算し尽している印象も受けます。伏線があちこちに散りばめられている感じがします。なんか『ワンピース』でも読んでるみたいな気分になってきました。トッカチ・カワムーラヤ編みたいな。

 

まずは伸さん。さわやかでしたねぇ。キラキラしてましたねぇ。律儀でしたねぇ。昔から居たんですかねぇ、あんなスケートの羽生くんみたいな出来すぎた子が...。東京生まれで親が医者だと、やっぱり育ちの良さみたいなものがにじみ出ちゃうんですかねぇ...。

孤児院の指導員の人たちがいい人ばかりで、自分の将来のことも大事に考えるようになったと。働きながら定時制の高校に通い、今は新聞配達をしながら夜間の大学に通っている。自分の力で三度三度のご飯を食べていくために今できる最善の努力を惜しまない。かぁぁぁっ!聞きました?なんなんですか、このまっとうな正論!杓子定規も相手が直線すぎてビックリしてますよ。夕見子ちゃんなんか目が点になっちゃってるじゃん。(関係ないですけど、富士子さんと夕見子ちゃんって似てるなぁ~と感慨深げに見てしまいました。絶妙なキャスティングですね)

そんな伸さんの登場により、柴田家に変化が訪れます。お兄さんに合わせてあげたいという親心で富士子さんはなっちゃんと東京に、照男兄ちゃんは「東京」という都会出身者にどこか天陽くんのお父さんと同じようなコンプレックスと土地に縛られている自分の立ち位置に疑問が...、夕見子ちゃんは特に影響を受けて、「努力すること=勉強すること+大学に行って将来を考える」という一次方程式に「努力すること=今自分にできることをやる+広い視野を持つ」という連立方程式が成立してしまったようです。その未知数の中からどんな解が導き出されるのか、今後の展開が楽しみです。

 

お兄ちゃんを探しに東京は新宿にやってきたなっちゃん。そこで待ち構えていたのは、どこか異国情緒のあるパン屋さん「川村屋」。なにやら怪しげな支配人の野上さん、呼ばれてやってきたのは妖艶なマダム。おおっ、一気に世界観が変わってしまった!北海道の大自然、素朴な人々、そんな人里離れたアルムの山小屋から一変、セバスチャンに連れられて大都会フランクフルトにやってきたみたいではないですか!ということは、マダムはロッテンマイヤーさんなのか?なっちゃんのことをアーデルハイド、いや、奥原氏なんて言い始めるのか?

はい、そんな心配は杞憂だったようです。マダム、なにげに天然ちゃんです。マダム、なにげにお人好しです。マダム、なにげにボンクラです...。野上さん、たぶんマダムが好きなんだろうなぁ...。そのために一生懸命に店を切り盛りしてマダムのことを支えてるんだろうなぁ。カレーではなく "カリー" ですって訂正したら「面倒くさいっ!」って言われた時のあのショック顔。絶対、惚れてるでしょ。

まあ、そんな一従業員の恋心は脇に置いといて、この「川村屋」、どうやら中華まんで有名な中村屋がモデルのようです。昔は中村屋のお向かいに紀伊国屋書店があったようで、そのあたりもマダム目当てにサロンに通っている角筈屋書店の茂木社長と一致します。そのことが物語にどこまで絡んでくるのかはわかりませんが、当時の「新宿」という街を表現するための、ちょっとしたトリビア程度のものでしかないかもしれません。また、帯広の和菓子屋「雪月」の小畑さんも「川村屋」で修業していたというのも、今後への伏線です。雪次郎もマダムに惚れちゃうのかなぁ。

 

伸さんの奔走によりやっと見つけることができた咲太郎兄ちゃん。演じるのは岡田将生くん。人それぞれ彼へのイメージはあると思いますが、僕にはどうにもこうにも『リーガル・ハイ シーズン2』の羽生くんにしか見えません。嫌われ役を一身に受けたためでしょうけど、それにしても嘘くさくて腹に一物を抱えていそうで、お前、いったいマチコちゃんに何を企んでいるんだ!と首根っこひっつかんで問い質したくなるのです。なので当然、可愛いはずの妹なっちゃんも裏切るんだろうなぁと。

そんな予感は半分当たって半分外れました。外れたのは大衆劇場ムーランルージュ新宿座を買い戻すために借金をしていたということ。その借金の保証人に天然マダムが一枚噛んでいたということでした。そこから垣間見えるのは、マダムと一緒で咲坊もお人好しだったということ。演劇が好きで、芝居が好きで、森繁久彌さんが好きで、料理人だった父親が作った天丼が世界一うまかったと豪語する。そんな人物像には好感が持てます。おお、とうとう羽生くんも人情ってもんがわかるようになったのかと。

しかし、当たってしまった方はあまりにも切ない...。

「忘れてくれ...」

嘘でしょ。戦争で両親も住む家も無くし、兄妹は散り散りになり、それでも必ず迎えに行くと約束し、なっちゃんはそれを9年間ずっと待っていました。なのに、それを忘れてしまえと断絶する。

 

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス忘却曲線を発見し、人間の脳は物事を忘れていくようにできていると発表しました。「人は不快な記憶を忘れることによって防衛する」と語ったのはフロイトでした。記憶であれ、感情であれ、僕たちは "忘れていく" ことにより、日々を生きていくことができます。平成から令和に変わった今、数々のテレビ番組で平成30年史を振り返っていましたが、その出来事の多くを僕はすっかり忘れていました。懐かしんで思い出したのは、あの頃にやっちまった思い出したくもない恥ずかしい経験ばかりです。思い出す度に「あああああっっっ!」と頭を掻きむしって記憶を消し去りたくなります。そんな経験があったから、二度と恥ずかしい思いはしないようにと学びます。

しかし、いくら人間が忘れていく生き物だとしても、血縁関係まで忘れろと言われたら、それはちょいと話が違うんじゃないかいと否定したくなります。あまりにも、あまりにもなっちゃんが可哀そすぎる。まるでロビンちゃんと母オルビアのようで、そのうち「お兄ちゃんと呼んでもいいですか?」なんてセリフまで出てきそうです。

 

来週はそんななっちゃんを励ますのか、大自然の雪国でまたひと悶着が起きそうです。裏切り咲坊は浅草で好きに生きていけばいい、なっちゃんにはおんじがいるんです。そんなおんじの策略がどう転ぶのかも見ものです。しゃあない、番長、お前、なっちゃんのために一肌脱いでやれ。それくらいの男気は持ち合わせてるだろっ!