that passion once again

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永井真理子 女祭り @ 吉祥寺 Star Pine's Cafe

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もともとは「サモール東京」としてスケジュールが組まれていた4月17日土曜日のライブですが、2021年3月14日のホワイトデーに急転直下のこんなツイートが姐さんから発信されました。

新企画?スペシャルライブ?「することにしました!」って、もう決定事項なの?いったい今度は何が始まるんだ?と、色めき立つTeam Mのみなさまからさっそくの予想合戦が始まったわけなんですが。

その翌日ですよ。直接対決の動画で発表されたのは「THE 女祭り」

??????????

えっ...、おじさんたちは行けないの?

ナガマリの指先から "いてつく波動" がわっしょ~い!とほとばしると、日本全国のTeam Mのメンズたちがスマホを眺めながらピキピキッと凍りつき、完全に世界の終わりが目の前に広がったわけなんですけど、そこに一筋の光が!

「お客様は男女問わずですよ。しかも、サポートメンバーにBARBARSの未希ちゃん、さらに梨央子ちゃんも参加しま~す」

ね、姐さん...。"ひかりのたま" って、こんなに眩しかったのですね...。

 

てなわけで、女だらけのロック大会が開催されると聞いたからには、運試しということでチケットの抽選にかなり軽い気持ちで申し込んでみたのですが、すいません、普通に当たっちまいました...。しかも、整理番号が1番。

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当日は仕事だっていうのに、神様も粋な計らいをしてくれるものです。自分なんかよりも会場に真っ先に入りた~いというTeam Mの方たちは、それこそ星の数ほどいるはずなんですけど。でも、これも何かの縁。仕事を早く切り上げて、さっさと会場に向かいなさい!という天からの思し召しだと、そう感じまして、ええ、お昼に切り上げようと思ったのですよ。しっかりと半休を申請したわけですよ。すると、どうですか。フツーに終わんな~い!

さらにもう2時が見えてきた。そろそろ配信のスタンバイもしなきゃいけない、会場にも向かわなきゃいけない、でも、こっちはこっちでいろいろと仕事も立て込んでいる。ああ、もういいや、ほっぽり投げちまえ!と思った矢先、今度はシュレッダーが詰まりやがった!誰じゃ~、いっぺんに10枚も20枚もぶっこむヤツはー!小分けにしろっていっつも言ってるじゃないかー!

もう知るかい!ってな感じで外に出ると、まあ、ナガマリ・ライブ恒例の雨模様。ということはですよ、道路が渋滞です。しかも、なんでなんでしょ、こういう時に限って右折車が多い。あっちの交差点、こっちの交差点、果ては、なんでこんなところを右折してお店の駐車場に入ろうとするの?という車にまで遭遇してしまう始末。環八が混んでいると思ったので調布まわりで北上したのですが、結果、裏目に出てしまいました。

でも、悪いことばかりでもありません。第1部は配信だったのですが、トロトロした渋滞の中だと、ちょいちょい画面を見ることもできるので、即席の車内ライブ会場じゃ~と気持ちを切り替え、雨のお祭りドライブを楽しむことにしたわけです。

 

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1383630195236634624?s=20

 

わっしょい、わっしょ~い!と "東京音頭" で幕が上がると、どうですか、みなみなさま。ステージ上は完全にお祭り状態じゃないですか。いやいやいやいや、華やかだ!そこからの "あなたが笑うと" のオープニングからの "ハートをWASH!" へなだれ込んでいく流れは、もういきなりフルスロットル!トップギアでタイヤをキュルキュルキュルっと轟かせながら猛スピードで走りだした感じです。未希ちゃんのベースも、梨央子ちゃんとチエさんのツインギターもめちゃくちゃいい感じに仕上がっています。特に "ハートをWASH!" のBPMはこれくらいの速さがやっぱりいいですよね。疾走感が半端ないです。やらかし感も半端ない感じでしたけどw

先週のサモール大阪のSEでテイラー・スウィフトが流れていましたが、彼女のカントリー仕込みのポップスにも通じるような幸せソング "Fine day Sunny day" で一息入れると、"Tobujikandesu" でまたアッパーに戻る。このドがつくストレートなロックは本当に気持ちがいい。まさに ≪猛スピードで雲の真ん中突き抜けましょう≫ ですね。

リハーサル現場からのワチャワチャ動画をインターバルに挟み、アコースティックセクションがスタート。素敵すぎるコーラスでスタートした "POCKET" から、これまたカントリーな "幼なじみ" へ。ミチさんのアコーディオンとチエさんのアコギがノスタルジックな柔らかいリズムを刻み、マルセさんのヴァイオリンがそこにバラのような大人の色香を漂わせておりました。この編成、同じお祭りでも西洋のお祭りと言いますか、片田舎の小さなフェスティバルをのぞいているような、なんか小さな観覧車とかテントを張ったサーカス小屋があるような、そんな映画で見るようなお祭りの雰囲気があります。

からの "Northbridge" ときました。大傑作アルバム『Sunny side Up』からの選曲というところもありますが、先ほどの片田舎フェスティバル編成というこの雰囲気!この雰囲気での演奏というのがですね、窓の向こうに見える白い橋をドラマティックに描いているわけなんですよねぇ。これが素敵なんですねぇ。多摩川を渡る橋までオシャンティに見えてくるわけなんですねぇ(あいかわらずの渋滞です)。で、"あいのうた" ですわ。MCで真理子さんが触れていましたが、思い返せば、あの頃も今もディスタンスという意味では、日本と海外という物理的なもの、今現在のTPO的というか対策的というかそんな社会的なもの、同じ距離でも雲泥の違いはありますが、そんなディスタンスがあったとしても、姐さんとTeam Mの間は絶対的な引力でいつでも結ばれている、そこは昔も今も変わらない、そんな風に感じたのです。そして、今までもこれからも共に歩いていく。そんな幸せを感じる1曲でした。

サモールでのガチリクエストの宿題として "飛べないBig Bird" がリベンジされると、これまたガレージな "蒼のまま" へ。この2曲、≪カゴの中の鳥のよう≫ ≪長雨の夜≫ とどちらも窮屈な現状への脱却を求めているように感じます。それは、もう当たり前のように、このコロナ禍からの脱却を求めるというダブルミーニングにもなっているわけで、≪未来(あした)を見つけに~高く羽ばたく≫ ≪生きる強さを奮い立たせて天を見つめる≫ そんな前向きなファイティングポーズに、どうにもこうにも胸が熱くなります。

女子バンド恒例の質問コーナーを挟み、ラブリーな "ミラクル・ガール" から怒涛の "ROLLER COASTER ~全力笑顔でPeaceしよう~"、さらに超絶な "プリティ・ロックンロール" と後半の燃焼系へなだれ込んでいきます。本編の締めは "ORANGE"、からのタンバリンリレーにラストの "W"。

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1384690295577595911?s=20

 

そんな第1部でしたが、明らかにセットリストに変化がありました。全15曲の中で'90年代のものが5曲のみ。残りの10曲は東芝時代以降の'00年代に偏っているのです。前回のサモール大阪の時には「今まであまり歌っていなかった曲をやってみようかな」と真理子さんがツイートされていたように、それこそ涙がチョチョ切れる'90年代セレクトが多かったのですが、ここにきて、それさえも飛び越えていく数々の楽曲。雨の吉祥寺に向かいながら、これは第1部用で、第2部ではまたガラリとセットリストを変えてくるのかな?と期待に胸を膨らましたわけなんですが、その結果は...。

 

途中で遅い昼食をとりながら、やっとの思いで吉祥寺にたどり着くと、既にオレンジの人だかりが会場前でワサワサしています。そんな集団を横目に隣接するヨドバシカメラの駐車場に車を入れ、それ、会場へ急げ!と駆け上がると、え、もう誰もいない。

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いやいやいや、1番ですけど。わたし、1番なんですけど!

まあ、いいんですけどね。ちきしょー、シュレッダーさえ詰まらなければ、こんなことにはならなかったはずなのにw

 

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雨も降りやみ、ノンストレスで会場に到着です。ライブハウスの外看板はオレンジをモチーフにしたかわいいデザイン。スタッフ愛がエモいですよね。ニョホホホと階段を降りていき、消毒に検温にドリンク代を済ませます。中に入ると既にTeam Mの方たちがワチャワチャと談笑しております。良き良きと、とりあえずどこがいいかなと席を探していたら、あっさり2階の特等席が空いているじゃありませんか。

 

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眺めとしてはこんな感じです。隣の席には黄昏さんが座っておりましたが、たぶん、あまりチエさんが見えていなかったんじゃないかなぁと。それでも思いっきり楽しまれていましたけど、というか、ホントに偶然でしたけど隣が黄昏さんでよかったー。

 

そんな感じで第2部のスタートです。

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オープニング・ムービーが終わり、スルスルスルと幕が上がると、ん?アキさんの頭にねじり鉢巻き?第1部の終了から1時間くらいの休憩しかとられていないはずなのですが、その間にさらにテンションがあがったようで、配信で見ていた雰囲気と明らかに圧が違います。そこからスタートしたのは、なんと "Reborn"!んでもって、生の音はやっぱり迫力が違いすぎるーーー!!!!!未希ちゃんのベースが図太いぞっ!しかも、なんなん、このインディーズだけど洗練された感じは。若さの勢いと熟練の安定感が織り交ざった、言うなればタピオカの中にあんこが混ざったような感じなのです(あまり美味しそうじゃないなぁ...)。さらにステージは "未来" へと続きます。去年の女子バンドで何度も披露されていた楽曲ですが、こうして改めてバンド・サウンドとして聞くと、現状突破を希求する楽曲のヒステリックさがヒリヒリと伝わってきます。とにかくカッコいい。姐さんの法被姿が白いライダースに見えてきそうなほどロックなのです。

第1部でも披露されていた "Fine day Sunny day" ~ "ROLLER COASTER ~全力笑顔でpeaceしよう~" のアルバム『W』からの2連チャンを聞いていると、現状の永井真理子を形作っているロック・サウンドは、あの東芝時代から連綿と続いてきているオルタナティブ精神に則ったものなのだと、こんな単純な解答を今さらのように再認識いたしました。そうなんです。この「女祭り」は「ロック祭り」だったんです。くのいちと書いてロックと読む、そんなルビが振られていてもおかしくないくらい、熱い熱いサウンドが展開されていたんです。

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からのアコースティック・セクションは、第1部と同じように "POCKET" のコーラスからのスタートです。これ、会場組にしかわからなかったんじゃないかなぁと思うんですが、ミラーボールがすごいキレイだったんです。会場がすごい幻想的な雰囲気に包まれていたんです。で、"POCKET" じゃないですか。一気にタイムスリップしますよね、あの1990年の冬に。あの頃、Pコートとか着てたなぁ。金ボタンの紺ブレとか懐かしいなぁ。そんな風に、思い返すだけで「あああああーーーーー!!!!!」と頭を掻きむしりながら叫び声をあげて、恥ずかしすぎる過去の記憶を抹消したくなるようなノスタルジックに浸っていると、次に披露されたのが "ひつじかひのうた。" ときました。なんじゃー、この『ちいさなとびら』がどんどん開かれていくステージは!青空に群れている1000の羊を引き連れて、≪ちいさなとびらをみつけたら、優しくノックしてみる≫ というリリックの通り、Team M、ひとりひとりの心に愛のピンポンダッシュが染みわたっていきます。トントン♫トントン♫トントン♫ OPEN THE NEXT DOOR!

2階席で観覧していたということもあるのですが、そういえばナガマリのホール・コンサートって1995年の「KISS ME KISS ME」が最後だったよなぁと、なんとなくそんな風に思っていたら "きれいになろう" です。あれは新宿厚生年金会館だったかなぁ、あの時も同じように2階席から参加していたんですけど、まさか今のようなふんわりとした幸せに包まれた未来がね、20数年後に待ち構えているなんて、ホント、夢にも思いませんでした。からの、サモールツアーより封印の扉を解放した『会えて よかった』からのナンバーは "春風の言葉"。先日のサモール大阪もそうでしたが、なんなんでしょ、この時代をミックスしているのに、すべてが統一されている感は。懐かしいと新しいが混在していながら、確実にコミットしているのは「今」なんですよね。これって、完全に真理子さんのイデオロギーになっているのではないかと感じているんですけど、≪明日を輝かせるために何かができる≫ という信念は、明日のために今をがんばろうということなんですよね。そうは言っても、なにかと後回しにしてしまうことも多いのが現実なんですけど、それでさえ ≪全部意味があるから忘れないで進んで≫ と背中を押してくれるのが、我らが姐さんなんですよ。シュレッダーが詰まったのにも意味があったんだなー。

質問コーナーを挟んでからの "飛べない Big Bird" ~ "蒼のまま" は第1部と同じ流れでしたが、これ、会場で聴いたらグルーヴがとんでもないことになっていました。いや、マジでヤバいやつです。特に "蒼のまま" なんてヘッドバンギングものですよ。信じられます?いくらロック祭りとは言え、永井真理子っと聞けば、たぶん100人の97人くらいはポップスを思い浮かべると思うんですね。ロックと言っても、ポップソングの上に成り立っている、いわゆる歌謡ロックってやつです。なので、ナガマリはポピュラリティーな人であるという意見に異論を挟むつもりはさらさらないんですけど、でもね、ここで演奏されているグルーヴは、もうぜんぜん歌謡曲じゃないんです!完全にオルタナティブで、大衆性のかけらもなくて、ただただ、この現実を一点突破していくエネルギーだけを放出しているのです。それもこれもBARBARSの二人が参加したことによるところがかなり大きいですし、そのエキスはとんでもない化学反応を起こしてしまったのです。

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1385202217108525062?s=20

 

その勢いのまま、"あなたが笑うと" ~ "Why Why Why" ~ "JUNGLE" ~ "プリティ・ロックンロール" と怒涛の4連チャンになだれ込んでいきます。まあ、気持ちがいい!BARBARSエキスが大爆発です。"プリティ・ロックンロール" なんて熱すぎてヤバかったー。これがもし平常時だったら、もみくちゃのズタボロの酸欠からの脱水状態で、救急車が100台くらい連なるレベルですわ。逆にソーシャル・ディスタンスに感謝ですね。距離があってよかったー。

今年、前半最後のタンバリンリレーが行われ、ラストはTeam Mのアンセム "ORANGE" で幕を閉じました。≪幸せがあふれ出して 見せたいものもいっぱいあって≫ この心躍る気持ち、この幸せのウェルビーイングを糧に、明日も明後日も明々後日もがんばっていきまっしょい、わっしょーい!

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出典:https://twitter.com/nagai_mariko/status/1385202217108525062?s=20

 

ライブが終わり、外に出てみると、また雨が降り始めていました。でも、そんなことは些末なこと。先ほどの心躍る気持ちが全身に満ちていて、とんでもない充実感が、今抱えている自分の問題でさえ、なんてことなくやりきる自信にもつながっていくように感じるのです。やればできる。いや、やってやろうじゃないか。この現実へ立ち向かうスピリットこそが、ロックのような気がするのです。

もともとサモールの予定であったものを、急遽、このようなロック・スタイルに真理子さんが変更したのは、夏のオリンピック開催に伴うイベントの自粛、それさえも危ぶまれている現状のコロナ禍に対して、とりあえず夏前に一発ドカーンと花火を打ち上げよう、その元気をもとに夏を乗り越え、秋にいっぱい収穫しよう!そんな思いもあったのではないかと。いつだって、姐さんは未来を見据えている。そうしながら、いつだって、姐さんは今を精一杯に楽しんでいる。素敵すぎる、本当に素敵すぎます。

サモール後半やコラボライブは秋になりますけど、それまでに、できれば東京オリンピックが世界規模のコロナ終焉祭りとなり、それを皮切りにマスクもディスタンスも必要ない世界で、みんながみんなでサモーーールと叫び、1年半ものうっぷんを晴らすコラボライブで盛大なわっしょーーーい!!!をしたいですよね。

さあ、腕をまくって、首やら関節やらをポキポキ鳴らしたら、この現実に立ち向かっていきましょう。みんなで楽しく笑っていけば、その先には幸せしかないはずなのです。

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