that passion once again

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拝啓、坂井泉水さま

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拝啓、坂井泉水さま

あの日から、もう13年も経ちました。
時の流れというのは恐ろしいほどに早いものですね。
お変わりなく穏やかな時の中でお過ごしでしょうか。

今でも、あの日のことが大きな嘘であればと思っています。
今でも、あの日に戻ることができればとも思います。
戻ったところでボクに何ができるわけでもないし、
そんな後ろ向きな気持ちでいることはよくないこともわかるのですが、
今日だけは、
そんな願いとも祈りとも言えない気持ちをそっと抱きしめてみます。

気がつけば、いつのまにか貴女の年齢を超えてしまいました。
遠い存在であったはずなのに、
常に追いかける存在であったはずなのに、
それを超えてしまうというのは、とても不思議な感覚です。

15年前に発売されたベストアルバム『Golden Best ~15th Anniversary~』

もしかしたら、これが最期かもしれないと、
そんな予感じみたインスピレーションに突き動かされて、
貴女は集大成的なアルバムを編集されたりしていたのですか?

もしくは、ここから新たな世界に旅立つため、
『ハートに火をつけて』のジャケットで、
貴女は旅行カバンの準備をしていたりされたのですか?

あれからいくつもの編集盤がリリースされました。
いろいろな情報がボクたちに知れるようになりました。
長戸さん、寺尾さん、
他にもいろいろな方々の想いに溢れてもいます。
でも、思うのです。
本当は見られたくなかったものもあるのではないですか?
そっとしておいて欲しかったものもあるのではないですか?

差し支えなければ、泉水さまと呼ばさせて頂きますが、
ボクは泉水さまが感じた "音" や "感覚" が好きです。
泉水さまの耳が判断したものを共有し続けたかった。
泉水さまが紡ぎだす言葉を聞き続けたかった。
あの日から、それは叶わぬ想いとなりました。

ご自身が納得されたものしか世に出さなかった方です。
そのこだわりがとても魅力的で、時にじれったく、今では儚い。

世界は日々、変化し続けています。
『永遠』と名付けられたアルバムがリリースされる際、
泉水さまは「永遠のスタンダードになれれば」という思いで、
タイトルをつけられたと記憶しています。

今、それは現実になっています。

世界が変わり続けても、
メロディーやリズムや言葉は、
そして、透き通った歌声は、
今も変わらずにボクの心を勇気づけ、元気づけ、慰めてくれます。
今を共有できないことが、とても残念で、とても寂しいです。

それでもボクは幸せに生きています。

いつもそばにいてくださり、ありがとうございます。
これからも、どうぞお力添えをお願いいたします。

敬具